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リリカルなのは~優しき狂王~

作者:レスト
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第四十三話~女性の誓い~

 
前書き

更新遅れてスイマセンm(_ _)m

今回書いてて思ったのは、いくら鈍感でも気付くときは気付くと思うんですということです。

 

 



機動六課・隊舎


 ヴィヴィオの爆弾発言から復帰したライたちは、各々のやるべきことをするためにその場を解散していた。
 なのは、フェイト、はやての3人は元々予定していた聖王教会での会議の為に外出し、そしてライはヴィヴィオと共になのはとフェイトの私室で時間を潰していた。
 少し前に届けてもらったお菓子を頬張るヴィヴィオ。そしてヴィヴィオを膝に乗せてソファに座るライは彼女を優しく見守るように眺めていた。
 お菓子を食べ終わったヴィヴィオはライの方に顔を向ける。その彼女の口の回りには今食べていたお菓子の欠片やクリームが幾つもついていた。

「ヴィヴィオ、少しじっとして」

 そう言うと、ライはハンカチを取り出しヴィヴィオの口元を拭っていく。

「むぅ~~」

「もう少し我慢して」

 口元を拭われるのが苦しいのか、ヴィヴィオは嫌そうな声を上げた。そして拭い終わったというサインの代わりにライはヴィヴィオの頭を撫でる。それが気持ちよかったのか、ヴィヴィオは目を閉じて頭を撫でられる感触を楽しんでいた。
 そんな時、ライはふと思いついた疑問をヴィヴィオに尋ねてみた。

「ヴィヴィオ、どうして僕をパパって呼んだのかな?」

 そのライの質問を聞いてヴィヴィオは何かを思い出すように喋り始めた。

「……あのね、パパと会う前に教えてくれた人がいたの」

「うん」

「その人がヴィヴィオのパパになってくれる人がいるって言ってくれたの」

「それが僕?」

 自分を指さしながらライは尋ねた。ヴィヴィオはそれに頷いて返す。

「それはどんな人だったのかな?」

 ライの事を知っている人間はこのミッドチルダの中では極端に少ない。だが、例外として今敵対しているジェイル・スカリエッティの一派などがいるため、ライはヴィヴィオが自分たちに会う前にどんな人と出会っていたのかを知るためにこの質問をしていた。
 ライからの質問に答えようとヴィヴィオは必死に思い出そうとしているが、思い出せないのかその表情は曇っていった。

「分からなければ無理に答えなくてもいいよ」

「……ごめんなさい」

 できるだけ優しく言ったライであったが、ヴィヴィオは本当に申し訳なさそうにそう言ってライに再び抱きついた。それは自分を見捨てないで欲しいというヴィヴィオなりの感情表現であった。

(本当に優しい子だ)

 ライはそう思いながら、ヴィヴィオの背中を優しく撫でる。その状態が幾分か続いてヴィヴィオは眠くなったのか、次第に目蓋を落としていく。そして眠る最後にこう呟いた。

「………やさしく……してくれた………おかあさん…………みたい…に………」

 それだけ言うとヴィヴィオは、あの時撫でられた感触と今ライが撫でてくれている感触が同じであると感じながら、眠りについた。



機動六課・宿舎・廊下


 日が落ちて外が暗くなった頃、聖王教会から戻ってきた3人は、そのままなのはとフェイトの私室に向かっていた。
 3人は聖王教会で行われた会議の内容をそれぞれ考えていた。その内容は、機動六課の後見人の1人であるカリム・グラシアが持つレアスキル、『予言者の著書/プロフェーティン・シュリフテン』についてであった。
 正確にはそれが予言した、ある未来の出来事を示唆する内容についてであった。その内容とは、現在次元世界の秩序の基盤となっている管理局の崩壊。
 元々、機動六課はこの予言が実現した際に備えて設立されたものである。だが、それ程の規模の話を何故、一つの部隊という少数勢力しか備えがないのかというと、管理局内の不和が原因になっていた。
 機動六課が所属するのは管理局の地上本部となっている。だが、この地上本部には基本的に高ランクの魔道士が少ない。その理由としては、他の大きな二つの部署である空を取り仕切る航空部隊と次元世界間を担当する通称“海”と呼ばれる部署に集中的に魔道士が回されるからだ。
 ミッドチルダという魔法社会の中では質量兵器が禁止されている。その為、魔法を使わずに純粋な科学力を使用しなければ防衛などができない空と海と違って、地上の方には魔道士の配備は後回しにされているのだ。その為、人員配置に始まり運用資金等の違いにより、陸、海、空のそれぞれの部署は仲が悪い。
 そして今回のことは地上本部の実質トップであるレジアス・ゲイズ中将がレアスキルを嫌っていることと、この対策の主導が海であるがその活動は陸で行われるためにどうしても規模が小さくなってしまったのだ。

