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仮面ライダーダークキバ・SKL

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闇夜の骸骨

 
前書き
なのはと原作に書いてますがなのは要素がかなり控え目で時系列は2部と3部の間・・・空港火災前です。
 

 
午後11時46分…



『はあ…はあ…』

街角、ネオンの光の中を走る蝙蝠の異形、蝙蝠男。その身体は至る所が切り裂かれ血みどろ。飛行しようにも腕の翼膜は破かれ切り傷からは滝のように血が止まらない。

『はあ…はあ…何が仮面ライダーだ!?化物じゃねえか!ぜえ…ぜえ…』

愚痴りながら走るも最早、体力も限界…目の前にいる悲鳴をあげる人間たちを振り払いやっと進むのが精一杯。

だが、足を止めてはいけない。



止めてしまえば『奴』の餌食だ。




周りにはもう、自分の従えていた戦闘員とマスカレードたちもあと僅か…。皆、『奴』の刃に切り裂かれ命を散らした…。

『嫌だ…まだ死にたくない…。』

純粋に…無意識のうちに本能的な言葉がこぼれでる蝙蝠男…。今まで襲ってきた人間が泣き叫んでいた言葉を口にするとは…だが、今の彼に屈辱を感じる余裕は無い。

「イッ!?イイーー…」

ズシャ

「イッ!?イッ!?」

グチャ

ザクッ、ベチャ


後ろから迫る自分の部下の断末魔。肉が裂かれ、血が地面を濡らす死の音…

それでも彼は振り向かない。振り向いたら次は自分がただの肉塊に変えられてしまうから…

(もうすぐ…もうすぐ…)

しばらく走り、彼は暗く細い路地の中に逃げ込み常人離れした身体能力でビルを跳ねあがり、屋上を飛び移っていく…。流石、怪人というべきか…
そして、彼の目指すのはまだ出来たばかりの小綺麗な協会。そのうちの開いている窓に素早く飛び込むと窓を閉める。

『はあ…はあ……これで、大丈夫だ…』

蝙蝠男は息を荒くしていくと徐々にコケた白髪の男に変わっていき、クローゼットから神父のローブを取り出し痛んだその身体に纏う。彼はここの神父でもあるのだ。(正確には神父の真似をしているだけだが…)


『ふう…ふう…うん?』

息を切らしながらドアを開けると何やら物音が聞こえる…。どうやら、礼拝堂に参拝者が来たようだ。この時間に来るのはまあ、まずありえないことだが蝙蝠男…今は神父の姿だがこれは嬉しいことだ。どんな奴かは知らないが血肉を喰らい今の自分への糧へとしようと思った…。


ガチャン

『クク…礼拝の方ですか?』

「あ…」

神父はドアを手をかけ礼拝堂を見ると、いたのはバイオリンケースを引っさげた高校生くらいの少女…。まだ顔はどこかあどけなく、少し長めの栗毛の髪がピンピン跳ねている。しかも中々の美人だ…。

(確か、彼女は…)

神父は彼女に見覚えがあった…。確か何かの雑誌で見たような気がするがそんなことは彼にとってはどうでも良い。
目の前にいるのはただの獲物なのだから…

「ええっと…まだ開いているようでしたので、つい…」

少女は元々キリスト教を信じていたわけでもなんでもないが、この近くを通りかかったさい、この建てたばかりのこの教会はなんだか物珍しかった…。さらに、ドアが半開きだったこともあり、興味を惹かれ中に入ってきたのだ…。

「すいません、今、出て行きま…」

『その必要はないですよ…』

迷惑になってはと出て行こうとする少女だが、神父は彼女の腕を掴み、同時に礼拝堂の扉が音をたてて閉まる。明らかに異様な空気に少女の背に寒気が走る…。

『今日は晩餐会になりますから。丁度、活きの良い御馳走が来たところですし…』

「え?」

すると、神父の顔が徐々に彼の正体である蝙蝠男に変わっていく…。

「ひっ!」

少女は必死に逃げようとするが蝙蝠男の腕力はかまりにも強く掴まれた腕を振り払うことが出来ない。

『さぁ……お前の血を、よこせェェ!!!!』

「いやあァァァァ!!!」






ゴゴゴゴ…!!



蝙蝠男がその牙を突き立てようとした刹那…

教会の床に地割れがはいり、赤い光が漏れる…やがて、その口は開いていきそこから灰色の『何か』が上がってくる…。
 


「キバ…?」


少女はそれに似た存在を知っていた…。

仮面ライダーキバ…

蝙蝠やヴァンパイアを思わせるその意匠は独特な仮面ライダー…

その正体は怪人ファンガイアの王の資格があるもののみが着用を許される『キバの鎧』を身に付けた変身者…。

しかし、本来そのライダーの色は赤に黄色い蝙蝠のような複眼を輝かせているのだがこのキバらしきものは彼女が知っているデザインより刺々しいし無機質な色は岩石を削った彫刻のよう…
それに微妙にデザインが悪者に見える…。

『ひっ!ひいい!?』

「?」

その存在を確認した蝙蝠男は突然、異様にまで怯えたし少女から手を放し這い蹲る。まるで、猛獣のいる檻の中に入れられた小動物のように…

ガシャーン

『ケケケ…!!』

「!」

同時に教会のステングラスを突き破り握り拳くらいの何かが飛来する。それはキバ(?)の頭上で制止し、初めてそれが何なのか彼女に解った…
それは…






人の髑髏であった…







ギョッとした少女だ髑髏はキバ(?)の頭に収まると目があったであろう穴が一瞬赤く輝き、強い衝撃波が起こる。同時にキバ(?)の表面部分が吹き飛び中から鮮やかな色の鎧が現れ、ボロボロのマントがなびく…。


