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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?

作者:海戦型
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テイルズオブドラゴニア・5

 
前書き
目玉焼き関係のコメが多くてワロタ。
実家のパソコンがword使えなくてすわ執筆停止かと思ったが何とかなった・・・
というかよく考えたらこのシリーズはストックとか取らずにノリで書いてるから関係なくはあったんですがねー 

 
 
良い子のみんな、マザーコンプレックスって言葉くらいは聞いたことあるよな?
そう、ママンに依存してしまう息子とかを指して言う言葉だ。一体その依存のどこからどこまでがマザコンのラインに入るのかは全く以て謎だが、とにかくマザコン男子は社会的評価が損なわれる存在だ。
では、もしそのマザコンをこじらせているのが女の人だったら?心理学者のユング曰く、マザコンは女性の方が多いらしい。男が女に代わっただけで大分イメージが違うような気がしてこないか?
さらにその女性が10代前後の子供となれば、むしろ母親に依存しているのはどこも可笑しくなどない。

・・・おかしくないのだと自分に言い聞かせていたが、あの幼女(フェイトちゃん)から浴びせられる凄まじいメンチビームを受けていると、どうしてもマザコンという言葉しか浮かんでこないのだ。

「ぅぅぅーーーー・・・」
「フェイト、お客さんをそんなに睨みつけてはいけません」
「そうだよフェイト、大体唸るのは私の仕事なんだけど・・・」

流石忠犬アル公、言う事が違うね!

「で、話の続きなんですが・・・」
「次元跳躍魔法を阻害してる原因はあの龍の動力、というのは分かったわ」
「はい。次元境界線の歪みを収めるにはあれの動力を一時的に停止させれば事足ります」


あ、どうも光龍です。すっかり言い忘れていましたが、自分は今時の庭園にお邪魔してます。
当初、いきなり戦闘る可能性も視野に入れて服の中に大量の札を仕込んできたんですが、プレシアさん(ようやく名前を覚えた)は結構ナチュラルに客人として迎えてくれました。

ではなぜ俺が幼女から睨まれているのか。それは彼女の今までの家庭環境に起因するってリニスさんが教えてくれました。
何でもテスタロッサ(コンバティールじゃないことにようやく気付いた)一家はやんごとねぇ事情により今まで家族関係が異常なまでに疎遠だったらしいです。それがここ最近環境の変化によって団欒することになったのだとか。いったい何が起きたんだろうね?
フェイトちゃんは今まで冷たかったお母さんが優しくなったことによって今までも高かった母親依存度が53万に上昇、四六時中プレシアさんの足元をうろうろしてるとか。

で、その大好きなお母さんが見知らぬクソガキと喋って自分にかまってくれないのが非常に気に食わないけど母親の邪魔をするわけにもいかないのでせめてもの抵抗としてメンチビームを照射し続けているそうです。・・・俺の手土産のどら焼きを貪りながら。やけ食いせずに味わって食べてね?

「むぐむぐむぐ・・・ごくん。・・・ぅぅーーー・・・」
「睨むか唸るか食べるのかどれか一つに絞ったらどうだい・・・」
「あ、こらフェイト!口元の餡子をちゃんと拭きなさい!ああもう、ほら顔をこっちに向けて・・・」

フェイトちゃんの口元をぬぐってあげている猫耳美女。この光景だけでご飯一杯はいけそうな微笑ましさ。まるで仲のいい姉妹のようだ。ナゴームの呪文とか唱えられそう。

「御免なさいね、娘がかわいくて」
「ウラヤマシイカギリデスネー」

で、ちょっと気を抜くとプレシアさんもフェイトのほうにウフフと慈しむような視線を送って話が中断するから本題が進まねえんですよ。ウフフじゃねえ!いや、確かにかわいいけど!懐いてない子猫みたいな所は微笑ましくもあるけど!そんなところでマザコンキャラを発症されても話し合いの時間が伸びるだけだから!おれの防御力が幼女に削られる時間が長くなるだけだから!・・・いや待てよ?まさかそれが狙いか!?精神攻撃は基本っていうし、自分の娘の心理を利用するとは何と恐ろしい策士だ・・・!
仕方ない、直球で攻めるか。いい加減俺も居心地わりぃよ。

「あー、長くなりましたね。単刀直入に言うとこの『時の庭園』を応龍皇から取り外したいので協力してほしいんですよ。互いに益があるでしょ?あなたは自分の居城を思うように動かせる状態に戻り、俺も貴方たちを気にせず応龍皇を動かせるように・・・」
「確認するわ。本当に善意で協力するというのね?」
「ええ。今の状況は俺にとってもあまり好ましくないですし」
「だが断る」
「・・・えっと」
「断ると言ったら断るわ」
「えー何この人メンドクセェ・・・いやなんでさ?」
「なんで、ですってぇ・・・?」

