転生とらぶる

　フェイトと戦った翌日、つまりは修学旅行2日目。俺は班員のメンバーと共に朝食を食べていた。朝食のメニューは旅館らしく焼き鮭、漬け物、焼き海苔、出汁巻き卵といった定番の和食だ。ただ、京都らしく漬け物が千枚漬けだったりするのが特徴と言えば特徴か。

「んー、でもやっぱり大量生産した物だけに千鶴の朝食には敵わないな」
「あら、ありがと」

　俺の向かいで千鶴がにこりと微笑む。
　昨日の戦いから帰ってきた時にはそれなりに心配していたようだが、無傷で帰ってきたので安心したようだ。
　そんな千鶴の隣では、あやかが出汁巻き卵を口に運びながら沈んだ表情をしている。昨日の清水寺で酔っ払ってダウンしてしまったのを気にしているらしい。……いや、正確にはその為に俺が戦っている時にもぐっすりと眠っていたというのが堪えたんだろう。

「うう、アクセル君の一大事に駆け付けられないなんて……不覚です」
「いいんちょ、どうしたの？」

　そんなあやかに、隣で朝食を食べていた釘宮が尋ねる。

「いえ、何でもありませんわ。ちょっと昨日の清水寺の件で猛省を……」
「ふーん、それならいいんだけど。で、今日の奈良での班別行動は木乃香達の3班と一緒に行動って事でいいんだよね？」
「ええ。最初は奈良公園に行く予定ですわ」

　修学旅行2日目は本来なら班別行動の日だ。だが、学園長からの依頼の件もあって俺達の班はネギの関係者が多い3班と一緒に行動する予定を立てていた。
　まぁ、奈良公園やら東大寺やらの定番コースなので特に異論は出なかったが。

「はい、アクセル君」

　俺の食事が終わったのを見計らったかのように、千鶴がお茶を渡してくれる。それに礼を言いながら、飲んでいると柿崎が面白そうな笑みを浮かべながらこちらを見ていた。

「那波さんとアクセル君って本当に息が合ってるよね。これは円も負けていられないわ」
「あー、はいはい。そうですねー」
「む、いつもの円らしくないわね。いつもなら『私はショタじゃなーい』って誤魔化してるのに」
「いや、別に誤魔化してる訳じゃないんだけどね。ただ、折角の修学旅行なんだし怒ってばかりってのもちょっとねぇ。……そう思わない、アクセル君？」

　意味あり気な目で俺へと視線を向ける釘宮。

「……さて、何の事だ？」
「へぇ、誤魔化せてると思ってたんだ。いや、アクセル君の誤魔化し方はともかくアスナは分かりやすすぎるでしょ」

　確かに釘宮の言う通り、昨日のあの戦闘の後から神楽坂やネギの俺に対する態度には微妙な物が混じっている。
　いや、それはまあ、しょうがないのだ。何しろ本物の戦場を生き抜いてきた俺と、英雄の一人息子ではあってもまだまだ子供のネギ。そして魔法無効化能力という特殊なスキルを持っていても一般人の神楽坂だ。昨日の俺とフェイトとの戦いを見て色々と思う所があったのは事実だろう。

「ま、気にするな。確かにちょっとあったのは事実だが、それはあいつ等が自分で乗り越えないといけない事だしな」
「……え？　そんなに深刻な話なの？」
「人それぞれだろうさ。少なくても俺にとってはもう過ぎ去った事実だ」
「うーん、何を言ってるのか意味不明だけど……ま、アクセル君が気にしないっていうんならそうしておくけどね」

　それを最後に深刻な話は終わり、皆で朝食を食べ終えたのだった。





　奈良公園。言わずと知れた奈良の観光名所だ。野生の鹿が集まっており鹿せんべいとかも売っているので、それを買って餌をやる事も出来る。
　……野生、か？
　鹿せんべいを持った夏美に大量の鹿が群がっているのを見て、思わず内心で呟く。

