学園黙示録 終末と武器商人
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高茂の正体
バスは止まることなく床主大橋に辿り着く、しかし、警察が端を封鎖していて動くことはできなかった。ほとんどの人が歩いて橋の状況を確認しようとしていた。
高茂は外の様子を窺いながら今ある状況をどうにかしようと思っていた
高「全く、とんでもないことになりましたね・・・・・」
北「そうですね。いきなりこんなことになっちゃうなんて数日前まで何もなかったのに・・・・・」
高「その通りですね。ですが、今は究明よりもどこか落ち着ける場所が良いですね。あんなうるさい連中と一緒に居たくありません」
北「ふふっそうですね。私も同感です。紫藤先生好きじゃないんで」
高「北原さんも結構な毒舌でw」
北「そんなことないですよ。それに高茂さんたちと一緒にいる方が安全だと思いますし」
高「そうですか。」
そんな事を話していると高城から声が掛かる
沙「二人ともちょっと良い?」
高「おや、どうかしましたか?高城さん」
沙「このバスから降りようと思ってるんだけど、二人はどうする?」
高「もちろん、お供いたしますよ。琴魅さんはどうしますか?」
北「高茂さんが行くなら私も行きます。正直ここには居たくありませんし」
沙「そう。なら、決まりね。」
そう言って沙耶たちは立ち上がり出口へと向かう
紫「おや、どうしたのですか?高城さん」
沙「悪いけど遠足ごっこじゃないのでね。私たちはバスを降りるわ紫藤先生?」
紫「なるほど、構わないですよ。ただし・・・・・・あなた達には残ってもらいましょうか?鞠川先生?高茂君?」
静「ひっ!?」
高「ほう?それはなぜですか?紫藤先生」
紫「まず、この状況では医師は不可欠です。鞠川先生には力を発揮してもらおうと思いましてね。それと高茂君。君は・・・・・そろそろ正体を晒しても良いんじゃないですか?」
沙「どういうことよ?」
高「さぁ?先生のお高い妄想って奴じゃないですか?」
紫「くくっ正直、最初に見たときは分かりませんでしたが、後々になって分かりましたよ。危うく騙されるところでした。そう、Eine kalte Waffe Händler(冷徹な武器商人)」
高「!!」
沙「武器商人?何言ってるの。高茂は普通の高校生じゃない」
紫「それが普通じゃないから言ってるんですよ高城さん。そこにいる高校生は普通の高校生ではない。世界の戦場に武器を売りつける武器商人、グリーンカラーなのですよ。裏の業界では有名な人物ですね。そろそろ化けの皮を剥いでもらいましょうか?高茂君?」
高「・・・・・・くくくっあーーっはっはっは!!!!」
突然笑い出したことに皆が驚いた
北「た、高茂さん?」
平「高茂?」
静「高茂君?」
冴「高茂君?」
沙「高茂?どうしたのよ?」
高「いやぁ、悪い悪い。あんな青二才に正体が見破られちまうとはな。俺自身も落ちたもんだw」
沙「えっ・・・じゃ、じゃあ」
高「あぁ、そうさ。あの青二才の言うとおり、俺は正真正銘、武器商人だ。正規軍から犯罪組織、個人にまで売りつける死の商人。グリーンカラーさ。」
そう言って懐に隠していた煙草を出し、おもむろに火を付ける
北「じ、事実なんですか?」
高「ああ、こうなったら隠しようがないしな。で?お前さんは何が欲しいんだ?」
話に乗ってきたのだと思って紫藤はニヤリと笑う
紫「もちろん、武器ですよ。身の安全を守れる武器が必要です。そして、遅れることはまずない。あなたならそれが可能だ」
高「ああ、もちろん。俺は速達販売が押しでな。今まで一度も遅れたことはない。それに、武器のラインナップは充実だ。身を守る武器が必要と」
紫「えぇ、もちろんです。報酬に「断る」は?」