瞬間、プレシアさんの目がスッと細まる。あ、なんか地雷踏んだかな?と考えるか考えないかの間にプレシアさんはガタッと立ち上がり、こちらを睨みつける攻撃を放ってくる。もうやめて!俺の防御力はもうゼロよ!
そして、次の瞬間俺は自分が踏んだのが地雷ではなくやる気スイッチであったことを悟った。

「逆に聞くけど」

ずずいっとこちらに顔を寄せてくるプレシアさん。この人もう結構歳なはずだけど妙に若々しいな。天才は年を取りにくいって誰かが言ってたからそのせいなのかもしれない。正直思った以上に美人でちょっとドキッとしちゃったよ。あ、ちょっといい匂いする。
息がかかりそうなほどに顔を近づけたプレシアさんは大きく息を吸い込み、一気に胸の内を言い放った。



「私は応龍皇から放たれている無限力を研究し、探求し、追求する事を最優先事項としてるのに!どうして私が自分から研究対象を遠ざけるような真似なきゃならないのかしら!?時の庭園と龍が分離したら龍を追えない!追えなければエネルギーを採取できない!採取できなかったら研究できないじゃないの!その点においてここは理想的な場所なのよ!何せ自分が移動せずともいくらでも無限力を採取、研究できる!!世界の心理の一端にさえ触れうるこの神秘の力を最も良い条件で研究できる環境が今、ここにあるのよ!!森羅万象の根源にして宇宙という存在そのもののすべてを知るに等しいこの一世一代の研究を!誰が好き好んでみすみす手放すものですか!!」
「そーだそーだ!お母さんの邪魔をするな!」
「ほら見なさいフェイトだってこう言ってるわ!そしてフェイトはかわいい!かわいいは正義!そして正義は正しいから私の主張は何も間違っていない、当然の帰結なのよ!!」
「そんな歪んだ正義は認めねぇよ!!」

貴様は歪んでいる!ひしっと抱き合うテスタロッサ家族都は対照的に、後ろに控えている犬耳お姉さんと猫耳お姉さんが「やってらんねー」と言わんばかりにふて寝を始めている。お前らの主人だろ、何とかしろよ。
もう俺のうろ覚えの原作ルートを完全に外れてる。原作詳しく知らなくともその辺はもう察している。なので俺はもう深く考えることを諦めた。

「あーもういいですぅ。取り合えず俺とあんたは協力関係を結び、互いに互いのことを手伝うギブアンドテイクって関係でいいっすかぁ?」
「いいわよ」
「お母さんがいいなら」
「ちょっとドッグフード買いに行ってくる」
「ならついでに鶏肉とキャベツ買ってきてください」
「もう完全にやる気ねぇだろお前ら!!」


こうして俺と愉快なテスタロッサ一家のながーい付き合いが始まった。
・・・そしてこの付き合いが、後に俺が管理局と関わる切っ掛けとなる「あの事件」が起きるきっかけになろうとは、まだ誰も思っていなかったのだ。






~その頃アースラ~

作戦会議室には艦長、クロノ、エイミィ、援軍三人衆が今後の方針を決めるために集まっている。何とロストロギア関係の件が3つも重複しているというある意味稀有な状況なので情報を整理することになったのだ。

「う~い、それじゃ作戦会議始めるぞー」
「始めマース」
「サクッと行こうか」

どことなくやる気の削がれるテンションでクルトがこれまでに得られたデータをモニターに表示していく。なぜクルトが仕切っているのかというと、実はこの男、デストロイヤーの異名を持つくせに作戦立案が専門なのだ。「四星の麒麟児」の中でも頭脳労働担当なので誰も文句は言わない。エイミィは何か言いたげだが、クルト相手に座学で勝ったことが一度もないため仕事を取られても文句が言えないでいる。

「さて先ずは危険度が最も高い超大型ロストロギア反応だが・・・これは手掛かりがないからサーチャーだけ飛ばして後の調査はすっぱり諦める」
「すっぱり過ぎるだろ!?」
「ンなこと言っても次元跳躍以降何のアクションも起こしてくれない以上こっちからは見つけようがねえからな・・・最悪通りかかっただけの可能性もあるし、正直現段階では一番危険度低いと思ってるし」
「さわらぬ神に祟りなし、かしら。確かにその意見には一理あるわね」

確かに超大型ロストロギアはあれ以来まったく音沙汰も手がかりもない。最初からお手上げ状態だ。
というかその意見に全面賛成したいと内心思っているリンディ。正直、作戦立案担当の口からはっきり言い切ってもらえると非常に気が楽だ。仮に見つかったところであれは恐らく人類の手に余る存在だろう。ならばいっそのこと二度と出てこないでくれればそれでいい。

「さて、次に何度か発動している未確認ロストロギアだが・・・取りあえず日本という島国の海鳴という町の範囲内に発動場所が集中している。こっちは現地に入って調査するしかあるまい」
「そうだな・・・何せそちらも全く情報がないに等しいからな」
「あ、地球出身であるグレアム提督の情報網によると、地球では例の超大型以外に大きな騒ぎは起きていないことからそれほど影響力の大きいモノでない可能性があるそうです」
「それも含めて要検証、ってコトでしょ?結局のところ何もわかってないんじゃない」
「というかグレアム提督が協力してくれるんですか?」

