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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第35話 期末試験は問題無く波乱のようです


Side ネギ

「課題、ですか?」


春休みが近くなったある日、学園長先生から呼び出されて、学園長何時に来た。

また叱られると思ったんだけど、予想とは違った事で・・・。


「フォッフォッフォ、そうじゃ。

これをクリアできれば、正式に教師として雇おうと思っとる。

そして――『立派な魔法使い(マギステル・マギ)』見習いとしての本格的な修業もじゃ。」


立派な魔法使い(マギステル・マギ)』――お父さんと同じ。ボクの目指さなきゃいけないもの。

こっちに来てからは愁磨さんに怒られてたせいで忘れかけてたけど・・・・。

ようやく、そのスタート地点に立てる!!


「ボク、やります!がんばりますから、やらせてください!!」

「フォッフォ!やる気があるのは良い事じゃ。では、これを。」


学園長先生から封筒を貰って、学園長室から出て行く。

よし!がんばろう!!

Side out



Side しずな


現在2-Aでは、全教科の復習小テスト返却と答え合わせをしています。と言うのも――


「バカレンジャー!!お前らは詰めが甘いんじゃーーー!!」

「「「ごめんなさいーーーー!!(アルーー!!)(です…。)」」」

「いやー……。面目ないでゴザル。」


学年では通称バカレンジャーと呼ばれている5人。

1-Aの時から愁磨先生が居残り・宿題・特訓・・・様々な方法を持ちいて教えて来たのだけれど、

他の生徒達よりちょっと伸びが悪くて困っていますわ。


「佐々木と古の数学、2X+3=5X-9の答えが-4と-3X=-12。

移項した時の+-の動き、あとし忘れに気を付けろ。

長瀬の英語。That is not a hospital.の訳が、あの病院ではありません。

あれは病院ではありません、な。惜しい…。

綾瀬の理科。単語は覚えているが、勉強していないから意味がごっちゃになっている。」


伸びが悪いと言っても、ニアミスが多いとかあと一歩、と言うものなのだけれど・・・。


「だが神楽坂!!英語の自己紹介でThis is my Kagurazaka!From the Japan.

これは私の神楽坂です!日本から。って意味分からんわ!!勉強した痕は見えるけど!」

「しょうがないじゃないですかー!日本人なんだからーー!!」

「超だって中国人だが100点だし、雪広は96点だぞ!?」

「超さんは天才だし、いいんちょはハーフじゃないですかーー!!」

「ちょ、明日菜さん!?わたくしはハーフじゃありませんわよ!!」


あら?そう言えば、今日はネギ先生静かですわね。

職員用机に座っているネギ先生は・・・・手紙を見ていますわね。


「ネギ先生?どうなさったのですか?」

「うわわわわ!?し、しずな先生……。あ、アハハハ、なんでもないですー。」

「そうですか。授業中なのですから、

気を付けないと愁磨先生にまた怒られてしまいますわよ。」

「は、はい、気を付けます!」


手紙を隠すと、ちらりと愁磨先生を見るネギ先生。

いつもと違って、その視線は・・・・なんだか挑戦的で、不穏なモノを感じますわね。

大丈夫だと良いのですけれど・・・・・ネギ先生が。


Side out


Side 明日菜

「ちょっとネギ、今日はどうしたのよあんた。」

「あ、明日菜さん。いえ、なんでもないですよー。」


アハハー、っていつもみたいに笑うけど・・・なんか元気が無いのよねー。


「ガキがいっちょまえに隠し事なんてしてんじゃないわよーー!!

ほらほら、素直に言っちゃいなさい!!」

「あ、ちょ、明日菜さ!?アハハハハハハハハ!?!?」


………
……



「バカレンジャーの内二人が平均80点以上と、不審者の撃退?

なに、その取って付けたオマケみたいな課題?」

「ゼー……ゼー……、ハイ。成績の方は僕と愁磨さんと、

皆さんの頑張り次第だからなんとも言えないんですけど……。」


愁磨先生って苦手なんだけど・・・教えて貰うようになってからは成績は上がった。

私達五人は一年のテストじゃ平均40点が普通だったのに、

今じゃ平均65~から取れているし、1-A時最下位が今じゃ学年10位より上だし。


「不審者、って言うのが良く分からなくて。」

「……で、アンタは一人で行こうとしてた訳ね。」

「あぅ……。」


全く、コイツは・・・。お子ちゃまのくせに自分一人でやろうとしちゃうのよね。

危なっかしくて目を離せないから・・・だからガキって嫌いなのよ!


「もう、私も一緒に行ってあげるわ!