仮面ライダーダークキバ…それはあまりにもそれに酷似していた……
相違点は額の髑髏も勿論だが複眼が淡い青みがかっていることや紅より黒よりの配色になっていること…。両手両足の封印。さらには胸部の蝙蝠のような意匠の部分にも骸骨が金色に輝いていた。
その姿は『骸骨の魔王』
とでも言うべきか……

『キ、キバ!?何故ここが!?』

「はっ、血がここまで垂れ流しておいてなにいってやがる。まあ、お前のお仲間がここに向かってくる時点でバレバレだったがな。」

そう、先ほど蝙蝠男が逃げていたのはこのキバから逃れるため。何とかやり過ごすめに多く仲間を犠牲にしたというのに、自分のミスがあろうことか天敵を呼び寄せてしまった…。だが、蝙蝠男にはまだ手がある。

『く、来るな!来たらこの女ブチ殺すぞ!』

「ひっ!?」

少女の髪をひっ掴み牙を突き立てるような体勢をとる蝙蝠男。人質をとればキバとて、仮面ライダー…そう簡単には動けないと踏んだが……





「それがどうした?」





キバは……仮面ライダーとして…耳を疑うことを言った…。一瞬、2人もこの目の前にいるライダーの言っていることが嘘では無いかと思った…。

「いくらテメエの腐りかけのイかれた脳みそでもわかるだろ。ソイツを殺したらあとはどうする?なぶり殺されるか?」

『…』

確かに言われてみればそのとおり。彼女を今、ここで殺してしまえば蝙蝠男が実力的に大差のあるキバに対抗する手段を失う。考えてみれば少女を盾にすれば逃げられる可能性は高いしそのあとは獲物なのだから食せばいい。ならばと距離をジリジリと取ろうとする蝙蝠男…。



自分がハメられているとも知らず…





「バーカ。」



次の瞬間、キバは飛び上がり一気に距離を詰め、それに驚いた蝙蝠男の肩に刃を突き立てる。
あまりの素速さに反応が間にあわなかった蝙蝠男は自らから噴き出るドス黒い血と激痛に悲鳴をあげ少女を放し、悶え苦しむ。

「オラ!」

そのまま、刃を乱暴に抜き取ると返り血を浴びながら紅黒いベルトから2本のフエッスルを取り出し骸骨の蝙蝠のようなベルトのバックルに差し込む。


『ウェイクアップ!スカル2!!ウェイクアップ!キバ!!』

一本は髑髏のフエッスル…

もう一本は蝙蝠を模した赤いフエッスル…


それを同時に吹くと同時にキバの両脚の封印が解け、それぞれ邪悪な翼がそこから伸びる…。


右足は黒くまるで悪魔の姿思わせ、左足は骨…死神の意匠だ。

「あぎゃ、処刑の時間だぜ。」

告げられる死刑宣告と共にキバの頭部の骸骨の瞳が妖しく輝き、辺りの空間が闇に染まっていく…

気がつけばそこは教会ではなく不毛の荒れ果てた黒の空間…
存在しているのは蝙蝠男とキバのみ…。

「あぎゃ、あぎゃ、あぎゃ、あぎゃ、あぎゃ、あぎゃ、あぎゃァァ!!!!」

不気味な笑い声と共に、青白い月を背にマントを纏い虚空へ舞い上がるキバ…。そして、両脚を獲物へ向けた…。

『ひいっ!』

蝙蝠男も逃げようともがくも、まるで金縛りにあったように動けない…。

そして…


DoooooooN!!!!



『ギャアァァァァァァァァ!!!!』

マントを翻したキバのライダーキックが直撃し、蝙蝠男は悲痛な悲鳴をあげ塵と化した…。
その跡に蝙蝠を模したキバの刻印が浮かぶ…しかし、その翼の模様の間には禍々しい髑髏の模様も浮かんでいた…。

「あぎゃ、地獄の閻魔によろしくな。」

しばらくして、この異質な空間は徐々に崩れていき、元の教会へと戻る…。そこには、ヘナヘナと座りこむ少女の姿があった…。キバはそれに気がつくと彼女に歩み寄る。

「オイ、お前怪我無いか?」

「……スカル…カイザー…」



少女の心配をするキバだが、彼女は何かをうわ言のように呟き糸が切れた操り人形のように気を失う。

「オイ…!?」

ビキキ…

「あん?」

何とか抱き止めたキバだが、それと同時に土埃が天井から落ちこの教会全体が軋むような音が響く…。

「いけねえ、暴れすぎたか。」

どうやら、先ほどの戦いでこの建物の柱か基礎…もしくは両方にダメージがあったのだろう。このまま、押しつぶされる訳もいかないので少女を抱えマントに包むと壁を破壊し脱出。
その数秒後、教会が音をたてて崩れ始めた…。



 

数分後…


キバは少女をお姫様だっこしながら崩れゆく教会を背に誰もいない路地を歩いていた…。

「ほう、中々いい女じゃねえか。俺の好みだ。」

少女をまじまじと眺めながら彼は彼女の言った言葉を思いだした…。

「『スカル・カイザー』…骸骨の帝王…。いいぜ、それ貰った!『仮面ライダーダークキバSKL』…有り難く名乗らせて貰うぜ。」





キバ…否、ダークキバSKLは少女から与えられし名を気に入り意気揚々とその場を去っていった…。





つづく 
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