「うわー、見て下さい。ほら、鹿ですよ！」

　当然と言えば当然だが、ネギもまた3班と行動を共にしていた。そして何故か桜咲もまたエヴァ達の班から一人離れて行動を共にしている。

「いいのか？」
「はい。お嬢様をお守りするのが私の使命ですので。それにエヴァンジェリンさんには許可を貰っていますし」
「そうか。……来ると思うか？」
「さて、どうでしょう。昨日の襲撃でフェイトと名乗っていた少年は怪我をしていましたし、あの戦力でこちらを崩すのは無理でしょう。そうなると戦力の拡充を計ると思いますが、それがいつ終わるかですね」
「大丈夫よ、今度その人達が来ても私やあやかもいるでしょう？」
「そうですわ。今日は昨日と違って万全の体調ですし、誰が近衛さんを狙ってこようとも、あるいはネギ先生の親書を狙ってこようとも私が守って見せます！　その為の力なのですから！」

　そう言って、大事そうにパクティオーカードを撫でるあやか。
　そんな様子を苦笑しながら眺めつつ、千鶴が再び口を開く。

「でも、この班にこんなに戦力が固まって大丈夫なのかしら？　他の班を狙ったりしないといいんだけど……」
「大丈夫です。一応、見つからないように各班に私の式神を放って起きましたので、何かあったらすぐに分かります」
「そう、それなら……」

　恐らく千鶴はそれならいいんだけど、とでも言おうと思ったのだろう。だが、その言葉は最後まで口に出す事は出来無かった。
　いや、別にフェイト達が襲ってきたとかそういう訳じゃない。鹿と戯れていたはずの皆がこちらへと向かってきたのだ。

「せっちゃん、お団子食べへん？」

　桜咲には近衛が。

「ちづ姉、ちょっとお土産選ぶの手伝って欲しいんだけど」

　千鶴にはつい先程まで鹿に群がられていた夏美が。

「委員長、ちょーっとインタビューさせて貰っても構わないかな？　構わないよね？」

　あやかには朝倉が。

「アクセル君、ちょっとお姉さん達といい事して遊ばない？」
「ちょっと、美砂！　馬鹿な事言ってるんじゃ無いわよ！　ごめんねアクセル君。ちょっといいかな？」

　俺には柿崎と釘宮が。それぞれ強制的に連れられて行く。
　ちなみに、視線の先では早乙女と綾瀬が神楽坂を強制的に連行していっていた。





「……で、何でまた急にこんな真似を？」

　連れ去られた先で柿崎と釘宮をジト目で見る。
　ちなみに、その隣では何故か……と言うか、いつも通りに近衛から逃げようとしている桜咲を神楽坂が押しとどめていた。
　だが裏の世界で通用する実力を持つ桜咲を、所詮は素人の神楽坂が止めれる筈も無く……

「待ってってば。桜咲さん！」
「ちょっ！　アスナ！？　何で私を掴むのよ！？　キャアアアアアッッ！」

　逃がしてなるものかとばかりに、神楽坂はすぐ近くに立っていた釘宮を掴み……そのまま桜咲は2人を引きずって去っていくのだった。女子中学生とはいえ、2人を引きずりながらもあの速度で走れるとはさすが裏の住人と言うべきか。

「うわぁ、桜咲さんって凄い力持ちね」

　呆れたようにその3人を見送る俺達を置いて。その3人を呆然と見送った後、ふと我に返って柿崎へと話し掛ける。

「……ん、コホン。で、なんで俺達をネギから引き離すような真似を？」
「うわ。アクセル君、スルーとか」
「いいからほら、このままじゃ話が進まないだろう」
「いや、まぁ……その、えっと……ねぇ？」

　チラリ、とあやかと話している朝倉へと視線を向ける柿崎。その視線を追って……ふと気が付く。

「あれ？　綾瀬と早乙女はどうした？　宮崎もいないが」
「うわっ、アクセル君気が付くの早すぎ。……ま、ここまで来ればもういいか。えっとね、実は本屋ちゃんがネギ君に告白するって事になってさ。そのアシストだよ。やっぱりチアリーダー部としては乙女の恋心は応援しないとね。……これがアクセル君への告白だったら円の為にも少し躊躇したんだけど」