あ、危なっかしくて一人になんてさせられないからね!」

「あ、あすなさ~~~ん!!」

「うわ!?だから抱きつくなって言ってんでしょーが!!」

「仲ええな~♪お邪魔さんはお風呂に行って来るえ~。」

「木乃香ぁぁーーーー!!」

Side out


―――翌日、夜

Side 刀子

『学園長、ネギ君達は予定通り図書館島に入って行きました。』

「うむ、ご苦労じゃった神多羅木君。今日はもう良いぞい。』

「話を逸らさないでください!どう言う事ですか!?」(バンッ!

「フォッ!?な、何がかのう?」

「決まっています!ネギ君の就業課題の事です!!」


ガンドルフィーニ先生が学園長を詰問している理由、本来ならば課題は

綾瀬・神楽坂・古・佐々木・長瀬(バカレンジャー)のいずれか2名に平均80点以上を取らせる』

という内容だった筈が、先程学園長に聞いた所――


「なぜ『図書館島に居る不審者の撃退』が追加されているのですか!?」

「実はのう、しゅ……とある先生から意見が出たのじゃ。

明日菜君以外は既に70点以上を取れておるのじゃから、不十分ではないかと言われての。」

「またあの織原とか言う教師ですか!?一体何者なんですか!!」

「じゃからのう、それは言えんのじゃ……。」


・・・確かに、言えるはずありませんね。

私は青山の家にいた頃に稽古をつけて頂いたおかげで知っていますが、

本国が貶めて処刑した筈の英雄改め犯罪者、など言おうものならば、

立派な魔法使い至上主義のガンドルフィーニ先生は倒れるでしょうね。


「安心てくれてよい。不審者と言っても形ばかり、古くからの知り合いじゃ。」

「……フゥ、分かりました…。ですが、次からは全員に通知を徹底して頂きます。」

「フォッフォッフォ、分かっておる。」


どうだか、タヌキ・・・もとい妖怪。

そう言えば師匠――じゃなかった。愁磨さんは警備中なのでしょうか・・・?

・・・・・ちょっと、行ってみましょうか。

Side out



Side 愁磨


図書館島が見えるとある屋上。ノワール・エヴァ・アリア達三人は先に寝てしまい、

珍しく俺とアリカは二人きりで酒を飲んでいた。


「愁磨、ネギと明日菜を放っておいて良いのか?

図書館島にはドラゴンもおるし、何よりもナギと義姉君の形見とナギ達が――」

「ナギとエルザさんの息子と何か思って助けた対象って言っても、

俺は愛着も執着も何もないからどうでもいい。」


ナギからは半殺し程度までなら好きに教育して良いって言われたし、

神楽坂(・・・)は一生徒、アスナ(・・・)は仲間の知り合い程度だ。


「手厳しいのじゃな……。まあ、私とて言ってみただけじゃ。

無駄にして良い命などないが……万を殺す者ならば手助けをする必要はないのじゃ。」

「ん?以外だな。アリカなら全員助けるとか言うと思ったんだけどな。」

「なに、私が助けられん命は愁磨が助けるから問題無い。であろう?」


両手でコップを持ったアリカが、こちらを振り返り微笑む。

金色の月明かりに照らされた白金を見て、改めてその美しさを想う。

・・二人きりと言う事もあって、なんだか恥ずかしくなってくる・・・。


「フン、俺は俺の助けたい奴しか助けねーよ。」

「ふふふふふ、その顔を久々に見れただけで満足じゃ。

今宵は月も美しいし、愁磨と二人きりなだけでなく照れた顔を見れた。なんと良い夜か。」

「言ってろ…。実際、あそこにはアルが居るし、あいつはナギの息子を死なせんさ。

……ああ、今はゼクトとガトウも居るみたいだな。」


あいつ等、『紅き翼』半分集まって何やってんだ?

ここの教師が見たら卒倒なんてレベルじゃねーぞ、あれ。・・・ま、いいか。


「おおう!?……そろそろ冷えて来たし、家帰るか。」

「む?そ、そうじゃな。帰るとしよう…………。」


言いつつも、座ったまま裾を掴んで来るアリカ。


「……で、何をして欲しいんだ?ああ、お姫様抱っこして帰るか。」

「ち、違う!?いや、それも捨てがたいんじゃが……。」


指先をくりくりさせ、あらぬ方を見るアリカ。

ぐぅ・・・!デレたのは久々に見たから破壊力がッッ!!


「この頃忙しかったし、誰か一緒におったし、じゃから、そのー……。

ほら、あれじゃ。……んっ!」


目を瞑ってこっちを見て来る・・・って、つまりそう言う事か。

・・・何だろう、このアリカ。親鳥が甘えてるような微笑ましさがあるんだが。


「高校の奴等に見せてやりた……いや、やっぱ無しだな。

こんな可愛いアリカを見せてやるなんて、勿体無い………。」

「よ、余計な御世話……じゃ……。バカ、もの…。」


顔が近付いて行き、そして―――


「愁磨さん!!!い、今直ぐきて、くだ、さ………。あ、あう…!!

