| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?

作者:海戦型
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

テイルズオブナイツ・5

 
前書き
このタイトルに反応した人は魔神剣!魔神剣双牙!魔神連牙斬!斬り刻む…遅い!魔人千裂衝!二度と逢うことmうはっうはっバカなっ!
剛・魔神剣が好きなんだけどRM3ではちっともコンボに組み込めなくて泣いた。 

 
 
帰ってきたと言うべきか言わざるべきか。卒業間近で死んでしまったためついぞ卒業の叶わなかった母校に思いを馳せながら、僕は新たなる母校へと降り立った。
校舎が木製じゃない上にプールがあるなんてブルジョワ過ぎる・・・え?いまどき木造の校舎なんて逆に珍しい!?

(そうなんですかゼルギウスさん!?)
≪そのようだ≫
(そんなに繁栄したら恐怖の大王が舞い降りて世界が壊れちゃうかも)
≪少年、ノストラダムスの予言なら外れたぞ≫
(え゛ぇ!?もう21世紀だったの!?カルチャーショーック!!)

ここは未来の世界だったのか。珍しいものたくさんあるけど”都会ってこんなものあるんだ”くらいにしか考えてなかった。密かに無念だった21世紀突入イベントが既に終わってると知って僕の心はマリッジブルー。蒼の力を見せてあげられそうな気分だ。


学校の名は、私立聖祥大学付属小学校・・・ではない。最初はそこに入れられるという話だったのだが、この学園は小学校から大学までエスカレーター式らしく求められる学力も高め、おまけに学費がかなーりシャレにならない額だったためこっちから遠慮した。名門とか言われる学校ってあんなに金とるんだね・・・いくらなんでも会ったばかりの人にそこまでお金を払ってもらう訳には・・・とネゴシエーションした結果、僕はもっと普通の小学校――私立・陽色(ひのいろ)小学校――に入ることに相成った。

僕は前世では小学6年生だったわけだが、ここに来てからはどうも体が縮んでいるせいで肉体年齢10歳前後という何ともはっきりしない感じになった。これも黒ずくめのオッサンたち仕業に違いない…と思ったけどよく考えたらあのオジサンの仕業だよね。学力テストで小学6年生相当の学力があることは認められたが、とりあえず仮年齢が10歳なので肉体年齢の方を優先して小学5年生に編入された。


細かいことは省略して教室。カットカットカット、時間を消し飛ばして結果だけ残す。


この学校に来てすぐに、沖浦涼吾(おきうらりょうご)という子と友達になった。なんだか内気で気弱な所に親近感を覚えたからだ。という訳で今彼にクラスのメンバーの事を教えてもらってる。
沖浦君はクラスで孤立しがちみたいで寂しかったのか、僕の頼みを妙に嬉しそうに引き受けてくれた。

「あそこでニコニコしてるのが由良正義(ゆらまさよし)君。優しそうに見えるけどいじめっ子なんだ。僕も何度も蹴飛ばされたよ・・・」
「・・・イジメは、嫌だね」
「僕もだよ。それで今由良くんに突っかかってるのが羽丘芽美(はねおかめいみ)さん。彼女、真面目だから由良君とはそりが合わないんだ。よく由良君が嫌なことを言うとあんな感じで喧嘩してるよ」

実際のところは羽岡さんが由良君に食って掛かり、それを由良君がのらりくらりと躱しているといった感じだ。よく見ると由良君の額には軽く血管が浮き出ているので結構いらついているようだ。その光景を見つめる沖浦君は複雑な表情を浮かべるが、直ぐに気を取り直す。

「で、その横でノートに落書きしてるのが鷺月子(さぎつきこ)ちゃん」
「よくあの近くで平然としていられるね」
「彼女、天然でマイペースなんだ。それからあっちにいるのが・・・」

ふぅむ、この教室のメンバーはどこか我が強いというか、独特の存在感を発している人が多いように感じる。よく見ると銀髪オッドアイの少年や人の心が読めそうな少女、世界を大いに盛り上げそうな少女など愉快そうな面々が揃っているので退屈はしなさそうだ。







「This day just can't get that much worse! (今日以上に最悪な日は無い)
 Please, return to human being! (お願いだから俺を人間に戻してくれよ)
 Whatever doesn't impress it unto me!  (何も感じられないこの世界を)
 Please make this a real world!  (頼むから俺の知る現実に変えてくれ!)」
「もう少しゴキゲンな歌を歌えよリョーゴくぅん・・・」
「何を歌おうがリョーゴ君の勝手でしょ?アンタが口出すことじゃないわ!」
「ンだとこのアマ!?」
「何よこの悪ガキ!!」
「・・・喧嘩はよくない」

何やらよくわからない英語の歌を歌いながら歩く沖浦君。その後ろを行く僕、由良君、羽丘ちゃん。現在僕達は街を散策中である。土地勘がない僕を沖浦君が案内する話になったところ急に由良君が一緒に行くと言い出し、それを訝しんだ羽丘ちゃんがそれについていくと言い出したためこんなメンバーになっている。
羽丘ちゃん曰く、「正義の事だからどーせ隙を見て二人にちょっかい出そうって魂胆に決まってるわ!!全くこんなに悪ガキなのに名前が”正義”だっていうんだからヒニクよね!」とのこと。
なお先頭で歌っている沖浦君は明らかに羽丘ちゃんがついてくると言い出してから機嫌がいい(機嫌がいいのに歌の内容がアレである。歌のレパートリーそのものがネガティブなのかもしれない)。たぶん羽丘ちゃんが好きなんだろうなぁ。

