ソードアートオンライン VIRUS
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第二の感染者・ジュン
シュートと別れてから街を探索する。感染者と思われるジュンの居場所を探すためであり、他の感染者がいないかの確認のためだ。
「て言ったって、こんな広い街の中でジュンを探すのなんて一苦労なんだよな。どこか目星のつく場所さえ知ってれば探すのも楽なんだがな……」
しかし、わからないことを言ったってすぐに見つかるわけがなく周囲を見渡しながらそれらしき人物を探す。しかし、少しどころか自分に向けられる視線の多さで集中しにくい。やはり先ほどの大会の優勝したせいだろうか。
「……」
しかし、この視線の数はどうにかならないだろうか。さすがにこんなに見られていると集中できないし、うまく探すことが出来ない。
溜め息を吐いて、裏道に移動しようとすると集団に絡まれる。
「おい、お前が今年の大会優勝者なんだろ?」
「そうだけど、ようがないならどいてくれ」
そう言って集団をの間を通ろうとすると、その間をなくして通れなくする。
「おい、どこに行こうとしてんだよ」
「お前らに関係ないだろ。早くどいてくれ」
「やっぱり、去年もだが今年の優勝者も自分が優勝したからって調子こきやがって。俺らはそういう態度がムカつくんだよ」
「俺のどこが調子乗ってるって言うんだよ。俺はただ街を歩いてただけだろうが」
「俺らにとってはそれが優勝して見せびらかしてるみたいな感じでイラつくんだよ。だから俺らの憂さ晴らしに付き合ってくれや」
優勝するとこんなにもめんどくさいのか。もう、あまりログインしないようにしておこうと思いながら一人の男を無理やりどかせて通ろうとする時、足を引っ掛けようと出てきた足を見てその足を思いっきり蹴り飛ばす。
足を出した男はそうされると思っていなかったみたいで驚きの表情を浮かべる。しかし、その前に蹴られた足からその場から数メートル飛ばされた。
「どけって言っただろ?」
そう言って開いた道を通ろうとするが今度は数人がいっぺんに襲い掛かってきた。それを受け流して一人一人殴り飛ばす。それを見た男たちは今度は冷静に構えてから周りを囲んだ。
「面倒なことを起こしたくないんだから、どいてくれよ」
溜め息を吐きながら言う。
「ウルセェ!調子こいてるんじゃねぇ!!」
そう言って何人かがまた襲い掛かってくる。しかも今度は考えているようで時間差を加えて挟み撃ちのような感じだ。
「街じゃダメージ食らわないかっらって襲うのはよくないんじゃないか?」
そう言って時間差で来る拳や足を防いでから掴む。そしてそのまま一人の足を払うと一人を倒し、転んだやつに向けて腕を持ったやつをそのまま叩きつけた。
「どかないって言うんだったらこっちもそれなりの対応をさせてもらうからな」
そして、縮地法を使って相手に自分がすでに目の前にいたと錯覚させるくらいの速さで接近するとまず一人にリバーブローを叩き込む。
「ふべら!!」
変な声を上げて吹き飛ばされる。その後、間髪いれずに隣にいた男の顔面に拳を叩きこんだ。それを見た男たちは一瞬だがひるむ。しかし、その一瞬の怯みは命取りとはならないが、攻撃を入れるのには十分な隙。
並んだ三人の足を払って転ばせる。しかし完全に倒れこむ前に、一番端にいる奴を殴りそのまま三人を壁へと殴り飛ばした。
「「「ふぎゃ!!」」」
そして止まることのない攻撃で囲んでいた相手を数秒の間に囲んでいた全ての敵を叩き潰した。そしてその間を通り、ようやく裏道に入ることが出来る。人の目がなくなるのを感じると溜め息を吐いた。
「はあ、息苦しかったな……」
「だろうな、ゲツガ……」
いきなり後ろから声をかけられ振り返る。そこには、黒いローブのようなボロ布を羽織顔が包帯で巻かれていたプレイヤーがいた。
「……まさか、お前がシュートを感染者にした野郎じゃないだろうな?」
「ん?ああ、あの餓鬼か」
どうやらこいつがシュートを感染者にした張本人らしい。
「ちょうどいたからシードを埋め込んだんだが、急にあいつからシードの気配がなくなったから、追ってきたんだが油断したみたいだな。お前のポケットに入ってるんだろ?」
そう言ってポケットに指を指した。
「やっぱり感染者ってことか。お前は……」
「感染者か……まあ、悪くない響きだ。でも、俺は感染者とかなんて今はどうでもいい。まさか、この世界でお前に会うなんて思ってなかったからな」
「そりゃ会ってもないやつに俺がこの世界にいるとかわからないだろうな」
「相変わらずの態度だな……通りでこの世界に来て傷が疼きだしたわけだ……ズタボロに引き裂いて殺したいってな」
「何のことだよ?俺はお前にあったのはここが初めてだし、その声や服装からしてもまったく見覚えなんてないぞ」
「まあ、この姿でわかるなんて期待してねえよ」
何のことかさっぱりわからないが、こいつは自分とは何らかの因縁があるようだ。しかし、こんな姿をした奴はどのVRMMOでも見たことがない。