閑話休題

 今回3人が参加した会議では、その予言についての詳細を知らなかったなのはとフェイトの2人に説明を行っていた。
 粗方の説明が終わった後、今回欠席したライについての話が行われた。機動六課のメンバー以外で、現在ライの本当の経歴を知っているのは機動六課の後見人であるカリムと、今回の会議に出席していたもう1人の後見人であるクロノ・ハラオウンである。
 この2人は今回の会議で、ライの人柄を見極めて今後どうするかを決めるつもりでいた。だが、急な欠席と聞いてライを疑い始めた2人。その2人のライに対する誤解のようなイメージを、3人はいつもの彼と今回の欠席した理由を説明することで、なんとか払拭することに成功していた。
 その時の事を思い出したのか、3人は通路を進みながら苦笑していた。そんな中、唐突にはやてが2人に声をかける。

「なぁ、なのはちゃん、フェイトちゃん、ちょっとええかな?」

「うん?」

「どうかしたの?」

 そう言って呼び止めるはやての顔はどこか覚悟を決めたような表情。そのはやての表情を見て、なのはとフェイトの2人も表情を真剣なものに変えた。
 この3人がなのはとフェイトの私室に向かうのは、今回の会議の内容を聞かせてライを自分たちの都合に巻き込むことが目的であった。この考えを思いついたのはこの3人ではない。今回の会議に出席したカリムとクロノの2人からの提案である。
 もちろん、この考えを聞いたとき3人は怒った。はたから聞くと、『この世界に迷い込んできた、こちらの事情を詳しく知らない一般人を巻き込め』と言っているのだから。
 だが、これの意図するところを2人から聞かされると3人は一応の納得をみせた。2人の言い分はこうであった。
 『敵対勢力がガジェット以上の手駒を手にしているため、それについての事情を知り、対抗策を得ることができる人物を手元に置いておく。更には今現在の彼の立場を守るため』というものである。
 前者はともかく、後者の原因は前日の市街地での戦闘にあった。
 地下だけでの戦闘であるのなら、いくらでも誤魔化しが効いたのだが、市街地のど真ん中でSランクの砲撃を真正面から打ち破るという事を、建前上一般人の協力者がやってのけたのだ。事件後の事後処理ではライについての問い合わせが殺到した。
 その問い合わせの中にはライの身柄の一時引渡しなども含まれていたが、この辺りは後見人の尽力とあくまでライの立場が一般人であり、犯罪をしたわけではないということで引渡しが任意であり、強制力がないためその要求を躱し続けていた。
 だが、このままでは強攻策を取られかねないと考えた為、その妥協案として機動六課の視察をこちらから申し出るなどしていた。
 もちろん、3人は今回の件にライを巻き込む事を今でも渋っている。
 だからはやてが真剣な表情を浮かべ、話始める内容がその事についてなのだと考えていた2人は次に聞こえてきたはやての言葉に呆然とした。

「2人はライ君のことを、異性としてどう思てるん?」

 はやての言葉を理解するのに2人は少なくとも10秒を要した。そして理解したと同時に顔を赤くしながら応えた。

「は、はやてちゃん、どうしていきなりそんな?」

「そ、そうだよはやて。今はそんな、私たちがライをどう思ってるかなんてその――」

 動揺している2人を見ながらもはやては自分の気持ちをハッキリと口にする。

「私は多分、ライ君のことが好きなんやと思う。もちろん、likeやのうて、loveの方の意味で」

「「……」」

 幼なじみであるはやての言葉に2人は黙り込む。

「今日、カリムとクロノ君にライ君のこと説明した時と、ライ君を巻き込め言われた時自分が怒ったんを考えたら自然とそう思ったんよ。2人はどうなん?」

「私は――」

「……」

 なのはは自分の気持ちを言葉にしようとするが、意見をまとめ切れずに一度開いた口を閉じてしまう。そしてフェイトは必死に考えているのか目を閉じて答えを出そうと必死に考えている。そんな2人をはやてはじっと待ち続けていた。
 それから数分後、自分達の中で答えが出たのか、真っ直ぐにはやてを見つめ2人はそれぞれ自分の気持ちを吐露していく。

「ライ君が私に泣くことの本当の意味を教えてくれてから、私はライ君を意識し始めてると思うの。それで今はライ君の事知りたいと思うし、私のことをライ君に知ってもらいたい」

 なのはの言葉に続くようにフェイトも口を開く。

「私は今、ライに憧れているんだと思う。ライが自分の過去を包み隠さずに言える程の勇気を持っていることに。でも今はそれ以上に彼と同じものを見てみたい。彼と同じ場所に立ちたいと思ってる。この気持ちが好きってことなら多分私はライのことが好きなんだと思う。」

