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SHIN プリキュア

作者:ジサボケ
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第一話 光の戦士

目を覚ますとそこは誰かの部屋だった。そして私はその誰かの部屋にある誰かのベッドに寝ていた。さらにその誰かの部屋にある誰かのベッドの誰かの布団は、この世のものとは思えないほどのフカフカさを持っている・・・。一体私はどこにいるのだろう。少し前の出来事を思い出して見る。
「あぁ・・・。」
思わず声が漏れた。そうだ、私はさっきまで怒涛のメルヘンに巻き込まれてたんだ。考えただけで頭が痛くなる。そして、厳密に言えば私は今もそれに巻き込まれている。それはこの見たこともない誰かの部屋が証明している。何ならあの謎の生物も怪物も少女も、そしてこの部屋も、全部夢ならいいのだが・・・。おそらくそれは無いのだろう。なぜなら私には今はっきりと意識がある。ここまで意識があってこれが夢だと言われたら逆に困るくらい意識がある。そうか、ということはつまり、私はこれが夢でも夢でなくても、とても困った状態に変わりはないのだ。これまでの一連の出来事が全て事実だとしても、そうでないとしても、私はとても困るのだ。何でって、これが現実なら言わずもがなヤバイ。逆に夢なのだとしても長いし余りにリアルである。きっと今現実の私はこん睡状態だ。そこで、究極に困った私は考えることをやめた。もうなるようにしかならない。あの謎の生物や怪物や少女がまた再び現れようと、私は知らない。もうどうにでもなればいいだ。何でって、そりゃ私が生きてる意味が
―バン!
心臓が飛び出るかと思った。だって部屋の扉が急に開くから。いきなり扉を開けないでよ!ノックしてっていつも言ってるでしょ!そんな感情がこみ上げてきた。しかし待てよ、冷静に考えたらこれは私の部屋ではない。じゃあ今私を見ているこの少女は誰だ。この誰かの部屋にいきなりノックもしないで入ってきたこの少女は誰だ。単純に考えればこの部屋の主。しかしこの少女の家族が誰一人としてノックをしない人間なのであれば、彼女はこの部屋の主の姉か妹ということに
―バン!
本日2回目のバン!を頂いた。今回は私が寝ているベッドの布団を叩く音だ。両手で叩いてこちらに寄ってきた。結構近い。しかしどうしてこの少女はこう私が真剣に物事を考えているときに騒音を立てるのか。嫌いなのか?私が嫌いなのか?というかあなたは誰なんだ?
「私は愛よ。愛って呼んで。」
完全に心を読まれた。なるほど。やはり彼女もメルヘンの国の住人なのだろう。今度は読心術を使える少女が現れた。しかし舐めるなよ、私は驚かない。もうこの数分で彼女のようなアブノーマルには慣れたのだ。さあ次は何だ、何でもかかってくるがよいさ!
「あたな、お名前は?どこか痛む場所はない?」
えっと・・・、これは私の心は無視されたってことでいいのかな?何なら喋るより、私が考えてることに応答してくれたほうが楽なんだけど・・・。おーい、聞こえてますかー?
「もう、黙ってちゃ何もわかんないよ。あ、それともどこか怪我してる?体調悪い?」
私の心の声、聞こえてませんでした!じゃあさっきのは・・・普通の自己紹介?なんでさ、何でこれまでアブノーマルがノーマルだったのに急にアブノーマルなノーマルではアブノーマルなノーマルが出てきてしましましましま
―バン!
「ちょっとノックしてっていつも言ってるでしょ!」
「ご、ごめんメイ!!」
あ、出たアブノーマル!なぜか少し嬉しくなってしまった。が、しかしやはりそうなのか。やはりそういうことになってしまうのか。この意味不明な原理で意味不明に浮いている意味不明な生き物が再び私の目の前に現れてしまったということはつまり、そう、私はやはり非常識な世界に迷い込んでいる。それが夢であろうと現実であろうとだ。私はこれからどうなるんだ?
