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生還者†無双

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完全武装

 
前書き
更新は遅めになります… 

 
全く、胸くそわりぃな…
一面に転がる腐乱した死体を改めて見回す
殆どの死体は年寄りや子供だ
若い女はその場で犯され殺されている者もある
まるでイナゴだな
その場に存在する全てを食い尽くす
人間じゃあねぇ…
っと何を俺は真面目に考えてんだ
戦場じゃあ良くある事だ
時代が変わっても人間のやる事は…
何にも変わりはしねぇ

弱肉強食

これが現実だ
だが…限度ってもんを知らねぇ奴等も気にくわん
それに最近ストレスが溜まってんだ
腕が鳴るぜ…
しかし約1万相手にどうするかが問題だな
手当たり次第にぶち殺す…のは無理だ
体力的に無理だろ、ボーならやりかねんが…
ナイフ一本に手榴弾が3つ
どうしたもんかな…


腕を組ながら考えていると
ふと見覚えのある【物】が目に入る
それは焼け焦げ崩れた小屋から
【物】の一部がはみ出ていた
そんな馬鹿なと慌てて近寄る
崩れた瓦礫を退かすと…

「おい、まじかよ」

特徴的なアルファベット2文字の会社のロゴ
アーカムの文字が書かれた補給品のケースだった
所々が焦げてへこみ塗装も剥げて
電子ロックの部分も完全に破損している

「ふん!」

バギン!バキバキバキ
強引にケースを開く
手段を選んでいる場合ではない
身の丈程の大きなケースだ
一体どんな物が入っているか…

「ピュ~♪イカスぜ」

ついつい顔が崩れる
ケースの中身は宝の山はようだ
しかもご丁寧に服まで入っている
流石は天下のアーカム
金持ち企業は伊達ではない

「TAR-21に弾倉が5ダース…C4もあるのか? 」

何故こんな物があるのか?
疑問は尽きないが状況が状況である
とりあえず現段階で必要な物だけを取り出す事にした
慣れた手付きで身体中に武器を取り付けていく
その様は映画コマン●ーの1シーンの如く
ジャッキン!
聞き慣れた金属音
身体の一部の様な一体感
全身にかかる装備の重み
ここに傭兵 暁 巌 が完全復活した
服を着替えて新品のOD色のBDU姿になり
全身武器の強襲仕様

「今の俺には宇宙人だって眼中に無ぇぜ」

銃を構えてしみじみ思う
しかし…無駄に弾薬を消費する訳にもいかん
良く考えて使わないとな
ケースを瓦礫で偽装して立ち上がると
愛紗がこっちに向かって歩いてきた

「ご…ご主人様、その格好は?」
「何、ちょいとばかしお色直ししただけだ」
「緑色の服に…身体に妙な飾りもありますが…」
「愛紗、俺が先行して適当に始めるからよ、お前らは予定通り明け方に攻めてこい」
「そんな!無謀です!私達も…」
「お前らが来たら誰が野郎共の指揮とるんだよ?」
「そ…それは」

全く、俺はガキじゃあねぇぞ
女のお守りなんて洒落にもならん
そんな顔するなよ…
まさか俺が正面から突撃するとでも思ってるのか?
筋肉馬鹿じゃあるまいしそんな事やらんぞ

「心配するな、煙りが上がったら合図だ 頼りにしてるぜ?」

愛紗の肩に軽く手を置くと
ダッと駆け出し気配を消す
暁はすっかり日の落ちた荒野に消えた

「桃香様!すぐに戦の準備をっ!」
「ど、どうしたの?愛紗ちゃん?」
「どしたのだ?」
「ご主人様が一人で…賊の砦に向かわれた!」
「「ええー!!!!」」

すでに宿営の準備をしている軍団に
いきなり進軍の号令をかけてもうまくいくはずもなく
陣内は混乱を極めた



あれが砦か…
なかなかデカイな
双眼鏡で辺りを伺う
規模は本当に1万位だろう
砦の回りの焚き火の数が物語る
さて中々骨が折れるぜ…
立ち上がると砦の外壁に向けて走り出す

