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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第十八話 エクステンデット

 
前書き
ハーメルンにて入った沢山の新型艦要望によって。票数的にはラー・カイラムとザンジバルⅡが競り合い、最終的にはラー・カイラムが上回る事となりました!レウルーラも追い上げていましたが、ラー・カイラムとセット扱いが多く届かず。ドゴス・ギア(ゼネラル・レビル)やネェル・アーガマ、リーンホースJr.も人気はありましたが残念ながら落ちました。
というわけで前話から新型艦とだけ出ていた艦の名称、中身はラー・カイラムとなります。ゲルググが乗るのに連邦系で良いのかって?そんなこと言ったらミネルバだって似たようなもので……。
暁の方の皆さんはそういった所は無欲ですね。個性がサイトによって現れて良いと思えます。 

 
詳しい事情は知らんがシンとレイが偵察に行ってた場所で問題が発生したらしい。俺も含め、ミネルバで直接現場まで移動することになったようだ。
クラウの奴は色々とまだ仕事が残っているらしく、港から動けないらしいが。
そして、現場にたどり着き、中の様子を見に入った俺たちは驚愕する事となる。

「これは……」

艦長やアーサー、ハイネ、アスラン、シンと共に見たこのロドニアの研究所は一種異様とさえ言える。
艦長は口元をハンカチで押さえ、アーサーはその場で悲鳴を上げ、吐き気を催している。ハイネも眉間に皺を寄せて口元を遮り、アスランやシンは茫然と目の前の光景に目を奪われる。

そこにあったのは、死体、死体、死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体――――――――――
いや、よく見れば死体だけではない。脳に電極のようなものを差し込み培養液に入れているものや、解剖され一部を取り出し貼り付けているもの、最早死体とは言えないような様相をした人までいる。
俺は無表情に近くにあったPCに触れ、起動させる。

「マーレ!?」

アスランが勝手に何をしてるんだと言うが、そのまま起動させたデータを読み取っていく。入所、実験、処分、入所、解析、実験、解剖、処分、入所、処分、実験、処分、処分処分処分処分処分処分処分処分――――――
苛立たせるような書き込みに机を殴りつける。元々壊れかけていた机が更に壊れるがそんなことはどうでもいい。

「こいつは―――どっかで噂を聞いたことがあるな。生体CPUっていう奴か?」

ハイネが開いていたPCを覗き込みながらそう言う。ああ確かに、俺もクラウから聞いたことがあるな。生体CPU―――コーディネーターに対抗するために投薬やら実験やらで造り上げられたナチュラル。聞いた時は馬鹿にしてたものだが、実際に見るとここまで腹立たしいものだとはな……。
沸々と怒りが込み上げてくる。こんな無駄としか思えないようなものを造り上げようとするナチュラル共に対してだ。こいつらは被害者だ。
ナチュラルから弄ばれたこいつ等はもうナチュラルとは言えない存在。コーディネーターでもナチュラルでもない、出来損ない―――いや、異端者だろう。こんな存在を作り出した奴らに怒りが込み上げる。こんな事をするナチュラルがいるからナチュラル等は全員死ぬべきなんだ。

「遺伝子いじるのは間違ってて、これは―――こんなことするのはありなのかよ!?」

シンもあたりに向かって怒鳴りだす。こいつらは哀れな存在だ。流石の俺であってもこいつらまで滅んでいいとは思えない。同族にこんなことをしでかすナチュラル。そいつらからしてみたら、生まれる以前の段階から遺伝子を操作して人工的に人間を生み出してないから構わないという奴なのだろう。
きっとスポーツ選手が薬を飲んだりして鍛えるのと同じ理屈だとでも思っているに違いない。

「ありなんだろうな、ブルーコスモス―――いや、こんなことをしでかした奴らは少なくともそう思ってるだろうぜ」

ハイネが怒りを押し殺すようにしながらそう言う。アスランもその言葉に同意を示しながらも顔を顰める。

「だが、これは――――――」

調べれば調べるほど胸糞悪い。クラウは色々とこういった事情にも詳しかったはずだ。でなきゃ生体CPUなんて話を詳しく知ってる筈がない。

「クラウの奴も呼ぶ必要があるな……」

そう独り言のように呟き、研究所をさらに調べていく。既に処分されているデータなどもあり、重要度の高いものから消していったのだろう。
結局、データ自体にめぼしいものはないと言えるかもしれない。データに関してはミネルバでは調べきれないことも多いので結論を急くわけにはいかないが。
そうやってデータを眺めていると突然警報が鳴り響いた。

