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ハイスクールD×D ~銀白の剣士~

作者:strik
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第13話



Side 祐斗


 同志たちは復讐など望んでいなかった。でも・・・・・・・。

「すべてが終わったわけじゃない」

 終わりではない。目の前の邪悪を倒さない限り何度でも同じことが繰り返されてしまう。

「バルパー・ガリレイ。あなたを滅ぼさない限り、第二、第三の僕たちの生が無視される」

「ふん。研究に犠牲はつきものだ。ただそれだけのこと」

 バルパーはいかにもくだらないといった表情で、僕の言葉を切り捨てた。

「木場ぁぁぁぁぁぁぁぁっ! フリードの野郎とエクスカリバーをぶっ叩けぇぇぇぇぇっ! お前は、リアス・グレモリーの眷属の『騎士(ナイト)』で俺たちの仲間だ! 俺のダチなんだよ! 戦え木場ぁぁぁぁぁぁ! あいつらの想いと魂を無駄にするなぁぁぁぁ!」

 イッセーくん。キミは僕を助けてくれた。何も得なんてないのに、主に罰を受けるかもしれないのに。

「祐斗! やれ! 祐斗ならできる! エクスカリバーを破壊するんだ!」

「祐斗! やりなさい! 自分で決着をつけるの! エクスカリバーを超えなさい! あなたはこのリアス・グレモリーの眷属なのだから! 私の『騎士(ナイト)』はエクスカリバーごときに負けはしないわ!」

「祐斗くん! 信じてますわよ!」

 ナギ、リアス部長、朱乃さん・・・・・・。

「・・・・・・祐斗先輩! ファイトです!」

 小猫ちゃん。

「ハハハ! 何泣いてるんだよ! 戦場のど真ん中で歌っちゃってウザ―――ブゲラッ!」

「空気を読もうよ。キミは・・・・・・・。祐斗!」

 ナギがフリードを黙らせる。フリード・セルゼン。その身に宿る同志たちの魂。それ以上、悪用させはしない!

「僕は・・・・・・剣になる」

 同志たちよ、一緒に超えよう。あのとき、達せなかった想いを、願いを!

「部長、仲間たちの剣になる! 今こそ僕の想いに応えてくれッ! 『魔剣創造(ソード・バース)』ッッ!!」

 僕の『魔剣創造(ソード・バース)』と同志たちの魂が混ざり合う。同調し、形を成していく。

 同志たちの聖なる力と僕の悪魔の力が融合していた。

 そして、神々しいオーラと禍々しいオーラを放つ一本の剣が手元に現れた。完成したよ、みんな・・・・・・。

禁手(バランスブレイク)、『双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』。聖と魔を有する剣の力、その身で受けるといい」

 フリード目掛けて走り出す。僕の駒『騎士(ナイト)』の特性はスピード! フリードは目で僕の動きを追うが、フェイントを何度も入れて彼の視界から脱する。・・・・・・・ナギは何回フェイント入れても引っかかってくれないことを思えばなんてことはない!

―ギィィィン!

 それでも、僕の一撃を彼は受け止めた。本当に大した「はぐれ悪魔祓い」だ。

 それでも、彼のエクスカリバーを覆うオーラは、僕の聖魔剣のオーラによってかき消されていく。

「ッ! その駄剣が、本家本元の聖剣を凌駕すんのか!?」

 驚愕の声を出すフリード。

「それが真のエクスカリバーならば、勝てなかっただろうね。でも、そのエクスカリバーでは、僕と同志の想いは断ち切れない!」

「チィ!」

 舌打ちをして、彼はバックステップをする。

「伸びろぉぉぉぉぉぉ!」

 エクスカリバーが無軌道に激しく動きながらこちらに迫ってきた。これは・・・・・・『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』か!

