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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第42話:歌戦脅父

(海上)
アローSIDE

誰も咎めない……咎められない状況のリュカさんの歌で、案の定モンスターを引き寄せてしまい戦闘を行う面々……
新たに加わったアリーナとクリフトも結構な強さを持っている為、問題なく敵を倒し終わるパーティー。

戦闘終わり際に、アニキが姫さんに戦いを指摘してたけど……
アレってセクハラと言うのではないのですか?
格好いいアニキには、そう言うことをしてほしくないのですが、ムリなのですか?

「リュカさん……先程は失礼な事を言って申し訳ありませんでした!」
アニキと姫さんに気を取られていたら、シンが深々と頭を下げリュカさんに謝罪する。
確かに……目上の人に対してとる態度ではなかったと思う……けど、オイラもシンの立場だったら同じ事をしてたと思うよ。だってあの人イラつく……

「良いよ良いよ別に……何時もの事で気にならないから。僕と初めて会って大概の人は、君と同じ態度をする……第一印象で為人を決めつけるのは危険なのにねぇ!」
そ、そうか……確かにオイラは第一印象だけでポポロの事を嫌ってたけど、アイツ結構良い奴だったし、リュカさんの言うとおりだな!

「第一印象で判断して良いのは、ナンパして○○○だけを目的にしている時だけだよ(笑)」
「そっすよね、○○○に性格なんて関係ないッスもんね! 穴が開いてりゃ問題ないッスもんね!」
えぇ~……アニキまでそんな事言っちゃうのぉ~!

「お前の言い方には語弊がある……穴が開いてても美女じゃなきゃ!」
折角途中まで良い話しの流れだったのに……
互いに笑い合うリュカさんとアニキを眺め、呆然としてしまう。

「そ、そんなリュカさんにお願いがあります!」
話題を打ち切って話しかけたのは、我らのリーダーであるシンだった。
意を決した表情でリュカさんに話しかける。

「お願い~……なに?」
当のリュカさんは嫌そうな顔で問い返す。
何もそんなに嫌そうにしなくても……まだ内容を聞いてないのだし。

「俺、もっと強くなりたいんです! だから俺に稽古を付けて下さい……ウルフさんから聞きました。ウルフさんの剣術はリュカさんが教えているんだって!だから俺にもお願いします!」
「えぇ~? 面倒臭い!」

「はい、とても面倒臭いと思います。でもそこを何とかお願いします! 少しでも早く強くなって、世界を平和にしたいんです」
「別に僕の住む世界(じだい)じゃないし……僕が面倒事を背負う意味(メリット)ないし。ヤダなぁ~……」
凄い大人が居た。
これほど自分本位な大人って、滅多にお目にかかれないぞ!

「じゃぁ歌わないで下さい! 敵が寄ってくるので歌うのを禁止します」
「矛盾してね? 強くなりたいのなら、実戦に勝る修行はないと思うよ。なのに敵が寄ってくる行為を禁止するのって……矛盾だよね!?」

「いいえ矛盾しません! 俺は強くなりたいけど、死ぬのも嫌なんです! リュカさんによる稽古で安全(死ぬ危険無し)に鍛え、安全(死ぬ危険度を低く)に実戦を行える様にしたい! 言い換えればリュカさんの稽古無しに実戦を行うのは、安全(死ぬ危険無し)とは言えない……だから俺に稽古を付けてくれないのであれば、歌う事を禁止するんです!」

すげー……
コレを“理論整然”て言うんだろうな。
リュカさんも驚いているよ。

「おい、お前……」
「お、俺じゃねーよ!」
驚いてたリュカさんは、ジト目でアニキを睨み何かを訴えたが……

「本当か? お前が言ってきそうな屁理屈に聞こえたぞ! お前が仕込んだんじゃないのか!?」
「馬鹿っすかアンタは!? 俺の屁理屈は師匠直伝なんです……アンタから吸収した屁理屈レパートリーなんです! シン君の屁理屈が俺の所為なら、根本(こんぽん)は全部リュカさんの責任じゃないですか! 自業自得ですよ……」

「ほら……すげー屁理屈野郎!」
「お前が言うな!」
「いや俺から見れば、お二人とも凄い屁理屈野郎です!」

リュカさん・アニキ・シンの3人が睨みながら互いを推し量る。
(こえ)ーよ……オイラこの中には入れないよ。
チラッとリューラを見ると、瞳を輝かせながら3人を眺めてる。

彼らくらいのレベルに到達しないと、リューラの心は掴めないのか!?

アローSIDE END



(海上)
トルネコSIDE

「………まぁいい。口だけは達者な様だし、剣術面も僕に出来るとこまではやってみよう!」
「本当ですか、ありがとうございます!」
どうやらシンさんはリュカさんの心を捉えたらしく、直々の稽古を付けてもらえる事に……

「じゃぁ早速……」
決めた事は直ぐに実行するタイプなのか、抱えてたギターをウルフさんに渡し、軽やかな動作で座っていた樽の上から下りると、腰に差してたドラゴンを形取った杖を構える。
不思議な形の杖だが……リュカさんは剣を携帯してないのだろうか?

「よ、よろしくお願いいたします!」
構えたリュカさんに対面し、緊張気味にシンさんも身構える……
腰の鞘から銅の剣を抜き放ち!