「たっく…何で俺達が見張りなんだよ」
「そうだそうだ…まだ飯だって食ってねぇのに」
「他の奴等は今頃…おい!聞いてんのか?」
「が…がっぺ!」

隣の男が立ちながら痙攣している
暗くて良く見えない…
何が起きているんだ…?
痙攣する男の喉にはナイフが突き刺さり
口から血が溢れている

「お…おい」
「ぺ!ぺ!ぺ!」
「相棒は眠いとさ…お前もそうだろ?」
「なんだっ手前ぇぎっ!」
「寝言は寝てから言いな」

顔を鷲掴むと凄まじい勢いで捻る
ゴキィと低い音がした
難なく首の骨をへし折り
死体を茂みに投げ捨てる
やれやれ…歯応えの無ぇ野郎だぜ
背伸びをして首を回す
さてこの高い壁を登る訳だが…
準備運動しないと疲れが後日残るからな
俺も年をくったもんだ
外壁にワイヤーアンカーを撃ち込み登っていく
本当に便利な物も入っていたぜ
アームパット内蔵型なんて激レア物に違いない

「よっと」

外壁から砦に侵入すが
そこには誰もいない
いたる所で下品な笑い声が聞こえる
祝勝会でもやっているのだろう
おいおい歩哨も立てずにどんちゃん騒ぎか
お気楽なもんだぜ
まぁ能無しでも数が集まれば
自分が強くなったように感じるものだしな
さて…俺は俺の仕事をやるかね
バックからC4と雷管を取り出す
遠隔作動式で手元のスイッチで爆発する仕掛けだ
柱や外壁…いかに効率的に破壊力が伝わる場所を探して
砦のいたる所に設置していく
元々朽ち果ているような砦だ
木っ端微塵に吹き飛ぶだろうな

「おっし!これで最後か…ん?」

通路の奥から笑い話が聞こえる
どうやらこの砦の玉座らしい部屋の廊下にいるようだ
こんな所まで入っていたのか?
そのわりに誰にも会わなかったぞ
どんだけザルな警備なんだ…
賊の不用心さに呆れながら声のする方へ向かう
部屋に近付くと声が鮮明に聞こえてきた

「ガハハ!ちょろいもんだぜ」
「頭にかかれば村の一つや二つ目じゃあないぜ!」
「今回の村はハズレだったな、ガキと年寄りしかいねぇ」
「ゴミみたいに這いつくばって逃げようとしてるんだ!笑えたぜ」
「ジジィババァは子供は助けてくれしか言わねぇんたよ!ボケてんだよなぁ」
「「「アハハハハハ!」」」

下品な笑い声が響く
自分にも良く分からない感情が込み上げる
別に腹が立つわけではない
弱肉強食がこの世の摂理なのだから
ガキと年寄り殺して喜んでる…
つまらねぇ…つまらねぇゴミ共だ
この扉一つ隔てた人間に対して
情け容赦は要らない
徹底的にぶっ潰す
ジャカ…カチカチカチ
銃を構えるとセレクターをフルオートへ
そして躊躇なく引き金を引いた

ババババババババババババ!!

甲高い音が鳴り薬莢が吐き出される
木製の扉は5・56mm弾に耐えられるはずもなく
穴だらけになりバタンと倒れる
扉を貫通した弾頭は岩の壁に当たり火花を飛ばす
床の粗末な食器や食べ物は弾けとび
何人かは跳弾で負傷して叫ぶ
阿鼻叫喚
暫くすると音が止み不気味な静寂が部屋を支配した
部屋の松明の明かりが廊下に漏れている
ホコリが舞い入り口付近が見えない…
カツ コツ カツ コツ
足音が聞こえる
ホコリ越しに何かが見えた
人間…なのか?
賊達は入り口を見つめる
そしてホコリが晴れて黒い影が姿を現した…
見た事のない身なりの男が立っている
中の男達は何が起きたのか理解出来ず固まってしまっている
ガチャン…ジャッキン!

「死ぬ準備は出来たか?ゴミ共?」

薄ら笑いをしながらたずねる
これから一方的な虐殺が始まろうとしていた 
 

 
後書き
夏が終わろうとしている… 
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