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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第33話 主人公薬味は、主人公魔人と遭うようです


Side 木乃香


「もー、明日菜のせいで遅刻やないのー!」

「ゴメンって言ってるじゃなーーい!!」


愁磨はんが副担任になってから10ヶ月。

勉強とか遅刻とか、愁磨はんがキビシく注意しとったお陰で明日菜の寝坊も少しは

良くなっとったのに。


「全部おじーちゃんのせいやわー。

明日菜にも新しいせんせのお迎えとか頼むからー。気ぃ抜けたんやろ?」

「うぐぐ、確かに愁磨先生のお小言聞かなくて済むと思ったけど……。」


愁磨さんなんや有名人みたいで、隣の区の人らがよく喋っとった。

厳しくてよう叱るんやけど、同年代っぽくて嫌いになれないんやて。

でも、それがきちんと大人の諭し方で、不良さんも一回で改心するとか。


「でも、何で私までなのー!?木乃香だって、孫娘だからって行く事無いのに。」

「さー?おじーちゃん何考えてるのかよう分からんし。」


実際に明日菜が叱られると聞いてて成る程、思たんやけど・・・・・

なんで明日菜は治らんのやろね?おバカさんだからやろか?


「てか、学園長の知り合いって事はじじいなんでしょー?」

「そうとも限らんえー。今日の占い、運命の出会いアリやてー。

えーっと、好きな人の名前を十回言ってから『ワン』って――」

「マジ!?高畑先生高畑先生高畑先生高畑先生高畑先生高畑先生高畑先生

高畑先生高畑先生高畑先生!!ワンッ!!」

「アハハ、明日菜は高畑せんせの為なら何でもやるなー。」


って、この占い変やね?

今日出会う人が運命の人な訳やから、好きな人の名前言っても今日会う人と――

・・・・・まーいいやろ♪私は愁磨はん一途やし。

明日菜は明日菜で頑張ってもらお――



フワッ



風が吹いた気がして、気も無しにそこを見る。

明日菜の隣に来たそれは、小学生くらいの子供で――――


「あのー、あなた、失恋の相が出てますよ。」


無遠慮に、何も考えてない顔で、言った。

ある意味、劇的な出会い・・・・。

・・・あ、あははは・・・これが、明日菜の運命の人なんやろか?


