少年は魔人になるようです
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第37話 事件は一先ず決着するようです
Side 愁磨
「これは責任問題だぞ!!一体どうするつもりなんだ!?」
「だから、シュウのせいじゃないでしょう。
これは貴方の大好きな英雄様が引き起こした事態なのよ?」
「バカな、何故大戦の英雄がここにいると言うのだ!いや、今回の事件の前に!
お前達は素性が不明瞭で怪しいのだ!!」
「ガンドルフィーニ、随分偉くなったな?
兄さまをお前呼ばわりとは………指を全て毟り取ってから八つ裂きにするぞ?」
現在、午前一時半。エヴァ以外の学生組を除く俺達4人は、
図書館島での騒ぎについて言及、詰問・・・いや、口論になっている。
正義の魔法使い・立派な魔法使い信者達は要するに、
魔法バレしたのは構わないが、最悪の魔法使いと行動を共にしていたエヴァと一緒にいて
学園を表裏問わず好きにしている俺達は何者だ、と聞きたいらしい。
「エヴァンジェリン、貴様……!!学園長、全て説明してください!」
「フォッフォッフォ……。こ、困ったのう。」
ああ、大人の話はつまらんなぁ・・・。と言うか、なんでこうなったんだっけ?
えーと、確か図書館島の地下で――――
―回想―
「げ、猊下……!!申し訳ございません!!
創造物の身でありながら、御身に刃を振り下ろす所行!この身を持って――」
双方の攻撃を受け止めると、侵入者――俺にそっくりな奴が片膝をつき、首を垂れる。
自分にそっくり・・・いや全く同じ顔に畏まられても気持ち悪いだけだから、
それを制し先を促す。
「いや、また創る徒労の分無駄だ。それよりお前、冠は何だ?」
「ハッ、我が名は『不可能を冠する者』でございます。
ぞうb……、ツェラメル猊下にはヴァナミスとお呼び頂いております。」
察しが良いな。いや、これはまさか・・・・・?
新しく創った『答えを出す者の派生能力、『流れを読む者』か。
「ヴァナミス、今回の事は不問とする。話は追って聞くから、今は去れ。」
「し、しかし!私は猊下に攻撃致しましてございます!どうか、処罰を!!」
いや、ここでこそ能力使えよ。
呆然となってるとは言え、ネギ達の前で如何しろって言うんだ?
「だから―――ああ、そうだ。ここに来る前、人を襲ったのはお前か?」
「ハッ、その通りにございます。そのようにお創り頂きましたので、必然――」
「よし、この場で片手足を引き千切れ。それにて忠心を見せろ。」
「寛大なそのお心、まさに世界の主たる器……!!
失礼到します、お目汚しとは存じますが!!ぬ、グ、グググ……!!」
左太ももを右手で、右手を左手で鷲掴みにするヴァナミス。
そして、両手を一気に振り上げる。
ブチブチブチブチブチブチブチブチ!! ゴリッ!
「アァァァアアア、アアァアァァアアアァアアアアアアアアア!!!」
ブシュゥゥゥ!!
叫び声と共に、肉の裂ける音。その後骨を折る音がし、血が吹き出す。
刀子の件の借りは一先ずこの程度で良いだろう。結果的には死んでいないのだから。
「忠心の証、確かに。これにて今回の件は一時不問とする。」
「有り難き…幸せにございます………。では、失礼致します……。」
そう言って音も無く消えるヴァナミス。・・・・光転移まで使えるのか。
どこまで能力を使えるかは検証する必要があるが、今は・・・。
「さて、お前、等…………ああ、そりゃそうか。」
「それはそうでござるよ。きつい事するでござるなぁ……。」
振り返ると、妙に静かだったネギ一行は、長瀬を残して全員気絶していた。
………
……
…
「愁磨、あれは一体何なのですか・・・?」
「どうやら、造物主の新たな幹部らしいのじゃが。」
「いや、俺にも分からない。ツェラメルが独自に創ったモノだからな。
あの様子じゃ、脅威にはならんだろ。俺が死ねって言えば喜んで死ぬだろうし。」
気絶したネギ達は放置、先にアル達と話をする事に。
しかし、こいつら・・・・・・。
「んな事より、こいつらに説明しなきゃいけなくなっただろうが。
仮にも英雄様なんだからしっかりしてくれよ。」
「ああ、スマンな……。この頃戦える場所が無いからな、どうも鈍って……。」
「はぁ……。ダイオラマ球貸すから、今回みたいな失態しない様にしてくれ。」
ああ、この分じゃ詠春は酷い事になってんだろうなぁ・・・・。
刀子と刹那を弟子にしてた時に釘は刺しておいたけど、
書類仕事とか長の仕事に追われて修業してる暇なんてないだろうしな。
「ん、うぅ………ああぁあっ!?バイトに遅刻しちゃ―――あれ?」
「む、起きたか。じゃあ俺は後始末があるから、お前等は……まぁ好きなようにしてくれ。」
「ワシらの不手際で申し訳ないのう。またの、愁磨先生?」
「あ!愁磨先生!!あれ、えっと……何よあれ!?」
ああ、こう言う手合が一番面倒なんだよ。
説明したらしたでバカだから分からなくて、結局分かり易いようにもう一回纏めた説明する
羽目になるんだよ。
「神楽坂、もうこんな時間な上お前等不法侵入だし、なによりお前だけを相手にするのは面倒だ。
俺達の家で説明するから、長瀬とでそいつ等全員起こせ。」
「あいあいでござるよ。」
「ちょっと!!今のどう言う事!?確かに私勉強できないしアレだけど……。
て言うかなんで楓さんはそんなに素直に従ってんのよーーー!!