 フェイトは自分の過去を他人に全て打ち明けることが怖いのを知っている。だが、ライは自分が受け入れられないかもしれないという事も全て飲み込んで自らの過去を語った。そのライの姿をフェイトは眩しく感じていた。
 2人の気持ちを聞いたはやては2人にある提案を持ちかける。

「なぁ、この3人で同盟組まへん?」

「「同盟?」」

「せや。この事件が解決するまでライ君を私らが守って、事件が解決すれば正々堂々と勝負して、私らの恋に決着をつけるっていう」

 はやての提案に一瞬驚いた表情を浮かべる2人であったが、すぐに力強い笑顔に変わる。

「私はフェイトちゃんにもはやてちゃんにも負けないよ」

 なのはは持ち前の不屈の心を示すように宣言する。

「私も、どんな結果になっても後悔しないけど最後まで譲らない」

 静かにだが、力強くフェイトは自分の覚悟を口にする。

「なら、今日から私らは仲間で、幼なじみで、恋敵やね。今回の事件、ライ君を巻き込むことになるけど、絶対に私らがライ君を守ろ」

 はやては自分を含めた3人の今の気持ちと関係をまとめ、そしてこの同盟の誓いを口にする。そして3人は気持ちも新たに再び部屋に向かう為に足を進め始めた。



機動六課・私室


(……どうしよう)

 今、部屋の主が帰ってきたその部屋でライは困っていた。
 その部屋にいるのは主であるなのはとフェイト、そして一緒に帰ってきたはやてとなのはの腕の中にいるヴィヴィオとライである。
 だが、なのはの腕の中にいるヴィヴィオがライの服を掴んで離さないのだ。

「え~~と……ヴィヴィオ?」

「一緒にいてくれるって言った」

「うん、確かにそう言ったけど、今はなのはも帰ってきたし――」

「パパと離れたくない」

 てこでも動かないと言った風に口を開くヴィヴィオを、『どうしたものか』と問いかけるようになのは達に視線を送る。だが、帰ってきたのは『どうしよう?』という困った顔だけ。
 内心ため息を付きながらライは妥協案を出すことにした。

「じゃあ、ヴィヴィオは僕たちにどうして欲しいのかな?」

 さりげなく、自分だけでなくなのは達も巻き込んでいるライであった。しかし、この問いかけが後になって後悔する原因となった。

「一緒に寝たい」

「……………それは僕とだよね?」

 内心で『そうであってくれ』と懇願しながらライは問いかけるが、その願いは粉々に打ち砕かれた。

「みんな一緒がいい」

 結局その日、ライはなのは達の私室に泊まることとなった。そしてライが泊まることが決定したとき、間違いが起こらないようにと理由を付けてはやても泊まることになっていた。
 その次の日、ライが自分の理性やら男の子としての尊厳やらを守るために寝不足であったのは言うまでもない。










―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

作「はい、今回の話の内容的にはライは司会無理じゃね?ということで今回は作者である自分が司会進行をさせて頂きます」

ル「今回のギアス代表ルルーシュだ」

ザ「リリなの代表、盾の守護獣ザフィーラだ」

ル「それにしても作者、今回もそうだがライの扱いに矛盾点が多々あるぞ?」

作「うっ、スイマセン自分ただの一般人なもので、司法機関とか警察機構の一般的な対応例とか知らないんです」

ザ「だが、要所々々はキチンと抑えていると思うが?」

ル「こちらの世界と比べて、組織ととして私的な動きが多い気がするのだが、むぅ……」

作「そこは作品の雰囲気そのものが違う世界観だから、突っ込んだらダメな気が?」

ザ「確かにそちらの世界と比べるとこちらは人の命に関わる事件や出来事自体が少ないからな。その辺りの違いもあるのだろう」



作「今回の話ですが、隊長陣3人は自分の気持ちに気づきましたが、これからどうなっていくと思いますか?」

ザ「自分は主が笑える未来があるのならそれ以上は望まぬ」

作「忠犬の鏡な意見、ありがとうございます。ルルーシュは?」

ル「最終的にライが誰を選ぶかこの一点だろう」

作「因みにライって本当に鈍感なのか?最近ゲームやり直したりしながら書いててわからなくなってきたのだが」

ル「それはゲームをプレイした人間の受け取り方次第だろう。だが、誰かを想い始めると一途であるとだけ言っておく」

作「親友としての意見とゲームの宣伝お疲れ様です」



作「次回からは少し日常的な話を挟みます。自分としては戦闘よりも書きにくい気がしないでもないですが、頑張ります。ではまた次回m(_ _)m」

 
 

 
後書き

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