 四本の聖剣を合わせたんだから、四本の能力を使えるというわけだね。さらに先端から分裂して、高速で迫ってくる。こっちは『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』か。

 三次元的な攻撃をすべて防いでいく。殺気が読みやすいので対処が楽なのだ。

「なんでさ! なんで当たらねぇぇぇ! 無敵の聖剣様なんだろぉぉぉぉぉ!」

 どうやら、彼も焦り始めたようだ。

「なら、こいつも追加で行ってみようじゃねぇかぁぁぁぁ!」

 聖剣の先端が消えた。『透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)』の透過能力だろう。だけど、さっきと変わらず殺気が読みやすいのだから、見えなくても関係ない。

 透明な刀身と僕の聖魔剣が火花を散らす。僕は彼の攻撃をすべていなした。

「ッ!」

 目元を引きつらせ、驚愕するフリード。

「そうだ。そのままにしておけよ」

 横殴りにゼノヴィアが乱入してきた。左手に聖剣(エクスカリバー)を持ち、右手を宙に広げる。

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」

 言霊を唱えるゼノヴィア。なにをするつもりだ?

 疑問を抱きながらゼノヴィアの方を見ると、彼女の周囲の空間が歪んでいた。そして、彼女はその歪みに手を突っ込み、そこから1本の聖なるオーラを放つ剣を引き出した。

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する。――デュランダル!」

 デュランダル! エクスカリバーに並ぶほど有名な聖剣だ。切れ味だけなら聖剣の中でも最強の剣。なぜ、彼女が?

「デュランダルだと!」

「貴様、エクスカリバーの使い手ではなかったのか!」

 バルパーだけでなくコカビエルもが驚きを隠せないようだ。

「残念。私はもともと聖剣デュランダルの使い手だ。エクスカリバーは兼任していたにすぎない」

 そう言って、彼女はデュランダルとエクスカリバーを構える。聖剣の二刀流だ。

「バカな! 研究はデュランダルを扱える領域まで達していないぞ!?」

「それはそうだ。ヴァチカンでも人工的なデュランダルの使い手はいない」

「では、なぜだ!」

「イリナや現存する人工聖剣使いと違い、私は数少ない天然ものだ」

 バルパーは絶句している。ゼノヴィアは真に聖剣に祝福された者だったのか。

「デュランダルは想像を遥かに超える暴君でね。触れたものは何でも切り刻む。私の言うことをろくに聞いてくれないんだ。だから、異空間に閉じ込めておかないと危険極まりなくてね。使い手の私ですら手に余る。さて、フリード・セルゼン。お前のおかげで、エクスカリバーとデュランダルの頂上決戦ができる。一太刀で死んでくれるなよ?」

 好戦的な笑みを浮かべ、デュランダルはエクスカリバー以上の聖なるオーラを帯び始める。僕の聖魔剣をも超えていた。

「そんなのありですかあぁぁぁ!? ここにきてのチョー展開! クソッタレ! そんな設定いらねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉ!」

 フリードが叫び、ゼノヴィアへと殺気を向ける。ゼノヴィアは無造作にデュランダルを横に薙いだ。

―ガギィィィィィィィィン!

 透明になっていた聖剣が砕けて姿を現す。横薙ぎの余波で校庭が抉れていた。

「所詮は折れた聖剣か。デュランダルの相手にもならない」

 つまらなそうに嘆息するゼノヴィア。すさまじい破壊力だった。『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクラクション)』とは比べ物にならない。

「マジか! マジですか! 伝説のエクスカリバーちゃんが木端微塵かよっ! これは酷すぎる! 折れたものを再利用しようとしたのがいけないんでしょうか!」

 殺気の弱まった彼に僕は接近する。対応できていない! チェックメイトだ!

―バギィィィィィィィィン!