「えぇ? 今までどのくらい冒険してきたのか知らないけど、何で装備がそんなにショボいの?」
う~ん……確かに勇者と呼ばれる人の装備にしては、若干インパクトに欠けますかね?
「済し崩し的に旅立ちが決まったもので……装備にお金を掛ける余裕がなかったんです」
なるほど……お金がないのは辛いですからねぇ!

「え、でも……あそこのデブはゴツい剣を装備してるよ。“高田の待ちくたびれ”だよ!」
高田の待ちくたびれ? 突如私を指差し意味不明な事を言うりゅかさん。
「リュカさん“宝の持ち腐れ”です」

「うん、それ! アイツ全然戦わないじゃん。実は戦うと超強くて、みんなの成長の為に遠慮してる……皆が危険になったら、腰の剣を使い大活躍するってなら理解するけど、(リューラ)を前面に押して旅してきたんじゃ、強さへの期待は……」
う゛……痛いところを……

「確かにその通りですねリュカさん!」
ウルフさんが追い打ちを掛ける様にリュカさんの言葉に同意する。
このままでは私が何の役にも立ってないイメージで見られてしまう……

「そ、そんな酷いですよ皆さん! まるで私が役立たずみたいな言い方をして……言わせて貰いますけど、皆さんが乗っているこの船は、私が私財を投じて造らせた特注品なんですよ! 普通の船より遙かに頑丈で、凶暴な海のモンスターに襲われても耐えられる設計なんですよ!」

「いやドラネコ君……僕が言ってるのは、君が役立たずって事じ「リュカさん“トルネコさん”です」
散々皆さんが私の事を『トルネコ』と呼んでいたのに、わざととしか思えない間違い方をするリュカさん……強敵だ。

「ん……あぁトルネコね! えっと……兎も角、アンタが役に立ってないなんて思ってはいないんだ。ただ『その剣はシンが使った方が効率的じゃねぇの?』って思ってるの!」
「た、確かにそうかもしれませんけど、万が一私の方に敵が襲ってきた場合、身を守る事が出来なくなるじゃないですか! その為にも私にだって強力な武器が必要です」
それにこの剣は私が買った私の物なんです。何で他人に無料(ただ)で渡さねばならないんですか!?

「ふっ……確か世界一の武器屋を目指してるって言ってたよなアンタ?」
「い、言いました……私の夢は世界一の武器屋になる事です! な、何か問題でも?」
私の懸命な反論を聞き、鼻で笑ってくるリュカさん……こ、怖いです。

「アンタにはムリだね!」
「な、何ですかいきなり!? 失礼すぎやしませんか?」
そうだ失礼だ! これだけの遣り取りで、私の全てを解ったかの様に判断するのは失礼極まりない!

「世の中には歴史に名を残す程活躍した稀代の大商人ってのが居る。商人と呼ばれる人種は数多居るが、その中の一撮みだけが稀代の大商人へとなれる……何故だか解るかい?」
「そ、それは……う、運が良かったんです!」

「違うね! 稀代の大商人と呼ばれる連中は、その視野の広さが桁違いなんだ!」
「視野の広さ……そ、それは一体!?」
気付けば身を乗り出して聞き入っている私……

「お前はこのパーティーの一員として、自分の存在を認識させてない! いいか、このパーティーの誰もが倒せない敵が現れた場合、お前一人が立派な剣を振り回したって何にもならない。それよりも実力が上の仲間に自分の剣を託して、パーティー戦力向上を目指した方が、余程命の危険から遠ざかる事が出来るんだ!」

さ、先程までアホ面下げて歌ってた虚け者なのに、彼の言う事に反論出来ないのは何故だ!?
周囲の方々を見ると、皆さん呆れ顔で佇んでいる。
リューラさんなんか冷めた目で軽蔑する様な表情だ。

「別にお前の私財を我々に明け渡せと言ってるんじゃない……もっと仲間として皆を信頼しないと、僕達もアンタに信頼を置けなくなる。自分一人だけ万全な状態にして、我々の事をおざなりにされると、使い捨ての道具みたいに感じアンタへの協力は出来なくなる」
こ、この人はどこまで私の心を読んだんだ!?

「何度かあるんだろ? リューラを切り捨てて利益だけを求めようと思った事が……」
気付くとリュカさんは私の目の前に居り、冷たい笑いを携えて見下ろしていた。
正直言えば“はい”なのだが、そんな事を言う訳にもいかず……私は今後、言葉ではなく行動で“いいえ”の精神を皆さんに見せ付けなければならない。

リュカさんの質問には何も答えず、真面目な表情を崩さない様に腰から破邪の剣を鞘ごと抜き、シンさんの方へ差し出す。
シンさんはリュカさんに目で合図ずされ、小走りで近付き受け取った。

「心から信頼し合える仲間になれるよう、これから互いに頑張ろうゼ……」
私から剣を受け取ったシンさんが離れると、リュカさんが顔を近付け囁く様に言った言葉……
声は優しかったが、目は笑ってなかった。

こ、この人は本当に恐ろしいです!

トルネコSIDE END



 
 

 
後書き
サブタイトルの意味ですが、戦ったり歌ったり脅したりするのがお父さんって意味です。
勿論造語ですから辞書には載ってません。
今後も造語四文字熟語を活用します。
一つ一つの漢字の意味で全体を理解して下さい。 
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