大体3人の関係が見えてきた。沖浦君は気弱なため由良君にイジメられる。その由良君につっかかる羽丘ちゃんは沖浦君にとって憧れの存在なのだろう。由良君と羽丘ちゃんは敵対関係だけど、由良君が悪いことをしないようにと羽丘ちゃんはいつも由良君を見張っている。近づきたい人と近づきたくない人が同時に存在するため沖浦君は羽丘ちゃんに思うように近づけない、といった感じだろう。

「~♪・・・あっと、ここから真っ直ぐ行くと山道に出るんだ。この辺はよく野鳥が飛んでるからバードウォッチングに人気があって・・・」





『キョエエエエエエエエエエエエ!!!』





「「「「・・・・・・」」」」


沖浦君の声を盛大にさえぎる鳥の鳴き声・・・鳥、の、鳴き声?いや、いやいや鳥の鳴き声だよね?地面が震えているのではないかと錯覚するほどの咆哮に全員の足が止まった。

「・・・オイ、リョーゴ。今のは何だ」
「・・・僕だって知らないよ」
「鳥さんの鳴き声にしては大きすぎるわよねぇ・・・」
「みんな、上を」

言われるがままに上を見上げると、お空を一羽の鳥が舞っている。
今までの賑やかさが嘘のように静まり返った4人。その鳥は僕たち4人の周囲を回るように旋回している。否が応でもハゲタカが獲物を見つけた時の動きを彷彿とさせた。
いや、認めよう。今まで僕は少々現実逃避をしていて重要な情報を画面の向こうの皆さんに伝えていなかった。そしてその情報を僕の代わりに由良君が代弁してくれた。

「・・・オイ、リョーゴ。この辺は全高5,6メートルの怪鳥が生息してんのか?」
「・・・見たことも聞いたこともないよ」
「ねぇ、あの鳥さん凄くこっち見てるんだけど!鷹の目でこっち睨みつけてるんだけど!」
「・・・僕たちは狙われている?」

『キョァァァァァァァァァァ!!!』

大怪鳥ジークロック(今適当に名前付けた)は額から強い光を発しつつこちらに突っ込んできた。あの光り方・・・リミピッドチャンネル!(※ネタがマイナーな上に違います)
このまま突っ込んで来れば誰か怪我がをするのは確実だ。怪我をすれば血が出るかもしれない。血・・・血は苦手だから見たくないぃぃぃ!!

≪力を使うか?≫
(Yes!Yes!yes!)

ここは一か八か、騎士パワーであの鳥を迎撃するしかないかな。当方に迎撃の用意あり!!と拳を握り締める。すると腕だけが漆黒の鎧に包まれた。アンバランスな姿になりつつも、僕は「血が見たくない」というその一心で突っ込んでくる鳥に腕を振りぬいた。

「危ない!」
「う、うわぁぁぁ!?」
「クソが!」
「・・・!」

ひゅるひゅる、しゅぱっ!ぎゅぅぅぅん!パァン!パァン!パァン!
ゴ キ ン ッ !

『ギョアァァァァ・・・ァァァ・・・』

「え?」
「あれ?」
「・・・あ?」
「・・・これは」

目を開いてみると、そこには謎のオーラに纏わりつかれ、極細の強化繊維で編み上げられたっぽい糸に雁字搦めにされ、揚句に脳天と両目を何かに撃ち抜かれた上で僕の拳が直撃したトリ公の姿が。エグいことになっているが、こいつは血が流れていないようだ。ホッと一安心してたらゼルギウスさんが脳天にある光を自分の中に取り込んだ。

(ゼルギウスさん、なんですかそれ?)
≪危険な物体だったため、こちらで勝手に封印処理を施して保管させてもらった。それよりも、後ろを見よ≫

はっと後ろを振り返ると、由良君の手には火薬くさい煙を上げるチャカが、羽丘さんの手にはワイヤーの伸びた謎バトンが、そして沖浦君に至ってはなぜか突き出した腕に入れ墨のような模様が浮かび上がっていた。みな共通していることは、互いに互いの姿を見てぽかんとしていることだけ。


えーっと・・・何この状況?

―――これが後の「海鳴少年自警団」の創設のきっかけとなることを、僕はまだ知らなかった。


もうちっとだけだけ続くんじゃ 
 

 
後書き
クロエ君は田舎者。ついでに20世紀を生きた人。

今回登場した名ありキャラはみんな元ネタがあるので一発で全部わかった人は挙手してね。

沖浦涼吾・・・マイナー枠。東京は死んでないけど僕は生まれた。
由良正義・・・なんとなく出した枠。自分のために全てを踏んずけていけ。
羽丘芽美・・・昔こんなアニメ見たな枠。主よ、泥棒とマジシャンが合わさり最強に見えることをお許しください。
鷺月子・・・最近のマイトレンド枠。未だ出番なし。成敗されるは誰が心?

銀髪オッドアイの少年・・・海鳴町の銀髪オッドアイ誕生確率はここ数年で跳ね上がっているので因果導体を通して可能性が流れ込んでいる可能性が大。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