DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
第51話:迷惑度がハンパない
(コーミズ周辺)
シンSIDE
大まかにだが、これまでの経緯を説明してくれるマリーさん。
「そんな訳で私の仲間がピンチってるのです! つべこべ言わず助けるのに協力してくれませんかお父さん?」
目の前に辛うじて生き残った数名の兵士が居るのに、最早眼中にない様子。
「別に……つべこべ言わないけど……まだそちらが解決してないんじゃねーの?」
「や、やはりお前達は、あの戦士の仲間だったんだな!? 完全に不審人物じゃねーか!」
協力を要請されたリュカさんは、残った兵士達を指さしトラブルを指摘する。
「ちっ……うっさいモブ共ね! ゴチャゴチャ叫いてると、私のメラゾーマで真っ黒にするわよ!」
「わ、我らは栄えあるキングレオ兵! テロリストの脅しには決して屈しない!」
う~ん……どうやら真面目な兵士達みたいだ。
マリーさんの言い分とは違う気がする。
「悪いが俺達はテロリストではない! テロを行っているのは、お前等の王だろ……俺達は奴を倒しに来たんだ」
マリーさんでは問題が大きくなると感じたウルフさん。
颯爽と前に出て兵士達を説得する。
「くっ……へ、陛下にお仕えするのが兵士の勤め! お前等の言い分を鵜呑みにする事は出来ん!」
まぁそうなるだろう……真面目に兵士をやっているけど、善悪の基準はそこにはないのだから。
結局倒すしかないのだろうか?
「では、君たちはここで俺達が事をなすまで、大人しくしていてくれ……ラリホー!」
「うっ……」
残った兵士達が一斉に倒れ眠りに就く。
「さ、流石ウルフさん! 血生臭い事をせずに問題を解決しました!」
既に何人もの死者を出している事には触れず、ウルフさんの状況に沿った判断を称え、遠回しにマリーさんの行いを注意する。
「だって仕方ないじゃん! 私は攻撃魔法以外使えないのだから……しかも親の血を強く引いてて、魔法力が大きいから手加減も出来やしない! だったらいっその事、何が起きたか解らない程一瞬であの世に送った方が良いじゃない! 苦しまなかったんだから、それで良いじゃんか!」
やべー……何だこの一家は!?
段々難易度が高いキャラが現れるよ。
リュカさんも厄介だけど、この娘の迷惑度はハンパないよ!
我々の行く手を遮る兵士達(少数)が眠りフリーになったところで、キングレオ城へと歩を進める。
このとんでもない状況に、何か明るい話題がないかと頭を悩ませていると、リュカさんが娘さんに向けて、先程の件を注意し始めました。
「マリー……お前が吹き飛ばした人達にも、帰りを待ちわびる家族があり、各々人生が存在するんだぞ! もう少しやり方ってのがあっただろうに……」
「しょ、しょうがないじゃん……咄嗟の事だったんだから! もしかしたら私はレイプされてたかもしれないのよ!?」
「違うよ……大人しく犯されろとは言ってない! やり方があっただろうって言ってるの! 例えば、イオ系で吹き飛ばすのではなく……ギラ系で炎の壁を造り、近付いて来れなくするとか。ヒャド系で奴等の足だけを凍らせて、身動きとれなくするとか……命を奪う事はないだろうって言ってるの」
「うぅ……だって……」
初めて見るリュカさんのまともな父親ぶり……マリーさんも俯き反省している。
何時もこのスタンスで居てくれると、旅の仲間としては助かるのだけれど……
「お前……その性格を早く直さないと、ウルフにだって捨てられるぞ!」
「にゃぁ!? ウ、ウルフは私を捨てたりしないわよ! ちょ~ラブラブなんだからね!」
そうだろうか……新たな恋人のリューノちゃんが現れた今、面倒極まりない女は必要無いのではないだろうか?
「ウルフ……マリーと別れても、お前は僕の義息だからな! 何時までも家族だから気にするなよ」
きっとリュカさんは、ウルフさんとリューノちゃんの関係を知っているんだと思う。
だってウルフさんから苦笑いが取れないもの!
「す、捨てられないって言ってんだろクソ親父!」
魅惑の三角関係に気付いてないマリーさんは、それでも必死になってウルフさんとの仲を強調する。
豊満な身体を彼の腕に押しつけて。良いなぁ……
「……ちょっと、お父さんってば機嫌が悪い? どうしましたかしら?」
そりゃぁ……娘の暴虐ぶりを目の当たりにしたのだから、多少の機嫌は損ねるだろう。
でもワザワザ訪ねたって事は、普段はこの程度で機嫌が悪くならないのか?