Side out


Side 愁磨


「で?どう言うつもりだ、ジジイ。

場合によっちゃ、秘境部族みたいにわっかで赤ん坊の頃から矯正でもしてない限り

そんな事になる筈無い、人体の神秘的に伸びたこの後頭部の骨切り取るぞ。」

「ヒョ!?勘弁してくれんかのう?」


残念ながらあの後頭部に脳味噌が入っている訳では無かったが、

逆に不思議な後頭部をペチペチやりながら脅h・・・もとい詰問する。


「タカミチがAAAの方で忙しいのも分かる。

普通の人間じゃ、あのクラスを纏められんのも分かる。だがしかし!!!」

「何故ナギと義姉君の息子を担任にするのじゃ?全く意味が分からぬ。」


アリカに台詞とられた!?そうそう、アリカもこっちの外国語の教師になりました。

まぁ主に3年担当だから、ネギと接触は無いと思うが。


「普通こういう場合って、シュウが担任になるものじゃないのかしら?」


確かに、担任とかに興味は無いしどうでも良いんだが。

新田先生を筆頭とした一般教師陣の反対と、刀子や瀬瑠彦・明石と言った

良識ある魔法先生からも疑問の声が挙がっているのだ。


「ふむ……。なら、条件を付けてやろう。

もしこれをネギが守れていれば、先生達は全員俺が説得しよう。責任も俺が取る。」

「フォッ、これはまた大きく出たのう……。どんな無理難題なのかのう?」

「クフフフフ……安心しろ。凄まじく簡単で、初歩の初歩の事だよ――」


Side out



Side 刹那


「あ、アリア殿。愁磨先生はどうしたのですか?」

「・・・・新しい、先生のことで・・・妖怪退治・・・。」

「そ、そうですか……ありがとう。」

「・・・・ん。あと、アリアでいいって・・・。けーごもいらない。」


これでも、ここ一年でアリアどn・・・アリアとはかなり打ち解けたのだ。

・・・最初は酷いものだった。

このちゃんと話をして、愁磨さんと・・・まぁ、頑張ろうとなったのだが、

世間話や修業の話しをしている時は居ないのに、そういう話に持って行くと

気配無く現れ、愁磨さんの背中に抱きついてこちらを睨んで来るのだった。


結局、口下手な私は2、3・・・200、300と手合わせ(イジメ)をして、漸くここまで扱ぎ付けた。

ハァ、私もしずなさんや刀子さんの様に、大人の魅力でもあれば別だったのだろうか・・・。


ちなみに、何故かこのちゃんとは犬猿の仲となっている。本当に珍しい。

と言ってもそこに関してだけであって、仲は良いのだが。


ガラガラガラ! パシパシパシトン。
「ハイハーイ、予鈴鳴り終わるまでに席に着かないと大変だぞーー。」


と、いつもの様に罠を受け止め、決まり文句を言いながら愁磨さんが教室に来た。

・・・当然、大変になるのは私達の方で。

一度神楽坂さんが遅刻して来た時に出された宿題の量を見て、

『朝は席に座って喋るべし』が暗黙のスローガンになった事は内緒だそうだ。


「えー、学期末が迫る中と言う訳で、今日は新しい副担任(・・・)の先生を紹介する。」


最早担任となっている愁磨さんではあるが、彼もまた副担任。

高畑先生はしょっちゅう出張で居なくなる為、仕方無いのだが。


「しずな先生、どうぞー。」


そう言って、しずな先生に続いて入ってきたのは――――


「では、自己紹介してくれ。」

「は、ハイ!!は、初めまして。今日から副担任をする事になりました、

ネギ・スプリングフィールドと言います!よろしくお願いします!!」


「こ………。」

「「「「「「こどもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」」」」


明らかに私達よりも年下の子供だった。


Side out
――――――――――――――――――――――――――――――


subSide 近右衛門

『……それで、どう言う事なのですか?ネギ君が何故、副担任に?』


今、ワシはひっじょーーーに困っておる。

元々、ネギ君の修業課程は本国が裏回ししておって、ワシはそれを実行しているに過ぎないのじゃ。

・・・・偶にアレンジは加えるがのう。

コホン。で、愁磨殿と賭けをして負けてしまったものじゃから、

こうして直々に問われておるのじゃ。


「実は、教師達が豪く反対してしまいましての。

強行しても問題があったので、条件付きで認めるという話になったのですじゃ。」

『……ネギ君はその条件を満たせなかったのですね。ならば仕方ありません。

では、指示は追って伝えますので。では。』


・・・・・切れてしもうた。

いつもなら一時間は小言があるモノじゃが・・・・。一体、何なのじゃ?

Side out



subSide 元老院議員

「………これで満足かね、ナギ(・・)スプリングフィールド(・・・・・・・・・・)。」

「ああ、上出来だおっさん。

しっかし――ハハハハハ!ネギは担任にゃなれなかったか!!

っま、愁磨が居るなら当然か!!」


訳が分からない。死んだ英雄が生きていたり、処刑された白帝が生きていたり・・・!

う、上は一体、なにをしているんだ!?