 彼は聖魔剣をエクスカリバーで受け止めようとしたが、儚い金属音が鳴り響き、エクスカリバーは砕け散った。

「見ていてくれたかい? 僕らの力はエクスカリバーを超えたよ」

 そのままの勢いで、フリードを斬り払った。


Side out





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Side 渚


 祐斗の一撃を受けて、フリードは鮮血をしたたらせている。祐斗は目標であったエクスカリバーを超えることができた。しかし、生きる目的を一つ失った。まあ、祐斗ならなんの問題もないだろう

「バ、バカな・・・・・・・・。聖魔剣だと? あり得ない・・・・・・・。相反する力が混じり合うことなどないはずがないのだ・・・・・・・・」

 バルパーは表情を強張らせている。忘れるところだったけど、まだ終わったわけじゃない。バルパーを倒さない限り、祐斗のような存在が増えてしまう。

「バルパー・ガリレイ。覚悟を決めてもらおう」

 祐斗は聖魔剣をバルパーに向けて、斬りかかろうとする。
 
「・・・・・・・そうか! わかったぞ! 聖と魔、それらを司る存在のバランスが大きく崩れているとするならば説明はつく! つまり、魔王だけでなく、神も――――」

 バルパーは言葉を途切れさせた。祐斗はまだ斬っていない。バルパーの胸には光の槍が突き刺さっていた。

「バルパー。お前は優秀だったよ。そこに思考が至ったのも優れているからだろうな。しかし、お前がいなくても俺は別にいいんだ。最初から一人でやれる」

 バルパーの胸には大きな穴が開いている。どう考えても絶命しているだろう。やったのはコカビエルだ。

「ハハハハハハハ! アーッハッハハハハハハハハハハハ!」

 哄笑を上げながら、地面に降りたつ。今までに感じたことの名に重圧が僕たちを襲った。

「限界まで赤龍帝の力を上げて、誰かに譲渡しろ」

 コカビエルは不敵な笑みを浮かべ、自身に満ちた一言を発した。それに対し、リアス先輩が激昂する。

「私たちにチャンスでも与えるというの!? ふざけないで!」

「ふざけないで? ハハハ、ふざけているのはお前たちの方だ。俺を倒せると思っているのか?」

 コカビエルから、さらなる重圧が発せられる。ライザーなんかとは比べ物にならない。

「イッセー。赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を」

 悔しそうな顔をしたリアス先輩が兄さんに促す。兄さんはそれに応じて赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を発動した。

Boost(ブースト)

 機械的な音声が発せられる。

 緊張感漂う中、コカビエルが嘲るように言った。

「しかし仕えるべき主を亡くしてまで、お前達は神の信者と悪魔はよく戦う」

「・・・・・・どういうこと?」

リアスが怪訝そうな口調で訊く。それを聞くと、コカビエルは大笑いしながら話を続けた。

「フハハ、フハハハハハ!そうだったな!お前達下々まで真相は語られていなかった。ついでだ、教えてやるよ。先の三つ巴の戦争で四大魔王だけでなく神も死んだのさ。だから、聖のオーラと魔のオーラが混じったそこの『騎士(ナイト)』のようなことが起こるのだ。当然、神がいないのに神の加護など存在しない。今はミカエルが必死こいて調整しているのさ!」

「・・・・・・・嘘だ・・・・・・・嘘だ」

 衝撃の事実をコカビエルが語る。ゼノヴィアさんはショックでうなだれている。

「・・・・・・・主がいないのですか? 主は・・・・・・・死んでいる。なら、私たちに与えられる愛は・・・・・・・」

「そんなものあるわけがないだろう。死んだ者がどうやって加護を与えるというのだ?」

 こちらをバカにするようにアーシアさんのつぶやきにコカビエルは答えた。アーシアさんが崩れ落ちる。兄さんが駆け寄っていた。他のみんなも驚愕で声が出ないようだった。

「これで、おしゃべりは終わりだ。あとは力の倍増が終わるまでの生を楽しめ」

 コカビエルはそう言って、黙り込んだ。衝撃に事実を告げられたみんなは言葉を出せなかった、


Side out


 
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