「えっ!!!!」
えっ!?!?私何か不味いこと思った!?いや勝手に思うことすら許されないってそのことの方が不味くないか!いやいや落ち着け私。彼女に読心術は無かったんだ。私まで頭がメルヘンになてきた。
「なるほど・・・。」
はい、もうメルンメルンのヘルンヘルンです・・・って失礼な!じゃなくて、彼女に私の心は見えていないのだから。そうか、彼女はあの浮遊生物と会話をしているんだな。そうすると、えっと、
「何の話してんの?」
「えっ!!!」
「えっ!?」
「メイッ!!」
いやメイッって何やねん。じゃなくて、気になって思わず喋ってしまった。別に黙る理由もなかったのだが、何だか驚かせてしまったし気まずい空気に・・・。
「何だ、喋れるんじゃん!ショックで声が出ないのかと思ったよ。」
「メイ、あのタイプのスネーカーを見てショックを受けない子はいないもんメイ。」
そのメイって絶対つけなきゃダメなの・・・?じゃなくて、ショックとかスネーカーとか、だから何の話・・・あ、
「さっきの・・・」
「そうだメイ。さっきのがスネーカー。悪い奴らメイ。でも大丈夫メイ。あれはアイがぶっ倒したメイ。」
「うん!だからもう心配することないよ!それでえっと、何の話してんのって言ってたよね?」
「あ、うん。」
あれ、私この人(プラス謎の生命体)と普通に話してる。待って待って、私は今この状況を理解出来てないわけで、って言うか言ってることもほとんど意味が分からない分けで、こんなドンドン話が進まれると、それはそれでちょっと動揺するんですけど、その、
「実はあたなプリキュアに選ばれたの。」
あぁ、そうですか、いやそんなことより・・・え?
「え?」
「ふふ、何言ってんの?って顔してるね。」
本当に何言ってるんですか?もう使ってる言葉が私の母国語と違うみたいなんですが。
「まぁ簡単に言えば、こういうこと。」
「君は光の戦士に選ばれたんだメイ。」
あぁ、そういう・・・っていやいや。
「全然説明になってないんですが・・・。」
「そうだよメイ・ヒツジ・フワフーワ」
え、そういう名前なのそいつ!?ダサすぎだろ!?
「それ誰だメイ。僕はメイメイだメイ。」
いや違うのかよ!!つか、話が進んでない。
「あの・・・。」
ちゃんと説明しろやおまんら!そんな眼差しで見つめてみる。
「ご、ごめんごめん。そんな目しないでって。大丈夫、ちゃんと説明するし時間は取らないから。」
「というかそもそもここは外とは時間の流れが違うメイ。」
「そうそう、だから大丈夫だよ。ずいぶん寝てたけどそれも大丈夫。」
え、寝てたって私いつの間に。
「メイ、かれこれ2時間は寝てたメイ。」
なんだって・・・!
「そんじゃ説明するから、ちょっと待ってね。」
「え。」
そう言った瞬間だった。彼女は突然光に包まれ、言葉では説明できない不思議で綺麗な輝きを放ち、私はその眩しさに思わず目をそむけた。そしてもう一度彼女の方を見るとそこには・・・、
「あ、さ、さっきの・・・。」
さっき怪物から私を助けてくれた少女がいたのだ。命の恩人だ・・・そんな事を思っていると彼女は言い放った。
「よし、じゃあ行こうか!」
いや、どこに・・・と聞く間も無くまたもやワープで連れて行かれたのは、よく知ってる町並みの場所。
「来たシプね。」
「シープ、今の所異常が見られる場所はあるかメイ?」
「丁度ここから見える屋上にスネーカーが・・・いないシプな。」
ウソ、浮遊生物がもう一匹増えてる・・・。しかも何か二人で話してる・・・。というかスネーカーって化け物だよね。待って待って今からわざわざまたあんなのに会いに行くの!?
「おかしいシプ。さっきまでそこに」
「グァルルルル・・・」
「あ!あれじゃない?」
「ああ、あれシプ。」
「降りてきたんだメイ。」
いやいやいやいや。ちょっと待って。展開が早い!しかも何アレ違う違う想像してたのと違うって。何あれ。え?
「デカすぎじゃね・・・?」
そいつはさっきの奴の2倍はあろう意味不明な大きさだった。そして当然こちらに気づき、とんでもない速さで突っ込んできた。
「どどどどどうすんのおおおおお!!!!」
逃げることも出来ずあたふたしてた。もう頭真っ白で、意味がわかんなくて。そんでチラっと彼女を見た。そしたら何か、凄いカッコイイポーズをしてて、いかにも戦う気マンマンって感じで、次の瞬間
―バン!!!!
化け物を張り手で吹っ飛ばした。
「そんじゃ、見ててね。」
そう言って彼女は走っていった。その光り輝く勇敢な後姿はまるで、
「光の戦士・・・。」
だった。 
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