高「断ると言ったんだ。おめぇさんみたいな胡散臭い私利私欲で動くような奴に売る武器はない。さっさと野たれ死ね。交渉は決裂だ」
紫「で、ですが、あなたは武器商人!犯罪組織にまで売りつけているじゃないですか!あれこそ、私利私欲で動く連中ですよ!」
高「実際に見てないからそんなことが言えるんだよ。馬鹿が。あいつらは私利私欲で動く奴もいる。だがな、間違ったことから国を治そうという気持ちが純粋に伝わってくるんだよ。そんな奴に俺は武器を売っている。心の底から自分の意思を持って国を治そうとする奴とおめぇみたいなカス人間を一緒にするんじゃねぇよ。あばよ。カス紫藤先生」
そう言って窓の外から煙草を捨て、バスを降りようとした。
紫「・・・・・・この・・・・・・・クソ餓鬼が!!!!」
そう言って高茂を殴ろうした
高「甘ぇよ。新兵」
すぐに反転して紫藤のパンチをかわし、懐からボディーブローをかます
紫「ガハッ!」
そして、腕を掴み後部座席めがけて投げ飛ばした
高「こちとら、戦場を何度も行ってるんだ。それなりの護身術はあるんだよ。阿呆が」
そう言ってバスを降りて行った。皆もその後に続いて行った
~河川敷~
高茂は河川敷にて夕日を眺めながら今後の事を考えていた。沙耶たちも何故か。一緒に来ていた
高(はぁ、こんなクソ気まずい場所に居られるかよ。なんで付いてくるんだ。俺は一人になりたいのによ)
煙草を吸いながら思っている高茂
冴「高茂君」
冴子が話しかける
高「・・・・・・なんすか?先輩」
冴「それが君の本来の口調なのか?」
高「えぇ、そうっすよ。学校に居る時の口調は静かでいられるようにしたものです。わざわざ関わりを持つようなことは避けてたんでね」
冴「そうか。なら、私たちは本来の高茂君を見ることができたということだな」
北「あっそれは私も思いました。」
静「私も~」
高「は?え?」
高「皆にばれてるのよ。私もそう思ってたわ。礼儀が正しすぎると思ってね。まぁ、武器商人っていうのは驚いたわ。」
平「良いじゃないですか!武器商人!かっこいいじゃないですか!高城さん!」
沙「うっさい!あんたはだまってろ!でぶちん!」
平「そ、そんな~」
高「どういうことだってばよ」
冴「君みたいな優男があんな俊敏に戦闘をできるはずもない。ましてや今までの行動からは武器商人らしからぬ行動だったがね。私は惹かれていたのかもしれない。高茂君は信頼できるからな。」
北「武器商人には驚きましたが、私は助けてもらいました。その事だけでも十分に違います。高茂さんは悪い人じゃないんだって」
沙「そうよ。私も助けてもらった身だし。その事に関してとやかく言うつもりはないわ。まぁ、だまされたって言うのが本音だけど。信頼してるってわけ」
平「高茂がどんな風だって俺は友達だと思ってるし!」
静「高茂君は良い子じゃない。先生は信頼してるわ」
高「み、みんな・・・・・・」
初めて言われたのか高茂の目からは涙が出ていた。そっと、琴魅がハンカチを差し出す
北「私は高茂さんがどんな人であろうと付いていきます。高茂さんのそばに居たいんです。これは私自身の意思です。」
高「ありがとう・・・・・すまなかった。騙してしまって、だが、俺も約束する。必ず皆をこの地獄から守ってみせると。」
沙「なら、決まりね。高茂はこのチームの仲間なんだから。外すことは許さないわ。にしても勢いで飛び出しちゃったけど、ここってどこら辺なの?」
平「確か、この先には御別橋がありますよ。」
冴「小室君達とも合流を果たしたいが何処に居るのか分からないしな。このままでは日が暮れてしまう」
とりあえずは御別橋に向かうことにした高茂達だった
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