「(死にたくは無いでござるからなぁ……。
と言うか、さっきのを見てその様な口を利ける明日菜殿が凄いでござるよ。)
ほらネギ坊主、起きるでござるよ~。」
「ちょっとーーー!!無視しないでよーー!!」
………
……
…
「どうぞ皆様、お座りください。……どうぞ召し上がってください。」
「……おやおや、手厳しいでござるな~。」
家に帰るとリビングには、眠っているアリアと一部の寮組以外が揃っていた。
そう言えば、もみじの扱いも考えないとな・・・あとヴァナミスとツェラメルの事もあるし、
刀子に関しての説明と、一番面倒なのがこいつら・・・・!
「で、何を説明して欲しいんだ?ああ、言っておくが質問と要求は3つまで。
お前等が話す全てが対象だ、気を付けろ。」
「ちょ、ちょっと!意味分かんないわよ、説明しなさいよ!!」
「説明なら今しただろう……。そして分かっていないのはお前だけだ。
今のは流石に無かった事にしてやるから………、次、どうぞ?」
「では、愁磨先s「ちょっと待ちなさいってば!!酷くない!?」明日菜さん……。」
酷いのはお前の頭だ、神楽坂。見てみろ綾瀬の呆れ顔を。
思わず同情したくなるほど、この世の端を見たって顔だぞ。
「酷くない。お前らは教えを乞う側、俺は教えてやる側。立場を考えろ。
以上だ。あと二つしかないぞ、どうする?」
「ちょ「楓さん、お願いしますです。」
「あいあい~♪」
「ムガガ、ムガムムム~~~!!!」
長瀬が口を押さえ、ズルズルと引き摺られて行く神楽坂。
ただでさえ尺が無いんだから邪魔しないで欲しいな。
「では、愁磨先生……。先程の四人との関係と、貴方達の正体を教えてくださいです。」
「ああ、それだ、そう言うのを待っていた。しかし敢えて聞こう。
本当にそれでいいのか?」
「はい、これで知りたい事は全て聞けると思いますですから。」
やはり、この中で一番キレるのは綾瀬か。
頭は良いがしかし、目先の不思議に・・・知識欲に目が行き過ぎだな。
「では一つ、先程の虹色の髪の俺。俺とあいつの関係は……王と家臣と言ったところだ。
あとの三人、あいつらとは戦友、パーティーメンバー、英雄仲間だな。」
「えっ、英雄……?!それって、父さんの仲間って言う事ですか!?」
「…最後、俺達の正体、な……。一番しっくり来るのは、そうだな……。
『俺の、ハーレムだッッ!!』だな。」
ネギの質問は番外だから無視し、綾瀬の質問に答え切る。
「さて、答えられていない点はあるかな?」
「…………ああ、その、突っ込むのもあれです……。
ハーレムとは愁磨先生との関係であって、正体では無いです。」
「そう言えばそうだな……。肩書きでも言えば良いのか?