「っと、記憶は消しておかねぇとな。」

「私がやるわ。ナギは細かい魔法が下手だから、記憶全部消しちゃうでしょう?」

「んっだよ、俺だって練習すりゃ……。」

「ハイハイ、今まで幾ら練習したか思い出してみましょうか。」(ブォォン


『災厄の女王』の魔法陣が展開され、――――――

Side out



「ま、副担任でも変わんねぇか。俺達の……俺の替わりになれば良いからな。」



――――――――――――――――――――――――――――――

Side 真名


バァン!!
「兄さま!!あれは幾らなんでも酷過ぎるだろう!!!」

「……ああ、俺も非常に悔んでいる。どうせなら辞めさせる程度はしておくべきだった。」

「あ、あはははは………。」


刹那からは、乾いた声しか出ない。

まぁ、私は既にそれすら出なくなっている。・・・それもそうだろう。


授業中に魔力を暴走させて神楽坂の服を吹き飛ばすわ、

宮崎を助けるためとは言え神楽坂に魔法がばれた揚句もう一回服を吹き飛ばすわ、

歓迎会の時大勢の前で読心魔法を使うわ、

パニックに陥って大勢の記憶を消し飛ばそうとするわ・・・・・。


最後のなんかは、愁磨さんが無効化していなければ、今頃20人以上の廃人が

生まれていた事だろうね・・・・・。


「「「「「「ああ、頭が痛い………。」」」」」」

「・・・・パパの邪魔・・・なら、『神虎』のえさ?」

「いや、まだだ……。明日菜は馬鹿でお人好しだから問題は無い。

何だかんだで秘密を守ってくれる……。それよりも、宮崎とその周辺だ。」


・・・まぁ、だろうね。

歓迎会の様子じゃ、少年を気になって・・・もう惚れているも同然みたいだしね。


「確かに、図書館島組は聊か面倒なのは確かだ。

宮崎・綾瀬は知識だけならば一人前。早乙女は観察力・洞察力がずば抜けている。」

「加えて、報道部の朝倉と仲良しじゃからな……。

ネギがあの調子のままな以上、情報収集・構築は烏兎匆匆。」

「鬱陶しいわねぇ~……。

ナギとエルザの子供じゃなかったら、今すぐ八つ裂きにでもしてあげるのに。

って、あ、そっか!」

「どうしたのじゃ、ノワール。」


ノワールさんが、さも良い事を思いついたという表情を見せ―――


「危険そうな子達、皆八つ裂きに―――」

「「「ダメに決まってるだろ(るじゃろう)(だろうが)!!!」」」

「なによ、冗談よー……。」

「・・・・私は、良いとおm「アリア、お願いだ…。」・・・了解、真名。」


この家()、ツッコミとボケの入れ替わりが激し過ぎて疲れる・・・。

刹那がもう少し慣れてくれれば、鋭いのが入るんだがな・・・。


「ハァ………明日は何をしてくれるんだろうな?」


・・・・今から滅入ってしまうからやめてくれ・・・。

Side out



Side 木乃香


「もー!あんたのせいでバイトには遅刻するし学校には遅刻しそうになるし!

あんたなんか泊めるんじゃなかったわ!!」

「えうっ!?そ、それは僕のせいじゃないですー!」


もー、仲悪いなー。って言っても、時々コソコソ話ししとるから、

ホンマに仲悪い訳やないんやろうけど。


「いいって!!それに、勇気が本当の魔法って言ったのはあんたでしょ?

自分の力でなんとかするわよ。ホラ、あんたあっちでしょ。じゃね!」

「あ、はい!頑張ってください!!」


目をなんや輝かせて、ネギ君は教員玄関の方に行った。


「なぁなぁ、なんのはなし~?」

「こ、木乃香には関係ないわよ!ホラ、走んないと間に合わないわよ!!」

「ホンマやーー!愁磨はんにどやされてまうー!」


折角頑張って褒めてもらっとるのに、こんな事で評価は下げられへん!


ダダダダダダダダダダダ!! ガラガラガラ!
「ッセーーーーフ!!」

「あら、明日菜さん、木乃香さん。二人揃ってギリギリとは珍しいですわね。」

「おはよーさん、いいんちょー。愁磨は…せんせは?」

「ええ、なんでも急な転校生が居るとかで遅れているそうですわ。」

「へぇ、って事は一緒のクラスなんだ。ネギもそうだけど、

こんな時期に転校してくるなんて珍しいわよねー。」


複雑な家庭事情、とか言う奴なんやろか?

・・・ウチ、人の事言えるような普通の家に住んで無いんやけどな。


「……お前ら、早く座れ………。」

「「「うっひゃぁ!?」」」

「愁磨先生、何時の間に……と言うか、お顔が優れない様ですが……。」

「なんでもない、気にするな。――あー、知ってる者も居るようだが、

このクラスに新しい仲間が増える事になった。朱里(あかさと)君、入って来なさい。」


幽鬼みたいな愁磨さんが言うと、廊下にいた子が入って来た。


「初めまして!ボクはもみじ・A(エー)朱里(あかさと)って言います!