そう考えている間に目の前にいたすでに黒いローブの男は消えていた。周囲を見渡そうとするとしたが後ろで何か固い金属のようなものを押し当てられていたため動くのをやめた。
「お前がわからないなら無理に思い出さなくていいんだぜ?別に俺はお前に思いだしたくてここに来たんじゃない。ただシードを誰が持っているかを確認し来たんだけだからな」
「思い出す?何のことだ、お前。それと何が目的だ?」
背中にいる黒いローブの男に向けてそういう。しかし、その男はくくくと笑うだけで何も答えない。そして、もう我慢できなくなり、そのまま回し蹴りを叩き込もうとする。しかし、それをすでに気付いていたのかすでに男は下がっていた。
「ちっ」
「いきなりだな。まあいいや。そろそろ、この世界ともおさらばだ。もう少しで種が発芽するぜ。早くしないと、あいつが狂っちまうぜ?」
そう言ってノイズを出して、その中に消えて行った。結局、何をし現れたのはわからなかったが確実に倒す奴が増えたということはわかった。
そして、ふと、先ほどシュートからの連絡が入ってることに気付き、ウィンドウを開いてメッセージを確認する。
【syuuto】
ジュンさんを見つけました。街の外で蹲っています。でも、何か様子がおかしすぎます。空間のあちこちが歪み始めてるし、ジュンさん自体も何か苦しそうです。早く来てください。
「見つけたか……」
そしてメッセージの一番下に記載されている地図を確認する。そして、そのほうに向けて走り始めた。
「あれ?ゲツガ君?」
裏道を抜けた瞬間にナナミと会った。何でこんな時に会うのだろうか。少し苛立ちを感じながら怪しまれないように止まる。
「どうしたんだ、ナナミ?」
「いや、ゲツガ君、てっきり寝てたと思ってたからさ、会ってびっくりしたの。それにしてもどうしたのそんなに急いで?」
「ちょっと用事ができたんだ。急ぎの用事でな。急いでたんだけど、そろそろ行かなきゃいけないからそれじゃ!」
そして、ナナミから離れてダッシュで街の外へと向かう。しかし、シュートが見つけた場所が正反対のため人遠いし、人ごみだから移動するのが遅くなる。
「クソ、こうなったら!」
そう呟くと狭い裏道に入り、壁に足と肘を着いて登っていく。そして屋根まで辿り着くと屋根を飛びながら移動し始める。人ごみがないぶん早く進むことが出来る。屋根と屋根の間を飛び越え、広場みたいなとこに出ると一度飛び降りて五点着地するとすぐに登りやすいところを見つけては登る。そして、人ごみの中を通るよりは幾分か早く街の外のエリアにつくことが出来た。
「急がなきゃな!」
シュートがいると思われる場所に向けて走る。そこからも結構遠かったが確実に近づいているのがわかる。
まず、周りの風景の一部分にノイズが生じ始めている。それにウィルスがいると言う感じがぴりぴりと肌に伝わってくる。
「ゲツガさん、こっちです!!」
そして、ようやくシュートのいるところまで着いた。素早くシュートのいる場所に行き商況を説明してもらう。
「ジュンはどこだ!?」
「あそこです!」
そのほうを向くとジュンが蹲っている。しかも体にはいくつものノイズが発生して苦しそうに呻いている。
「早くどうにかしたいんですが、僕はわからなくて……」
「俺にもどうすればいいかわからん。でも、行くしかないだろうな」
そういうと、シュートに下がっているように言ってからジュンに近づく。
「おい、ジュン。どうしたんだ?」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
しかし、声をかけたのに気付いていない様子だ。仕方なく、さらに近づいてさっきよりも大きな声で呼びかける。
「おい、ジュン」
「はぁ、ゲ……ツ……ガ……」
「何とか意思はあるみたいだ……ってあぶねっ!!」
ジュンは自分の名前を言った瞬間に襲い掛かってくる。いきなり来た攻撃をギリギリでかわして素早く体勢を立て直す。
「お……い……ゲツ……ガ……逃げろ……」
「何言ってんだ、お前?俺はそんな状態の奴をほおって逃げるわけには行かないんだよ」
「お前……何……言って……んだ……。早く……逃げない……とお前……もおな……じ……ように……なるぞ……」
どうやら抗っているようだが意識がどんどんと遠のいているようだ。
「俺はお前を止めなきゃなんないんだよ。それは運営には気付かれないと思うから俺がなんとかしなきゃならないんだからな」
「これは……おま……えの……手に……おえる……よう……な……ものじゃない……」
「手に負えないわけじゃない。お前の中から引きづり出せばいいんだからな」
そしてゲツガは構えを取った。
「シュートは離れていろよ。こいつは俺が何とかするから」
「はい」
そしてゲツガは感染者となったジュンの前に対峙した。
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