生還者†無双
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黒い鎧
前書き
休暇になりました
全く…良い天気だぜ
グゥ~
腹へったな…そういやぁ昼飯食ってねぇな
おもむろに胸ポケットを探りスニッカー●を取り出す
腹がへったらこれだ
高カロリーかつ手軽で旨い
チョコとピーナッツとパフの黄金比
軍のレーションよりも断然これだぜ!
慣れた手つきで封を破り口へ…
ゴクリ…
口へ
ゴクリ…
「な…なんだよ」
桃香と鈴々があーんの体勢でいる
愛紗はあたふたしているが…
やっぱり食べたいみたいだ
「私達…暫くまともな物食べてなくて…」
アハハ…と桃香が申し訳なさそうに言う
スニッカー●は半ば溶けている
今が一番美味しい食べ頃だ
このタイミングを逃す訳にはいかないっ
チョコバーが口に向かって…
「ほら…食えよ」
恥ずかしさと少しばかりの後悔から顔を背ける
伸ばした手には最高に食べ頃のスニッカー●があった
「本当に良いの…?」
「ああ…食えよ」
「やったのだぁ~」
綺麗に3つに分けて口に入れる
まさに衝撃
3人は驚きのあまり声が出ない
こんな甘い物を食べたのは初めてだ
口いっぱいに広がる甘さ…
確かな歯ごたえ
大満足
「凄く美味しいよぉ…」
「とっても甘いのだ~」
「お…美味しい…」
確かに旨いがリアクションが大袈裟じゃないか?
若干引いた…
しょうがねぇ、飴でも舐めるか
ピンっと指で飴玉を弾いて口に入れる
いつもより少し…美味しく感じた
「さて…腹ごしらえもしたし、どうしたもんか」
「暁さんは何処か宛はあるの?」
桃香が首をかしげながら訊ねた
「ないな」
即答である
何せ遺跡の暴走による事故で此処にいるのだ
宛どころか今おかれている状況ですら理解していない
過去なのか?現代なのか?異世界なのか?
全く見当もついていない
しかし本人は気にもしていない
どんな状況でも切り抜けられる
経験と実力
己の武に裏打ちされた自信
最新鋭の装備
二つ名の示す【生還者】
それが暁 巌である
「それなら私達と一緒に来ませんか?」
「成る程!名案ですね、暁殿も一緒なら頼もしい限りです」
「鈴々もおじちゃんとなら大賛成なのだ!」
「願ったり叶ったりだ、暫く厄介になるぜ」
桃香の提案にすんなりのる
単独でも全然問題はないのだが
まず食料がない
これが問題だ
腹がへっては戦は出来ぬ
先人達はよくいったもんだ
いくらA・Mスーツを着ていても
空腹には勝てない
我慢は出来るがいずれは限界が来るだろう
盗賊まがいの事をすれば簡単に手に入る
しかしそれは戦闘のプロとして許されざる行為だ
任務の為必要とあらば切り捨てられるが…
非戦闘員を巻き込むような事はしたくない
「俺も甘くなったな…御神苗みたいだぜ」
「何か言いました?」
愛紗が暁の独り言に反応した
「なに、古い好敵手を思い出しただけだ」
ククッと笑うとストレッチしながら歩き出した
パキポキと背骨がなった
やれやれ…今日は働き過ぎだぜ
「さっさと街へ行こうぜ?腹へってかなわん」
「アハハ…ごめんね」
3人の美少女とゴツい男が荒野を進む
目指すは街へ
足取りは軽い…はず?
「そうだ!暁さんって天の御使いじゃあないかな?」
「天の御使い?なんじゃそりゃ?」
「巷の噂です、何でも白と黒の2人の使いがこの地に降りて我々を導いてくれるとか…」
「そうなのだ!だから昼間なのに流れ星が見えたから探しに来たのだ」
「御苦労なこった…生憎俺は只の武器商人の護衛だぜ?」
間違いではない
トライデントの行動部隊
戦闘部門の隊長の肩書きだったのだから
メディアが発達していないとこうも胡散臭い話しが簡単に広がる
発達し過ぎた情報社会も面倒だが
していなさ過ぎるのも問題だな…
独り勝手に納得していた
気が付くとゴツゴツした岩山が左右に広がる
何でもこの山を通る方が早く着くそうだ
急がば回れ
急いでいても近道せずに安全な道を行く方が良い
やはり先人達の知恵は素晴らしい
きっと経験をもとにことわざを作ったに違いない
物事を横着しようとすると大概
問題が起きるものだ
パラパラと小石が崩れている
断続的に続いといた小さな崩落
そして遂にその時がやってきた
ドガァと大きな音と共に
直径4メートル程の岩が落ちてきていた!
猛烈な勢いで転がってくる
当たれば恐らく…即死だろう
「桃香様!お下がりください!落石です!」
「デカイのだぁ~」
「あわあわあわわわわわー」
大きな岩が一直線に桃香に向かっている!
腰をぬかしてやがるかっ
引っ張るにしても間に合わねぇ!
フルパワーで受け止める…!
バキバキバキバキ
桃香の前に立ちAMスーツをフルパワーで起動する
戦闘服の上着が弾けとび
漆黒のボディが姿を現す
機械式パワー重視のアーマー
強力人工筋肉が唸りをあげている
暁の身体を更に大きくする
古の英雄…ヘラクレスの如く
ドゴォ!
脚が地面にめり込む程の重量
大型トラックが猛スピードで正面衝突したみたいな衝撃だった
しかし制式にロールアウトしたばかりのスーツ
対ショック性能もプロトタイプから格段に向上し
全然問題なく作動している
本当に技術部に感謝だな…
「どぉうりゃあ!」
岩を投げ飛ばして自分の身体をみる
上着はなくなってスーツ丸出しの状態だ
まぁ別に問題はないが
「俺の一張羅が…」
バツが悪そうに後頭部をかく
せめてタクティカルベストでも有ればなぁ
ハァと溜め息をついた
「「「て…天の御使い」」」
3人は目の前の男が天の御使いだと確信した
後書き
オリジナル色強めです、あまり原作を壊さないようにします
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