趣味は星座観察、特技は人の願いを叶える事、得意科目は天文学と幾何学!」


薔薇みたいな真っ赤なポニ―テール、炎みたいな紅い目のカワエエ顔。

綺麗な真珠色の肌で、元気な印象やのに、淫靡な雰囲気を持った子。そして――


「好きなモノは愁磨です!よろしく!!」


ベキッ! ミシッッ ジャコン チャキッ

なんでか男子の上の制服を着て、中等部のスカートを履いたその子の一言は、

4人の殺る気を最高まで引き上げてもうたみたい。


Side out



Side ネギ

「さて、全員質問は無いな?無いよな………?ハァ……。

アs…朱里、席はエヴァンジェリンの隣だ。」

「ハーーーイ!!」


元気な返事をして走って行くもみじさんと違って、

愁磨さんは疲れているような、怒っているような・・・すごく、なんていうか・・・。


「しゅ、愁磨さ――「『先生』、だ。」しゅ、愁磨先生……あの、授業……。」

「…ああ、そう言えばそうだったね。実質、今日が初授業か。

よし、なら見ぶ……もとい、見学させて貰おうかな。」


そう言うと、窓際に座ってジッとこっちを見てくる愁磨さん。うう、やり難いなぁ・・・。

村に居る時は優しい人だったから、今みたいに怒ってるとすっごくやり難い・・・。

でも、頑張らないと!!頑張って、父さんみたいな『立派な魔法使い(マギステル・マギ)』になるんだ!


「じゃ、じゃあ、早速授業始めますね!!テキストの42ページを開いてください。

コホン。The boy looking for his father―――」


テキストに書いてある英文をスラスラ読んでいく。

けど、日本の英語ってあっちと少し違うから、違和感があるなぁ。


「じゃあ、今の所誰かに訳して貰おうかな~。じゃあ、始めの所を――」

バッ! ササッ! キラキラキラ グ グ グ グ ―・・・


テキストから顔を上げると、みんな視線を逸らす。

雪広さんだけはこっちを見てくれてるけど、そこまで避けられると――


「じゃあ、明日菜さん。」

「な、なんであたしなのよ!!こう言うのは普通、出席番号順とかでしょ!!」

「え、だって…明日菜さん、ア行ですし……。」

「それは名前の方でし「―――神楽坂。」ひゃあ!!しゅ、愁磨先生…。」


窓の方を見ると、座ったまま愁磨さんがこっち・・・じゃなくて、明日菜さんを睨んでいる。

あ、あんな顔もするんだ・・・・。


「授業中は『騒ぐな』、と言っている筈だ。

それに、教師に対しての言葉遣い。せめて授業中くらいは直せと言っているだろう。」

「うう、スイマセン……。」

「それに、分からないなら分からないと言えば良い。

……まぁ、挑戦もしない子には特別な予習プリントを―――」

「ヒィィィ!!や、やるわよ!!じゃ無かった、やらせて貰います!」

「そうか?じゃあ頑張れ。」


すごいなぁ・・・。あの明日菜さんに言う事を聞かせるなんて!

経験なのかな?それとも、大人だからかなぁ?


「ううう、えっと?男の子は、見る……彼の、お父さん……。で、ディサー…?」

「クスクス、明日菜さん、英語ダメなんですねー。」

「なぁっ!?あんたね――あ、あわわ、わわ……。」

「「「「「「「ヒィィッ!!」」」」」」」

「???みなさん、どうs「小僧。」へっ、愁磨さん?な―――」


窓際の・・・今は何故か後ろに居る愁磨さんの声に振り向くと、

そこにいたのは、村に居た頃の優しい顔の人じゃなく―――


「教育してやる。有り難く思え。」


悪魔みたいな、悪魔だった。


Side out
 
 

 
後書き
主人公、邂逅(?)
村では既に『会』ってるんですけれど 
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