「きっとリュカさんは、何時まで経ってもビアンカさんに合流出来ないから、ちょっとヘソを曲げてるんだよ」
「あぁ……お母さんに会えないから、ご機嫌斜めなの! 子供ねぇ……」
ビアンカさんってリュカさんの奥さんなのか……
どんな人なんだろう? 娘さんがコレだから、ちょっと怖いなぁ……
「お父さん大丈夫よ。私達をこの時代に追いやったのは、この時代の事を熟知しているヒゲメガネよ! 貴方の奥さんは100%安全で無事に暮らしているはず」
度々出てくる『ヒゲメガネ』なる人物……一体誰なんでしょう?
「そんな確証があるの?」
「100%ある! だって聞いてお父さん。確かに新たな冒険を希望したのは私だけど、連中の本心としては、お父さんを送り込みたかったんだと思うの。お父さんを送り込んで、世界中を冒険させて、そして平和にさせるのが奴等の計画よ!」
「それとビアンカが安全なのと関係があるの?」
「じゃぁ聞くけど。もしこの時代に飛ばされて、最初からお母さんと一緒に居たら……お父さんは冒険の旅に出立した?」
元の時代に戻る方法を探す為、出立するのが当然なのでは?
「しない。近場の町か村に家を買い、ビアンカとひっそり暮らす! ビアンカが居れば時代や世界など関係ない!」
えぇぇ……元の時代に帰る事をボイコットしちゃうの!?
「ほら。だからヒゲメガネは一考を案じたの! お母さんを“世界補平和にする”事の重要地点に送り込めば、ズボラ王も渋々ながら世界を平和にする為、この時代の勇者等に協力するだろうって!」
そして、その通り俺等と冒険しているリュカさん……ヒゲメガネさんて頭脳派?
「はぁ……ヒゲメガネの奴ぅ……今度会ったら絶対殴る! あの髭を右半分だけ引っこ抜く!」
「ですからリュカさん、アリアハンにあるエレベーターって言う装置の提供をさせましょうよ!」
「おやウルフさん……国王筆頭書記官殿はアリアハンの便利装置がお気に入り?」
「そうなんだマリー。今回の詫びとして、リュカさんからアリアハンへ脅しかけてほしいんだ!」
「ダメだよウルフ。今回の件でヒゲメガネに何かを強要する気はない!」
……アリアハンというのはリュカさん達の時代の国なのだろう。ではヒゲメガネさんとはどういう関係なんだ?
「どういうことですかリュカさん!? 今回は何もお咎め無しで許しちゃうんですか?」
「そうじゃない。そうじゃないけど、何らかの技術提供すれば、今後も一方的に迷惑掛けても許される様な、そんな状況を造りたくないだけだ」
「し、しかし……グランバニア王を勝手に異時代に召喚させておいて、咎め無しというのは……」
「別に咎めないとは言ってない。事ある毎に今回の騒動を持ち出して、奴等の立場を弱めて行くんだ! 代替わりして僕程強硬的になれない奴が国王になっても、今回の事を歴史的な重罪として語り継げば、アリアハンより立場を上にする事は可能だ!」
「なるほど……ティミーさんではヒゲメガネに勝てませんもんね! でも今回の件を持ち出せば、奴等も弱腰になりかねない……流石陛下! 先の事まで考えてるぅ~!」
ティミーさんて誰だろう……会話の流れからすると、リュカさんの跡を継ぐ予定の人物だろうな。
でもその人じゃヒゲメガネさんに勝てないって事は、父親のリュカさんより幾分かはまともな人間なのかもしれない……
俺はトルネコさんやブライさんに視線を巡らせる。
お二人もリュカさんを取り巻く環境に興味があるみたいなのだが……
もう既にキングレオ城が目の前な為、質問する事を憚っている。
リュカさん達をタイムスリップさせる事の出来るヒゲメガネさん……
そのヒゲメガネさんと関わりのあるアリアハン……
リュカさん達の故郷はグランバニア。
凄い力を持っているのはアリアハンみたいだけど、それ以上の存在なのがグランバニアのリュカさんみたいだ。
知りたい……彼らの時代の事を、事細かに知りたいよ。
リューノちゃんに尋ねても、リュカさん至上的回答しか返ってこないだろうから、客観的な世界観が解らないだろうなぁ……
やっぱりウルフさんに尋ねるのが妥当なんだろうけど……
今後はマリーさんが常に側に居るだろうなぁ……
非常識すぎて怖いなぁ!
シンSIDE END
後書き
やり手ウルフは、マリーを助ける為にリュカさんの説教を別の話にすり替えた。
もしかしたらビアンカの次にウルフがリュカさんを操るのが巧いかもしれない。
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