八条学園怪異譚
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第三十六話 美術館にその三
「まして今は暑いから」
「夏だからね」
愛実もこの辺りの事情はわかっている。
「どうしてもね」
「そう、ちょっと油断したらいたむから」
食べ物がだ、それは店にとっては何があっても気をつけなくてはならないことだ、それで今家族で話すのだ。
「だから忙しい時はね」
「ええ、わかってるわ」
愛実も確かな声で答える。
「時間があればね」
「そう、二人共御願いね」
「チロのこともあるしね」
愛子は家の飼い犬の名前も出した。
「ちゃんとお散歩やブラッシングもしないと」
「そう、チロにも気をつけてね」
犬についてもだというのだ。
「あの子ちょっと目を離したら何か口に入れるから」
「そうなのよね」
「だから気をつけてね」
「ええ、夏でなくてもね」
夏休みの朝も愛実の家はいつもと変わらない、今日も忙しくなることを予感しつつ和食を楽しむ朝だった。そして。
愛実は学校に行くとまずはかるた部の部室に入った、丁度部室の扉のところで聖花に会った。
挨拶をしてからそれぞれジャージに着替えそのうえで掃除をはじめる、部室の中の掃除をしながら二人で話す。その話題はいうと。
「やっぱり聖花ちゃんのところは朝はパンなのね」
「うちはね」
絶対にだというのだ。
「パンよ。それと牛乳よ」
「あとサラダね」
「牛乳は冬はホットミルクだけれどね」
基本的な組み合わせは変わらないというのだ。
「絶対にパンね」
「そうよね」
「朝はパンじゃないとね」
聖花は聖花でこう言う。
「何か調子が出ないのよね」
「私も。朝はね」
「愛実ちゃんは御飯よね」
「ええ、そうよ」
畳の上をはきながら話す。聖花は窓を拭いている。
「それで飲むのはお茶よ」
「今は麦茶よね」
「牛乳も好きだけれど」
だが朝はというのだ。
「お茶からjはじめないとどうしても」
「愛実ちゃん調子出ないのよね」
「そうなのよね、何か朝はね」
「お互いこれだって決まってるわね」
愛実は御飯、聖花はパンだ。それぞれの家の店が大きく関係している。
だが朝が終わればどうか、聖花はこう愛実に言った。
「御飯の方が多いわね、お昼は」
「私もお昼にパン食べること多いわね」
「というかお昼のおやつにパン食べるわよね」
「菓子パンね」
パンと一口に言っても色々だ、菓子パンの類も多い。二人はお昼のおやつに菓子パンを食べているのだ。
「餡パンとかジャムパンね」
「クリームパンもいいわよね」
「それでメインは定食とか丼よね」
「そういうの食べてるわよね」
二人でお昼のことも話す。
「それで夜は御飯」
「晩御飯はそれしかないわよね」
二人共夜はこれだった、御飯だ。
「何か御飯もパンもね」
「私達ってどっちも食べてるわよね」
「そうよね」
二人でこのことに気付いた、そしてだった。
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