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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  二十八話:洞窟のドワーフさん

「そうか。あんたらが、ポワン様のお使いの方々か。この度はうちのザイルが、とんだことを仕出かして。誠に、申し訳無いことで」
「本当よ!よりによって、春風のフルートを盗むだなんて!あれが無いと私たち妖精だけじゃなくて、世界中の人たちが困るのに!一体、何を考えてるのかしら!」

 ドワーフのじいさんと、お話し中。
 ベラが、ご立腹です。

「あれは誰に似たのか、そそっかしいところがあってのう。わしが大昔に妖精の村を追い出されたのを、ポワン様の采配と思い込んだのが、まずひとつ」
「村の長がポワン様に代替わりしたのは、そう昔のことじゃないのに。何をどう間違ったら、そんな勘違いをするのかしら。気が知れないわね!」

 え?
 君がそれ、言っちゃうの?

 まあ、突っ込みませんけれどもね。

 口を出す必要が出るまでは静観の構えで、じいさんが淹れてくれた熱いお茶を飲みながら火にあたって暖を取る、私とモモ。
 モモには、ぬるめのお湯をもらいました。
 猫舌って言うし、熱いのは無理だよね、たぶん。
 猫以外でもダメらしいけどね、実は。

「あいつは勉強嫌いで、妖精たちの仕事はフルートを吹くことだと言う程度のことしかわかっておらんからのう。春が来なければ困るのはわしらも同じだというに、ただ妖精たちを困らせてやろうという浅い考えで、行動を起こしたのじゃろう。行動力だけは、無駄にあるからのう」
「よく考えもしないで、動かないでほしいわね!いい迷惑だわ!」

 だから、突っ込まないってば。

「常々、言い聞かせてはおったのじゃが。馬耳東風というか、本当に誰に似たのだか」
「いるのよね、言っても聞かない人って。おじいさんも大変ね」

 突っ込まないったら、突っ込まない。

「じゃあ、私たち、行くわね。寒いから、おじいさんも体に気を付けてね!」
「おお、気を付けての。わしが行ければ、いいのじゃが。歳には勝てんでな、すまんのう」
「いいのよ、任せて!」

 オイ。
 任せてもらうのはいいけども、そのまま行ったらダメでしょ!

 何しに来たんだよ!
 じいさんも、気付けよ!

「おじいさん。ザイルさんは、こおりのやかたに、にげたって、ききました。こおりのやかたには、カギがかかっているから。とうぞくのカギのぎほうを、おしえて、もらえませんか?」
「おお、そうであった!忘れておった!」
「そうだったわね!忘れてたわ!」

 うん、誰に似たのか、わかった。
 ていうか血縁でも無いのに、ベラも……。

 何事も無かったかのように真面目な顔を取り繕って、じいさんが言います。

「わしが村を追い出されたのも、当時の村長(むらおさ)様が、そのお方なりに村の平穏を考えられてのこと。それが正しいかどうかは、また別の話として。安易に広めるべきものでは、無いのじゃが。そこのスラきちは、あれでなかなか、人を見る目があっての」

 あの、スライムくんね……。
 どういう目で見られたのか、地味に気になってるんだけど。

 ていうか、スラきちっていうの?あの子。
 悪かないけど、この世界のネーミングセンスと、なんか違くね?

「あれの判断と、わしが自分の目で見た結果とで。お前さんになら、教えても、悪用はしなかろう。どうか、ザイルを止めてやってくれ」

 悪用……。

 ……合意の元、快く金品をご提供いただくのは、悪いことじゃ無いよね!
 最終的に世界とか、救っちゃう予定だしね!
 必要経費!
 救世の旅(目的が救世というわけでは無いが、結果は同じ!)のスポンサーを募るというか!

 許可は、取るから!
 可能な限り!!


 なんていうのはあくまで自分に向けた言い訳で、わざわざ相手に言う必要は無いんで。

 全て、自己責任ですから!
 発生する結果も、(そんなものが存在するなら)罪悪感も!
 相手に言うことで、相手に背負わせる必要は、無いんですよ?
 ええ、詐欺とかそういうのじゃありませんとも。

 にっこり微笑んで、お礼を言います。

「ありがとうございます。おしえてもらったのが、むだにならないように、がんばりますね!」

 悪用しないと断言しないのは、良心の呵責なんかじゃ無い、きっと。

「さっそく、おしえてもらえますか?」

 まったりしてたけど、一応、急いでるしね!

「うむ!忘れた!」

 堂々と言い切る、じいさん。

 ……えー。
 なんで、そんな自信満々なの?

 不審な思いが顔に出てたのか、じいさんが慌てて言い足します。

「万が一にも、悪人の手に渡っては、困るものじゃからな!この洞窟の奥深くに封印したあとは、敢えて、忘れておったのじゃ!」

 そういや、そんな手順だったね。
 でも、素で忘れただけじゃないの?性格的に。
 後付けじゃないの?その理由。
 いいけど、別に。

「決して、ボケたのでは無いぞ!わしゃ、まだ若い!」

 なんも言ってないのに、言い訳してるし。
 突っ込まないことにしたんだから、自分から引っ張らないでほしい。

「どうくつの、おくですね!それじゃ、ベラさん、モモ!いきましょう!おじいさん、おちゃ、ごちそうさまでした!」

 フォローも正直めんどいので特に触れないことにして、とっとと出発することにします。

 じいさんがちょっと寂しそうですが、気にしない!
 後で(ザイル)にでも、構ってもらってね!
 ちゃんと、帰すから!
 少々、痛めつけはするけれども!



 ということで、体も暖まって元気も出たので、サクサクと洞窟の奥に進み。
 途中で小悪党っぽいオッサンに遭遇しましたが、妖精さんに遊んでもらう無邪気な幼女を装って、カギの技法狙いだと疑われることも無く。

 またベラが、
「ドーラ……あなたって……」
とかなんか言ってたけど、気にしない!
 無用なトラブルは、避けたほうがいいでしょ!
 こっちが疑われて()けられさえしなければ自力ではたどり着けない、頭の残念な人みたいだったしね!


 無事に盗賊のカギの技法を入手して、洞窟を出ます。

「ドーラ……。大丈夫、よね……?」

 大丈夫って、なにがさ?

「もちろん、だいじょうぶです!ちゃんと、おぼえました!これで、こおりのやかたに、はいれますね!」

 墓穴を掘るような真似はしませんよ!
 言いたいことがあるなら自分で、はっきり言えばいい!

 ベラが、なんか葛藤してます。

「そう……うん、大丈夫、きっと大丈夫。ポワン様が、選んだ戦士なんだから……!」

 そうそう、大丈夫ですよ!
 私を信じて!
 最終的に、悪いようにはしないから!

「うん、私、あなたを信じるわ、ドーラ」

 言葉とは裏腹に、表情に諦めが見え隠れしてます。

 良かった!
 信じてもらえて!!

「それじゃ、いよいよ!こおりのやかたに、しゅっぱつですね!」
「そうね!よーし、頑張ろー!」
「おー!」
「ニャー!」

 ここからが本番ですからね!
 気合い入れて、いきましょう!! 
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