　最後にボソリ、と呟くが聞こえているぞ。

「な、何ですって！？　宮崎さんがネギ先生に告白！？　そ、そんな事は許しませんわよ！」
「あー、ほら。委員長が聞けばそうするかと思ってね。……それに、委員長はアクセル君一筋とか言ってなかったっけ？」
「それはそれ、これはこれ、ですわ。教師に告白するなんてそんな不謹慎な真似は許されません」

　……いや、微妙に嫉妬が入ってるの分かってるんだけどな。俺の従者になったと言っても、生来の性癖まではそうそう簡単に修正される筈もないのでしょうがない。
　個人的にはあのネギが宮崎に告白されてどう返事をするのかが気にならないと言えば嘘になるが、さすがにそれを覗きに行くのは悪趣味だろう。

「なら少し時間を潰していくか」

　そう言い、周囲を見回すと喫茶店を発見する。

「あそこでちょっと休んでいかないか。ちょっと早い昼食にもいいだろうし」
「そうね、ここから近いし皆が戻ってきた時にもすぐ分かるからいいんじゃないかしら」

　千鶴が賛成し、他の皆も特に異論はないようなので皆で喫茶店へと向かう。
　喫茶店の中へ入ると、さすがにこの人数なので大きめのテーブルを2つ程くっつけた席を店員に用意して貰ってから座り、それぞれがメニューを見て注文する。ちなみに俺が頼んだのはBLTサンドとストロベリーパフェだ。少し早めの軽い昼食だな。

「うわっ、それで軽い昼食？　アクセル君の胃袋は相変わらず底無しだね」

　早速出された大きめのサンドイッチを見ながら柿崎が驚きの声を上げる。ちなみにデザートのパフェに関しては食後に持ってきて貰うので今は無い。
　先程見た奈良公園の鹿や、昨日の清水寺、あるいはそこで酔っ払って眠ってしまったせいで悔やんでいるといった風に話しながら昼食を食べていると、神楽坂と釘宮が喫茶店に入ってきた。
　桜咲の姿が無い所を見ると、まんまと逃げられたらしい。ちなみにカモの姿も無かった。
　その様子を見て寂しそうに笑う近衛だが、それを察したあやか達が次々と話題を変えて近衛を気遣っている。

「どうやら逃げられたらしいな」
「……うん」
「釘宮？」

　いつも元気な釘宮らしくもなく、何かを考えているかのようにどこか上の空だった。

「神楽坂？」
「いや、何でもないのよ。ちょっとね」

　神楽坂も同じく、何かを考えているような表情。……ただし、午前中のこちらに対するぎこちなさは無くなっていた。
　にしても、2人揃って妙に真剣に何かを考え込んでいる。桜咲の件で何かあったか？　いや、神楽坂だけならともかく釘宮がいるんだ。さすがにそこまで深い話はしていないだろう。となると完全にお手上げだ。

「ま、取りあえず2人共注文して昼食を済ませろよ。この後は大仏見学だ」

　結局そのままスルーし、その後は大仏見学やお土産等を買ってその日の班別行動は終わるのだった。 

名前：アクセル・アルマー
LV：38
PP：625
格闘：262
射撃：282
技量：272
防御：272
回避：302
命中：322
SP：462
エースボーナス：SPブースト（SPを消費してスライムの性能をアップする）
成長タイプ：万能・特殊
空：S
陸：S
海：S
宇：S
精神：加速 消費SP4
　　　努力 消費SP8
　　　集中 消費SP16
　　　直撃 消費SP30
　　　覚醒 消費SP32
　　　愛　 消費SP48

スキル：EXPアップ
　　　　SPブースト（SPアップLv.9&SP回復&集中力）
　　　　念動力 LV.10
　　　　アタッカー
　　　　ガンファイト LV.9
　　　　インファイト LV.9
　　　　気力限界突破
　　　　ギアス（灰色）
　　　　魔法（炎）
　　　　魔法（影）
　　　　魔法（召喚）
　　　　闇の魔法
　　　　???

撃墜数：376