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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  三話:六歳の秘密

 ビスタの港です。
 (ひな)びた、港です。

 タルとか箱とかいっぱいあるからなんかいろいろ入ってるかと思ったらそうでも無い、ガッカリ港です。

 まあ、そんなわかってたことはいい。

 パパンが港のオッサンとお話し中なので、ひとりで遊んでる……という体裁で、スライムを捜索中。

 イベント!イベント!

 ぶっちゃけ、ひとりでスライム倒したことあるんだけどね!
 モテモテ☆イケメン美女ライフのためには、正規の機会を待ってるだけじゃダメなんですよ!(たぶん)

 いやー、あの時は大変だったわー……。
 何が大変って、パパン&サンチョの目を盗んで、()け出すのが。
 (さら)われた恋女房との一粒種かつ、超美少女だからね!なにしろ! 
 過保護なとこ、あるんだよね!

 船員さんの中にガチロリコンっぽい人が居たんで、これは気を付けないとヤバいかなー、とか思ってたら直後に、パパンが物影でそのオッサン威圧してたからね!
 怪しいな、って疑いを持った程度の状況でですよ!
 いやー、あれは怖かったわー……。
 他人事ながら、ちょっと泣きそうになったもん。子供の涙腺だからってのもあるが。
 その後は遠くから物欲しそうに眺められてることはあって若干……いやかなり気持ち悪かったけどパパンを見ると即行逃げてったし、全く近付いてはこなかったし。
 まあ、うん。良かったよ。

 と、そんな過保護なパパンと、同じくらいもしくはより以上に過保護なサンチョの目を逃れるため、パパンにもらったのとは別にひのきの棒っぽいものを調達して外に隠しておき、わざわざ目に付くような場所にパパン贈呈のひのきの棒は置いて行き、
「おはなをつんできますね!おへやを、きれいにかざりたいから!」
とかなんとか言って自然な態度でお出かけし、何食わぬ顔で村内の死角から死角を移動してひのきの棒っぽいものを回収し、洞窟の前に何故かいつもいる戦士のオッサンの隙を突いて入り込み(子供に隙を突かれるとか甘いね!)、ステータスも高いからゴリ押せるだろうに雑魚相手でも油断の無い動きで急所を的確に狙うパパンを見て学んだ剣術……棒術?で、苦労しつつもなんとかスライムを倒し、予め摘んでおいた花(水に浸けておいたので萎れて無い)を持って帰宅する、という。

「ころんで、よごれちゃいました……。ごめんね、サンチョ(うるうる)」
というフォローも、忘れない!

 泣き落とし(泣いてないけど)の効果はいつも通り抜群だったけど、それ以外のとこでサンチョの態度がぎこちなかったから、もしかしたら気付かれてたかもしれないけどね!
 必死に偽装工作する様子を、物影から温かく見守られてたとか……。
 恥ずかしいな、それ!

 あ、パパンの態度は全くいつも通りでした。
 気付いてたとしたら……流石、パパン!できる男だぜ!

 まあ見逃してくれるなら、気付かれてても別に問題無い!
 背伸びしたい子供の行動として、特に不自然でも無いよね!
 モテモテ☆イケメン美女ライフの前には、多少の恥など些細な問題よ……!


 と、まあ。
 そんなことを繰り返したおかげで、スライム程度ならもうひとりでも余裕で倒せるし、もしかしたらパパンきてくれないかもしれないね!
 たぶんもうバレてるだろうし!

 なんてことを思いつつ、スライム発見。
 可愛らしく悲鳴、とかは上げない。
 ぶっちゃけそんな演技に走るまでの余裕は無いし、まずはひとりで戦わないとイベントにならないし。

 よーし、頑張るぞー!


 と、ひのきの棒(パパン贈呈正規品)を構えた私の横を、一陣の風が吹き抜けた。

 ん?
 と思う間に、スライスされていく、スライム。

 ……え?

 早くね?
 何?見てたの?捜索中から??

 流れるような動作で剣の汚れを払い、鞘に納めたパパンが振り返る。

「大丈夫か?ドーラ」

 完全に無傷というか、武器を振ってもいないんですけど。

「はい。ありがとうございます。……おはなしは、もういいんですか?」

 いつから見てたんだよマジで。

「用件はもう済んで、雑談だったのでな。予感がして飛び出してきたが、間に合って良かった」

 見ても無かったのかよ!
 野生の勘ぱねェ!
 やはり、パパン……できる男!

 これはアレだね、バレてないわけが無いレベルだね。
 たぶん、見守り担当は自分でやったらすぐ飛び出しちゃうから、サンチョに任せて家でやきもきしてたとか、そういう感じだね。
 顔に出ないだけで、パパンのほうが過保護なのか、意外にも。

 などと考え込んでいる間に、パパンがホイミをかけてくれます。
 いや、だから無傷ですから。完全に。

「ありがとうございます。でも、けがはしてなかったのに」
「女の子だからな。万が一にも、傷が残ったりしたら大変だ」

 だから、残る以前に付いてないんですって。まあいいや、もう。

「それでは、行こうか」

 え?飛び出してきたんでしょ?
 挨拶くらいしてこないと、不味くね?

「みなとのひとは、いいんですか?」
「引き留められているところだったのでな。戻るとまた長くなるだろうから、このまま行こう」

 それならまあ、いい、のか?
 でもビアンカちゃんに早く会いたいし、さっさと行くのは賛成です!

「わかりました!」
「離れずに、付いてくるんだぞ」
「はい!」

 いつものこのセリフも、そういう気持ちで聞くと過保護感あふれて聞こえるわー。

 ま、いいか!
 ビアンカちゃんに会いに、サンタローズの我が家へ、ゴー! 
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