「何だ!?」

「敵襲―――今更証拠を隠滅しに来たってのか?」

待機状態だったインパルスとセイバーが駆けだす。俺やハイネもすぐにミネルバに向かうが、調整が済みきっておらず、出撃には時間が掛かるだろう。
そう思って、出撃準備を進めていると、戦闘自体はあっさりと終ったようだ。すぐにインパルスが戻ってきた。しかし、ハッチを開いて出てきたのは連合の軍服を着た少女を抱えながら走り出すシンだった。

「ハァッ!?何やってんだ、シンの奴!!」

急いで閉じていたハッチを開いてコックピットから飛び降りるが、既にシンの姿はない。

「なあ、どういうことだ?」

「俺が知るか!?」

シンの奇行に呆れ果て、ハイネが疑問を口にするが、俺も訳が分からず共にその場を立ちつくしていたハイネに怒鳴って、一緒に頭を抱えるほかなかった。








やっと終わった仕事からミネルバへと向かって新造艦―――ラー・カイラムごと移動する。ちなみに艦長は議長の推薦者らしい。あーやだやだ。やっぱり疑われてるのかね?それともポジティブに人材を預けてもらえるほど信用してもらってるとでも受け取るべき?
どちらにしても艦での最高権限を持つのは俺らしいが、面倒なことこの上ない。

「ん、なんだ。どうした?」

何やら到着したがミネルバ周辺の様子がおかしい。騒ぎが起こっているようだ。到着した艦をミネルバの隣に着陸させ、何があったのかを確かめる。

「ハイネ、マーレ、何があったんだ?」

降りてみて一番近くにいた事情を知ってそうな二人に尋ねる。しかし、二人とも事情をハッキリと理解していないのか、曖昧な答えを返すだけだ。

「あー、いやよくわかってはないんだが、シンが連合のパイロットを捕虜にしたらしくてね……」

「それでそのまま医務室へと連れてったんだが……」

察した。とりあえずそれステラだ。シンは医務室まで連れて行ったんだろうが、どう考えてもそれは問題行動だ。

「わかった、俺はとりあえず医務室まで行くことに―――いや先にグラディス艦長に話をしておくか」

そのまま艦内へと行き、グラディス艦長と話をする。どうやら艦長も話を聞いたらしいのか医務室に向かっている様子だった。その途中ですれ違いにならなかったのは僥倖だ。

「捕虜に対する人道的処置の為に治療行為ね……ハァ、彼の行動は問題だけど、そういう事にしておいて欲しいってこと?」

「まあ、一言でいえばそうですね。実際、話を聞く限りじゃ出血等もしていたみたいですし―――」

医務室までたどり着いてドアを開けると状況は混乱してるといえた。拘束もされてない状況で暴れまわる連合の捕虜とそれを取り押さえようとするシン。

「あちゃー」

右手を顔にあて、そのまま天井を見上げる。そんなことしてる場合じゃなかったと思い出したように、ステラを取り押さえることに協力した。

「シン、後で事情は聞かせてもらうからな!」

後ろから両腕を押さえて転ばし、取り押さえる。不意打ちだったからか、それとも何か別の要因か抵抗は強いものの、動き自体は単調でそのまま押さえつけることが出来た。

「何してんだよ、クラウ!?」

「そりゃこっちの台詞だって……人道的処置として医務室での治療の許可は取ったけど、こう暴れまわられたらお前もこの子の立場も危うくなるだろう?」

必死に押さえつけて、軍医に用意してもらった鎮静剤の軍用注射を首筋に当てる。そのままステラは意識を失い、一旦は落ち着きを取り戻し、ベッドに寝かせつける。

「悪いがシン。この子を治療する間に事情を聞かせてもらうぞ―――」

早い所寝たいのだが、状況がそれを許さない。シンの行動を問い詰めねば最悪シンが軍紀違反で捕まることになる。せめて事情聴取をせねば。

「とりあえず艦長―――艦長室で話すのが一番いいんじゃないかと?彼女に関しても医務室とならすぐに連絡を取れますし」

「そうね……そうするべきなんでしょうね」

お互いに顔を合わせ、溜息をつきながら移動する。シンも黙ってついて来てはいるので、不満はあるが反論する気はないのだろう。
ホント、ここ数日色々あり過ぎて倒れそうだ……。








