仮面ライダーダークキバ・SKL
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王子の悩み・魔帝の根城
ダークライダー…
都市伝説である『仮面ライダー』の中でも特殊な存在である。その姿はライダーの意匠でありつつも『悪』を司るモノ。
確かに鴻上ファンデーションやスマート
・ブレインなどの企業…警視庁や一部特殊な公共の組織に開発されたライダーシステムがあり、また、一号といった組織に所属していない昭和ライダーの活躍もあり仮面ライダーは正義の存在と認知されている。
しかし、強大な力を『悪』へと使う者はいつの時代にもいる。『力』という定義では仮面ライダーもまた『力』。悪としてその力を使う仮面ライダーはダークライダーと呼ばれる。だが、その存在は少なく数も減ってきており人々は関心を示そうとはしなかった…。
ある事件が起こるまでは……
ーーーーーーーーー
キャッスルドラン
~王の間~
「はあ……」
少年、タイガ・ノボリは頭を悩ませていた…。普段なら綺麗に整っている茶髪はボサボサで黒曜石のような瞳の下には隈が出来ている。
『タイガ~、大丈夫か~?』
「これが大丈夫に見えるかキバット?」
その彼の周りを飛び回る金色と黒の蝙蝠…。キバット族の『キバット・バット三世』である。
『王への即位が近いんだし無理するなよ?』
「したくないのはヤマヤマナンだけどね…」
彼はファンガイアの中でも王家の血を継ぐ者であり、王への即位も近い。それに今はファンガイアだけではなく怪人と人間との共存が実現しつつあり、今は平和そのものの筈
だった…。
「見てよキバット…今朝の新聞…」
『どれどれ…【スカルカイザーまたも現る!!】出現地域の施設は被害甚大…。ファンガイア王家との関連あり!?』
「参ったもんだよ…。【骸骨帝事件】からロクなことがない…。」
トップを飾っていたのは返り血を浴びる蝙蝠のライダー…。仮面ライダーキバに酷似しているがその姿はまさに悪者のようだ。
『これ、タイガじゃないのか?』
「馬鹿言わないでくれ。明らかに違うでしょ!目の色とか骸骨とか骸骨とか……。まあ、こんなにキバと似ているんじゃさここに疑いきても仕方ないと思うけどさ…」
キバ…その正体はファンガイアの王たりえる者が扱える鎧の使用者である。その種類は『金色の鎧』とダークキバと呼称される『闇の鎧』がある。闇のほうが力が強いが扱いにくく、力も強大。王であったタイガの父も出力が安定している金色を使っていた。
本来ならサガなど一部を抜けばこの二種類…のはずだった…。
ある日、突然現れた『謎のキバ』…。
骸骨を模したその意匠で突如現れ、怪人を圧倒的な力で圧倒、蹂躙しさっていく謎のライダー…。その神出鬼没さから『死神』、もしくは、骸骨に帝のようなオーラから『スカルカイザー』と呼ばれていた。
それだけなら他の仮面ライダーたちと扱いは変わらなかっただろう。
しかし、彼の攻撃対象は仮面ライダーも入っていた。
至る所で他のライダーたちと戦い、甚大な被害を出していることが報告されそれはもはや黙認出来るレベルでは無くなり、そのため前述の2つの鎧を持つタイガらファンガイアの王家たちに何らかの疑いがかかってもまた仕方ないこと。
「まさに、新たなダークライダー…だよね。皆、人も怪人たちも仲良くやっていこうってこの時代に……」
『まあ、悪さをする怪人は未だに根強くいるからな。ましてや非純粋人差別主義なんてあるから争いの火種は無くならない。これもまたそれの1つだろ。』
「でも、なんでよりにもよってキバなんだよ!?」
確かに何の関係もないタイガらにとってはキバに似ているだけで疑いをかけられるので迷惑以外何物でもない。お陰で彼らの行動は下手なことは出来ず何時もゴシップにむらがるパパラッチの目を気にしなければならない生活になってしまったのだから。
「キバット、なんか知らないの?」
『知っていたら、とっくに話してる。だが、このキバの鎧はこちらの王家の物とルーツが違うように見えるな…。書庫にいけば何かわかるかもな…』
「仕方ないか…。自分の潔白は自分で証明しないと……」
『おい、タイガ…』
『今日、大学じゃないのか?』
キバットに言われ、鳩時計をみるタイガ…。指している時刻は8時34分…。現役バリバリの大学生のタイガの受ける講義が始まるのは9時…。そして、大学までいく時間は大体30分…つまり……
「遅刻だーーーー!!」
ということ。タイガは急いでカバンをひっつかみ、王の間から出て行った…。
『やれやれ……』
キバットもまたその後を追った……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
???…
「う~ん?」
少女は目を覚ましたのはどこかのシミだらけのベッド。自分にかけられている毛布は悪臭がする。
「なに…ここ?」
彼女は戸惑いつつもあたりを見回す…。部屋の内装は西洋風であるがかなり色褪せており栄華の面影が微かに残る程度のモノ。広い大きな窓からは自然豊かな山々が見える。
(別荘?)