いや、今すぐ来てください!!」


真っ青な顔で飛びこんで来た刹那に邪魔された。

・・・・アリカも、エヴァに負けずタイミングが悪いらしい。

Side out


Side 真名

「真名!!」

「愁磨さん急いでくれ!私ではもう持たせられない!!」


愁磨さんから教えて貰った時間魔法で20秒、刀子先生の時間を遅らせていた。

魔族のハーフだから、これでも魔力量には自信があったのだけれど・・・ッ!

時間を3秒遅らせるだけで魔砲が10発撃てるね、これは!


「限定発動、10・10・10!広がれ、『うんめいのうつくしきせかい』!!

<対象:葛葉刀子 時間停止>!!ッッ刹那、状況説明!」


愁磨さんは、いつか見た固有世界を創り出し、刀子さんの時間を止める。

自分でやったから分かるよ・・・。やっぱり化け物だね、この人は。


「は、ハイ!その、いつもの様に警備していたら、不審者を見つけたんです。

偶々居合わせた刀子さんと私達で、取り押さえようとしたんです。

そ、そし、たら……。急に、本当にいきなり……!!」

「ああ、刹那、大丈夫だ。もういいぞ。……真名。」


説明しようとした刹那が混乱しだし、愁磨さんが落ち着かせるように抱き締める。

・・・無理もない。自分よりも強い剣の先輩が、いきなり半分になったのだから。


「概ね、刹那の言った通り。私の『眼』にも何も映らなかったから、何も分からない…。

黒いレザー素材のマントで、顔も見えなかったけれど……不思議な髪だった。」

「ッチ、『答えを出す者(アンサートーカー)』に該当なし…。それで、そいつは?」

「『一人で十分だ。』と言って、消えてしまった。」

「……分かった。今はそれより刀子だな。刹那を頼む。」


まだ少し震える刹那を私に預け、愁磨さんは静かに横たわる・・・・

腰から下が無くなった刀子さんの横に膝を付く。


「しゅ、愁磨さん……。刀子さん、大丈夫ですよね…?」

「……ハッキリ言うが、損傷がでか過ぎる。

腕足一本、風穴くらいなら創って代用できるが、下半身丸々は無理だ。

創ったとしても拒否反応が出るし、そもそも『創造』のルールに引っかかった。」

「そ、そんな……!!」

「だから!!……奥の手を使う。二人とも耳を塞いで目を瞑れ。絶対に聞くな、見るな。」

「分かりました、信じています……!!」


ギュッ、と強く目を瞑る刹那に習い、私も耳を塞ぐ。

刹那ほど想ってはいないけれど、同僚が死ぬのはもう御免だ・・・!

頼んだよ、愁磨さん・・・。

Side out



Side 愁磨

二人が見聞きしていないのを確認し、刀子の状態を慎重に変える。


「<座標:0-358、567-358、0-567、567-358 時間停止>

<座標:前+1より+224 麻痺><座表:前+2400から+3200 活性>。

……フゥ、これで…刀子、刀子!!目を開けろ!!」

「……………あ、…あ、し、しょう……。どう、したのですか…?」

「師匠って呼ぶなって言ってるだろうが……。自分の状況、分かるか?」

「……不審者を見つ、けて…その、あと………?

ッああ、何かが飛んできて、それで…。下半身の、感覚が、なく…なって……。」


よし、この様子は・・・傷口の停止と痛みの麻痺、血液の不足対処の思考強化は

成功してるみたいだ。自分の置かれた状況も把握したみたいだし・・・。


「刀子、いいか!!今しているのは応急措置でしかなく、このままじゃ死ぬ。

俺に出来る方法じゃ、人外にするしか助ける方法が無い。

だから……人間を辞めてでも、生きたいか否か。答えろ。」

「……この、人間の姿のままでしたら………生きていたいです。」


・・・存外、決断が早いが・・・・刀子が後悔したなら、俺が責任を持って――――


「分かった。……最後、一番重要な事だが――刀子、処女か?」

「………………………………ああ、ええ、そうです……。

私より弱い…男に、許す気はありませんでしたから……。」


・・・よかった、二重の意味で。死にかけなせいで麻痺してるのか。

(刹那達に聞かせたくなかったのはこれ。一応、2・・・歳なんだし。)


「形態(モード):≪Alucard≫完全発動………行くぞ、刀子。」

「……ええ……。」


刀子を抱き上げ、口を大きく開ける。

常とは違い、牙のみになったその歯で刀子の首筋に噛みつくと――


――ゾブリ、と嫌な音がした。


Side out

 
 

 
後書き
夏バテ&お休み無い為少々ぐったりモードです。
ので、盆くらいまではまったりペースで更新。 
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