その後、色々と知りたくもない情報をしった艦長とクラウは天を仰ぐ。件の連合の兵士がエクステンデットであるということ。彼女とシンが知り合いだということ。明らかに色々と肉体を改造されており、ミネルバでは治療できないとのこと。

「あー、とりあえず……その少女のデータを見せてもらえます。できれば基準となるもののデータも含めて」

「こちらです。とにかく、見る限り身体に関係するデータは殆どが異常な数値を示しています。それに我々にも分からないような薬が投与されているらしく、下手に処置を施すのもどうかと―――」

渡されたデータを見ながら数値を解析していくクラウ。その表情は真剣そのものでタリアは声を掛けるのを躊躇う。

「数値からして、培養の液体にも何らかの処置が施されてた可能性が――――――だったら、血中のヘモグロビンが異常な容啓をしているのも含めて―――――」

クラウの専攻は技術分野だが、科学分野も研究者として知識を得ており、何より前世の記憶にはそういった類の職に就いたこともある。その為渡されたデータを解析し、必要な処置を頭の中で思い浮かべる。
高い記憶能力は伊達ではないのだ。現在では無いような治療技術だって頭の中には存在している。

「こっちの艦じゃ手が回らないか……艦長、彼女をこちらの艦に移してもいいですか?ミネルバでは処置できないと思えるんで」

「ちょっとまって?あなた、これを見て彼女の状態を理解したっていうの!?」

「はい、専門はMS関連ですが、こういった面も得意な方です」

得意というだけで専門職の軍医を超えられる話をされても困る、とタリアは思う。クラウはこのミネルバクルーの中でも少ない自分の同類―――つまり、冷静な常識人だと思っていたのだが、どうやらそういうわけでもないみたいだ。

「……ええ、わかったわ。そちらの艦に彼女を移してちょうだい。どちらにしてもそちらの艦は一度基地の方に行くんでしょう?」

「まあそうですね。彼女の方も見た限りですが、艦内の設備ではまともな治療はできないでしょうし」

「え!?それじゃあステラは!」

クラウがステラを治療できないと聞き、シンは思わず声を上げる。タリアはそれを窘めるように睨むがクラウがまあまあと宥めるように対応しながらシンを庇う。

「治療出来ないわけじゃないんだけど、本格的な回復が見込めないってところかな?でも、それなりに施設の整ったジブラルタル基地やカーペンタリア基地、そこまでじゃなくてもディオキア基地クラスにまで行けばおそらくは大丈夫だと思うよ」

「そ、そうか……でも、それじゃあ俺は一緒にはッ―――!」

「残念ながら行けないね。今話し合ってたのはそのことも含めてだから」

「そのこと?」

ミネルバは命令通り再び海を渡って最前線へと出ることになる。しかしそれでは捕虜にしたステラを治療することが出来ないためクラウが要請したラー・カイラムは一旦基地まで戻ることになるのだ。

「はあ、折角ミネルバにリゲルグを搬送する準備をしたってのに結局また用意し直してお蔵入りか……」

完成しきってない新型に乗らずに済んだと喜ぶべきか、用意までしておいてまた片付けないといけないことに嘆くべきなのか?最近はこんな事ばかりだと落ち込むクラウ。

「とにかく、俺が彼女を基地まで連れて行って治療するから、シンはミネルバでしっかり仕事しろよ。お前が彼女を助けるように頼んだんだからな」

「わかってるって―――俺が絶対ステラを守ってやるさ」

タリアは話が終わったのかとばかりに一つ咳払いをして結論を言う。とはいってもこれは単なる形だけのようなものだ。

「じゃあ、ここで一旦お別れのようね。本日をもってクラウ・ハーケンをミネルバ護衛の任より解き、新型艦ラー・カイラムの指揮を執ることを命じます」

「ハッ!クラウ・ハーケン、謹んでお受けいたします」

クラウは再びミネルバから降り、一時ながらも離れることとなった。
 
 

 
後書き
完全に無意味に近かった特典、高い記憶能力が役に立ちました。別に技術チートって書いてあるけど医療技術チートが無いとは言ってないよね(笑)
ステラ生存フラグ構築。こうなるとシンの嫁が二人に……果たしてどうなる!
そしてクラウは旅立ちました(笑)ああ、また主人公(偽)が目立たなくなる。しかもリゲルグもいなくなるし。なんだよ、誰だよ!リゲルグの活躍期待させておいて裏切ったのは!
あ、俺か。

毎日更新はこのあたりで終了するかも……不定期更新のタグが活躍する時が来たのか?詳しくは活動報告で。 
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