そんな訳はない。なぜなら自分は昨日、街の中にいて……
(あ…)
教会に寄ったら襲われたのだ…。蝙蝠のバケモノに…。そして、目の前にスカルカイザーが現れたのだ。後は記憶があやふやなのでよく分からないが気絶してしまったようだ…。
「ま、まずここから出ないと……」
何にせよここには長居するのはマズいと直感的に判断。ベッドを抜け、ドアノブに手をかける。
「…」
そして、彼女の目に飛び込んできたのは果てしない廊下とドアの列…。
(これは出口探すの苦労しそうね…)
そう思いながら歩を進める彼女…。しばらくすると大きな両開きのドアを発見した…。
……!…!!
(話し声が聞こえる…誰かいるのかな。)
こっそりと覗いてみる彼女…。中はどうやら食堂のようになっており3人の人物がいた。
『おい、フブキ!それアタシの肉だ!』
『おやおや、早い者勝ちですよ。ワンちゃん…まあ、美味しい。』
『アーーーーーッ!?』
『ごはんぐらい静かに食べなさいよ。』
1人は白い狼と女性を足して割ったような女。もう1人は青い髪に青白い肌の白や青を基調とした服を着た高校生ぐらいの少女。そして、その2人を宥める浅黒い大男…。どうやら、食事をしているようだ。
『あー!もう頭きた!今日こそ決着をつけてやる!』
『あら、血の気の多いワンちゃんですこと……』
肉をとられた女性は激昂しその姿を白い狼の異形、ブランカウルフファンガイアへと姿を変え、少女の方は青い雪女を模した異形、ブリザードファンガイアへと姿を変える。
『やめなさいよ、あんたたち!』
残った巨漢も黒くゴツゴツした異形、アイアンファンガイアへと姿を変え2人の制止にかかる。
「ええ!?」
少女は呆気をとられていたがすぐ、正気に戻る。とにかく、このままでは自分の身にも危険が迫りかねない。急いでその場を後にしようとするが…
「許可なく人の家を徘徊するとは良い度胸だな?」
「ひっ!」
突然、後ろから声がしたと思えばそこに立つ1人の青年…。黒髪で人相が悪く目がつり上がっており眉毛もかなり太い。そして、その笑みは悪魔のよう…
「全く出て行くのは構わないが例の1つくらい言うのが筋…ておい!?」
あまりの恐怖に青年の話すら聞かず駆け出していく少女。その目からは涙がこぼれ落ちる…。
(嫌だ……もう帰りたい…)
そして、彼女が開けたドア…その先は…
切り立った崖の真上であり勢いのついた彼女の身体は放りだされてしまった……。
(嘘………)
『ガブ…』
「変身!!」
しかし、次の瞬間彼女の身体は宙ぶらりんになっていた…。何者かが腕を掴んでくれたようだ…。
「全く……世話焼かせやがって……!」
「!…スカル…カイザー?」
その正体は昨夜、彼女を助けたライダー…スカルカイザーこと、仮面ライダーダークキバSKLであった…。
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