というかこの2件は無い無い尽くしの至れず尽くせず情報ゼロなのだからとにかく地球に行ってみないことには何一つ始まらないのだが。

「ま、その点で3件目の方は割と状況がはっきりしてるんだがな・・・ほれ、データ」
「これはまた・・・」

約1週間前、遺跡発掘で有名なスクライア一族によって発掘された封印済みロストロギアを輸送していた船が何者かの魔法射撃を受けて中破。輸送中のロストロギア≪ジュエルシード≫計21個が封印処理が不安定になったまま管理外世界”地球”の町、海鳴市周辺に落下した、というもの。
ジュエルシードは非常に不安定な願望装置であり、意志の存在するものすべての強い願いに反応し、対象のイメージを元に勝手に”奇跡”を起こすらしい。複数同時発動すれば次元震や時空断層を引き起こすほどの魔力を放出する可能性があるらしい。
ロストロギアはそれ自体がそう頻繁に見つかるものでもないというのに、それが同一の管理外世界の同一の都市にほぼ時期を同じくして3件重なるというのは異例の事態だ。
データを見たハラオウン親子の表情は険しい。管理局に連絡をよこしたユーノ・スクライアという少年は通報後すぐに音信不通。それに加えて”何者かの襲撃を受けた”という情報が不安を増大させる。襲撃者の目的はほぼ確実に輸送機の積まれたジュエルシードだろう。でなければ管理局専用のロストロギア輸送ルートを特定できるはずがない。下手をすればその襲撃者に現物を抑えられている可能性だってある。
対照的に三人衆の顔は”またか”と言わんばかりのしかめっ面。

「またスクライアなのね・・・」
「連中どれだけやらかせば気が済むんだろーな?」
「良くも悪くも自分に正直、では済まないんだよねぇ・・・」
「え、どういうこと?スクライアって言えば遺跡発掘とかで有名な一族だよね?」

エイミィが疑問を呈する。スクライア一族といえば遺跡発掘による古代文明の調査で多くの論文を発表し、発掘の過程で発見されたロストロギアを多く管理局に受け渡したり聖王教会の依頼で発掘作業を行ったりしている一族である。管理局にいれば最低でも一回くらいなら名前を聞く程度には知名度のある一族だ。
が、三人衆はスクライア一族にいい思い出が全くない。それは彼らがとある任務でスクライア一族と行動を共にした時の思い出が元になっている・・・が。

「まぁそれはそのうち話してやる・・・それよりもだ。ジュエルシードの方は休止状態にあるとレーダーに引っかからないのが厄介な上に性質上人死にもありうる。が、封印自体は難しくないから地球につき次第捜索を開始する。以上の事を纏めると・・・こうだ」

モニターに新しい画面が表示される。そこには簡潔に

最優先:ジュエルシードの封印、及び確保。
次点:ジュエルシードによって被害が起きた場合の全面的対処。
次点:次元震を起こす未確認ロストロギアの捜査、及び可能ならばその確保。
次点:ジュエルシードを不当に回収した魔導士がいた場合、その身柄の拘束。
次点:恐らく現地にいると思われる大馬鹿者(スクライア)の確保。
次点:超大型ロストロギアの捜索。

そんなこんなで行動指針が決定した。現地到着まであと数日・・・それまでの間に地球でロストロギア関連の大事が起きないことを祈るばかりだ。

・・・ところで、会議室の面々のうち数名は密かにとある疑問を心に浮かべていた。
すなわち、なぜこの件にグレアム提督が真っ先に情報提供したのか、である。

確かにグレアム提督は管理局でも穏健派で非常事態には協力的なことが多い。地球出身であり局内でも高い地位にある提督が地球に個人的なコネがあっても不思議ではない。だが、提督はなぜこれほど早く、しかも確信に至っていない内容の情報を寄越したのか?
唯でさえ少ない情報を少しでも送りたかったのかもしれない。提供された情報には超大型の映像情報も存在したため、確かに何もないよりはましになった。善意だと言われれば善意なのだろう。あの人がこういうことをやるのが変かと言われるとNOだ。だが、何か引っかかる。

(この件が終わったら探ってみる必要があるかしら)

ハラオウン一家はとある理由でグレアム提督とは浅くない付き合いがある。特にクロノにとっては、幼少期に提督の使い魔から直接魔法を教わるなど恩師ともいえる人物だ。もちろんリンディも彼を信用している。だが、悲しいかな信用と信頼は別のものでもある。どちらにせよ、目の前の事件を解決できてからの話だ。
何もなければそれでこの件は終わりだ。そう、何もなければ・・・

 
 

 
後書き
夏バテのせいかどうにも脳みそが働かない日が続く海戦型です。海には4年くらい行ってません。
葛葉ライドウが楽しすぎてヤバイ。続編マダー? 
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