俺は魔人、英雄、大犯罪者、創造主。ノワールは堕天使、アリアは天使。
エヴァは真祖の吸血鬼、アリカは無き王国の王女、真名は半魔族、
刹那は半鳥人、もみじは魔王。刀子はたったさっき吸血鬼になった。」
・・・ああ、そりゃ胡散臭い目で見られるだろうな。
真剣なのは、こちら側の存在を知っている魔法使いと忍者だけだった。
―回想終了―
その後、散々ナギの事を聞いてくるネギを見て試験もあると思いだし、
全員の記憶を物理・精神・魔力・神力的に封印して寮に帰し、
寝るかとなった所に警備をしていた刀子が行方不明、
俺達が犯人だろうと決め付けたガンドル達が来て――
「今に至る、と……。」
「何を訳の分からない事を言っている!!疚しい事があるから説明出来んのだろう!?」
あぁああぁあ、ウゼえ・・・・説明しろ、説明しろ・・・・・・。
説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明
説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明
説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明
説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明説明!!
俺は疲れてんだよ、教師やってんのは自業自得、計画の事も、
若干怪しいツェラメルの事も、全部俺が自分からやってる事だよ。だがな・・・・。
「何故俺が、貴様等の満足の行くよう懇切丁寧に説明せなければいかんのだ……?
刀子は吸血鬼化、しかし仕事に支障は無く無問題、
俺達は学園の治安を裏表関係なく守っている謎の集団、それでいいだろう。」
「だ、だからいつ裏切るか分かった物ではないから――」
「説明すりゃ裏切らなくなるのか?何か対策が打てるとでも思うのか?
その正体不明の奴の説明でお前等は満足するのか?しないだろう、嘘だと言って。」
『正義の魔法使い』の象徴、元老院は不正・失態ばかり、遂には俺達の傀儡と化し、
処刑済みの俺とエルザさんは生存中。
犯罪者の俺が学園の平和を守って、教師をしてる―――
言ったところで、正義を妄信している頭岩ドルフィーニは信じないだろう。
「何度も言うが、俺達に手を出さなければこちらも手を出さない。
足も武器も魔法も出さない。では、義理は果たした。」
「な、待て!まだ話は――「『跪け』」ガッ!?」
「身の程を弁えろ、と言っているのだ。
俺の戯れ程度で動けない様な、何も自分で掴もうとしない雑魚が粋がるな。
行こう、ノワール、エヴァ。」
「ちゃんと部下は統率しないとダメよ~、近右衛門。」
「……フン。」
ああ、今日は疲れた・・・・。
Side out
Side 近右衛門
「クッ、調子に乗って……!!」
愁磨殿が出て行って、漸くガンドルフィーニ君が立ち上がる。
むぅ、あの様子ではやはり、ネギ君の修業には付き合ってくれんのう。
「仕方あるまいて、ああ言う手会いじゃからのう。
それよりも今は、ネギ君のスキルアップが先決じゃ。」
「そ、それもそうですね……。それでは、学園に潜む魔族を討つ計画を遂に……?」
「そうじゃのう。本国の応援も来るようじゃから、一ヶ月内には準備が整う。
ネギ君への通達方法は……分かっておるじゃろう?」
「はい、全て計画通りです。徐々に広まっていますし、もう直ぐ耳に届く頃でしょう。」
さてさて、魔王相手とは果してどうなる事かのう・・・。
恥とは思うが、有事の時の為・・・愁磨殿に相手をして貰うかの。
Side out
――後日、テスト結果発表
綾瀬夕映、平均81点。
神楽坂明日菜、平均73点。
古菲、平均85点。
佐々木まき絵、平均76点。
長瀬楓、平均83点。
図書館島の侵入者、協力勇士により撃退成功。
Side 千雨
『――と言う訳で、新年度から正式に英語科教員となる、
ネギ・スプリングフィールド先生じゃ。彼には3-A担任を務めて貰う。』
なんじゃそりゃあああああああああああああ!?有り得ねえだろ!!
「う~ん、ネギ君が担任かー。悪くは無いんだけどなー。」
「……明石、お前も変に思うのか?」
「おおう!?長谷川さんから話しかけて来るとは珍しいね!
変、って言うか……。愁磨先生の方が良かったかな~、なんて思ったり…。」
ふ~ん。まぁ、気にもなるか。去年の誕生日イベント以来、結構良くして貰ってるみてーだし。
・・・ま、私はどっちでもいいんだけどな。
愁磨先生の方が良かったとは思うけど、鬱イベントでも起こらねー限りどうでもいいさ。
Side out
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