久遠の神話
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第四十七話 アメリカ軍人その十
「そこまで望みませんでした」
「そうか。しかし私も我が祖国も違う」
「永遠に望むのですね」
「我々は正義でありその正義を永遠に維持しなければならない」
だからだというのだ。
「私はその為に戦う」
「戦うならばです」
声はその目的はいいとするのだった。
「そうされて下さい」
「それではな」
「しかし貴方は」
声は彼に対して告げた。
「忠誠心がある方ですね」
「軍人としては当然だ」
「軍人だからですか」
「軍人は祖国に絶対の忠義を捧げるものではないのか」
「そうした考えの軍人の方は」
「実際には少ないか」
「剣士の中では」
あまりいなかったというのだ。
「軍人の剣士の方は多かったですが」
「それでもか」
「己の野心に走る方が多かったです」
「それも当然か」
彼は声が言った過去の剣士達の行いを軽蔑しなかった。むしろそうなる方が当然とさえ言う程であった。
「生き残れば望みは思うままだ」
「世界の覇者になることも」
「己がな」
「そうしてカエサルはローマの支配者になりました」
彼もまた剣士だったというのだ。
「かつてはスッラも」
「元老院派の政治家だな」
「彼もまた英傑となりました」
「その他にもか」
「アレクサンドロス大王もまた」
この英傑もかつては剣士だったというのだ。
「そして項羽もです」
「西楚の覇王だな」
「この方々は英傑になることを望まれました」
そして勝ち残り実際に英傑になったというのだ。
「他にはチンギス=ハーンも」
「彼は世界の覇者だな」
「それになりました」
「全ては剣士になってか」
「貴方の祖国でもそうした方はいます」
「私の国もか」
「そうです。貴方の国の方もです」
「誰だ、それは」
彼は具体的な人物を声に問うた。
「私の知っている人間か」
「初代国家元首です」
「彼か」
「やはり英傑になることを望まれてです」
そしてその人物もまた英傑になったというのだ。
「己のことを望まれる方が多いです」
「英雄になることは多くの者が望む」
彼もまた言う。
「勿論私もそう思うが」
「しかし貴方は」
「それよりも祖国だ」
彼が忠誠心を捧げ敬愛するその国にだというのだ。
「祖国を永遠に世界の盟主としたいのだ」
「そうですか」
「必ずそうする」
彼の祖国を、だというのだ。
「その為に戦う」
「ですか」
「十三人だったな。私を入れて」
彼はその剣士の数のことも声に尋ねた。
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