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銀色の魔法少女

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第二十三話 その後の話 遼、フェイト

side 遼

 私はあの場から逃げ出した後、私はベッドの上で転がっていた。

「痛い痛い! 死ぬほど痛い! ナニコレすごく痛い!」

 もう全身が悲鳴をあげていた。

「当たり前です、骨折してる上に身体操作までして戦い続けたらそうもなりますよ」

 クリムが横で準備をしている。

「とにかく骨折の方は今日中に治しますから、後は自然に治るのを待ちましょう」

 それでも治らなければ病院に行ってください、とクリムは付け足した。

 確かに、壊して治してを急激に繰り返したら体が保たない。

「それでクリム、あっちの方はどう?」

 少しだけ首を動かして尋ねる。

「問題なく両者適合しました、ですが本当によろしいのですか? プレシアはともかく、アリシアの方は」

「いいの、どうせ持ってても使わないし」

「……では、番外騎士『サズ』、これより切り離します」

 その瞬間、私のメモリーからサズの名前が消える。

 さて、後は待つだけだろうけど、

「痛い! 本当に痛い!」

 指一本でも動かすと激痛が走るこの状況、どうにかならないかな。



side フェイト

 レイとの戦いから一週間以上が過ぎたある日のこと、私たちは海が見える公園にいた。

 私の裁判の準備が完了し、この世界を離れることになった。

 だから、私はあの子に、高町なのはに会いたくて、ここにいる。

「フェイトちゃーーーーん!」

 遠くから彼女の声がする。

 私は振り向くと彼女がやってくるのが見えた。

「それじゃあ、僕らは向こうにいるから」

 そう言ってクロノとアルフ、ユーノとよく分からない赤い子は離れたベンチに腰をかける。

 この場には私となのは、二人だけ。

 それで少しの間、彼女と話した。

 裁判のこと、私のこと、そして友達になりたいこと。

 私が彼女の名前を呼ぶと、とても喜んでくれた。

 そして、別れが近づいた時、自然とあの人の話が出てきた。

 二人が知っていることを合わせても、彼女の正体に近づけるとは思えなかった。

「本当に最後まで分からず終いなの」

「しょうがないよ、彼女(……)とても恥ずかしがり屋らしいから」

「なら、しょうがな、…………ふえ?」

 なのはが固まる。

「えええええええええええええええええええええええええええええ!? シグルドさん、女の子だったの!」

 その声を聞きつけて、クロノたちもやってくる。

「なんだなんだ、どうした!?」

「えと、男の子のシグルドさんが、実は女の子で、私より強くて、かっこよくて」

「なのは落ち着いて! ほら深呼吸」

 少しして、やっと彼女は落ち着いた。

「ああ、そう言えばなのはには話してなかったな」

 そうクロノが言う。

「そのことは僕らも少し前に知ったところなんだ、あの時は本当に驚いた」

「だよな、口調がまんま男、と言うかじいさん風だったのに」

 刃がうんうんと首を縦に振る。

「ユーノも知ってたと思うけど」

 そう言うとユーノに皆の視線が集まる。

「えっと、確かに知ってたけど、あの、その……」

 彼が言わなかったのも無理はない。

 誰しもあんな風に知ってしまったら、言い出しづらいと思う。



 そうして、私たちはお互いの髪留めを交換して、別れの時。

 意外すぎる乱入者は、その時やって来た。

「わーー!? まって、そこの人ちょっとまってーーーーーーーー!!」

 遠くから聞き覚えのある声が近づいてくる。

「「「「「「え!?」」」」」」

 その人にみんなの目が釘づけになる。



 それは死んだはずの私の姉、アリシア・テスタロッサだったからだ。



「ふーー、何とか間に合ったぁ~~~~~~」

 彼女は汗を拭うと、私たちに頭を下げる。

「こんにちは、アリシア・テスタロッサです、気軽にアリシアと呼んでください」

 彼女はそう言うが、私たち全員が固まって、反応できない。

「えっと、何かおかしなところありました?」

「いや、そうじゃないんだ」

 年長者のクロノがいち早く復活して、アリシアに話しかける。

「じゃあ、どういう、あっ! ちょっと待ってください、あなたに渡すものがあるのでした!」

 そう言って彼女のポーチから小さい情報媒体を取り出す。

「管理局の黒い髪の人にあったら渡せって、お姉ちゃんから言われてました」

「お姉ちゃん?」

「うん、私とお母さんを生き返らせてくれたお姉ちゃん」

 その言葉に私の思考は止まる。

 母さん、が生きてる?

「今は全身が筋肉痛で動けないらしいから、私一人でここまできました!」

 そう言って胸を張るアリシア。

「えっと、もしかしてお姉ちゃんって、シグルドさんのこと?」

「んと、多分そう! お姉ちゃん、レイとの戦いでかなり無茶したらしいから、しばらく寝たきりが続くみたいで、今お母さんが看病してるの」

 彼女がどうやって姉さんを生き返らせたかは分からない。

 けれど、私の目の前にいる彼女は間違いなく本物だ。

 私の記憶と魂がそう告げている。

 私は一歩前に出る。

 しゃがんで、姉さんと同じ目線まで合わせる

 深呼吸をした後、私は言った。



「初めまして姉さん、私はフェイト、あなたの妹です」



「初めまして! 私はアリシア、あなたのお姉ちゃんだよ!」



 そう言って笑い合う私たち、それを祝福するかのように、空は青々と輝いていた。 
 

 
後書き
「番外兵士」
本来所有している死体兵士ではなく、後から手に入れた兵士のこと。
こちらは自由に切り離しができるが、切り離すと二度と使用できない。
「サズ」
非戦闘型死体兵士、戦闘能力はないが圧倒的な検索能力と情報量を誇る。



はい!
ようやく無印最終回!
これより後はしばらくの空白期を書いたあと、A'sに入る予定となります。
、、、、、、、ただ、前の連投稿でストックを使い切って不安ではありますが、
できる限り投稿時間には間に合わせます。
では、また 
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