【新約】魔導循環~Magical circulation~
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הסיפור רביעי / מלאך שנפל זימון
前書き
久々の更新。ヘブライ語に手間取った。
堕天使。
天使が何らかの罪を犯し、罰として地獄に叩き落とされ悪魔と化したもの。
階級は悪魔の中でも最上位の部類に入り、初代魔王サタン=堕天使ルシファーをはじめとする強力な悪魔が多い。
《守護悪魔》とするには非常に高位の魔術師でなければならず、現在堕天使を守護悪魔にすることに成功しているのは第三位のベリエル卿と、第一位である正体不明の魔術師の二人だけである。もっとも、第二位の魔術師は堕天使を召喚せずに複数の悪魔を使役する戦法をとっており、実力的には堕天使を召喚することができるという。
腰までのつややかな黒髪に勝気な目。自信過剰気味だがしかしそれなりに実力はある。
レギオン《ヴァンティーラ》第二十七位、四柄サヤはこの堕天使の召喚を今日、実行に移すことにしていた。
自分にできずに他人にできる。
それは、サヤのプライドを大きく傷つけるものだった。
他人にできるなら自分にもできて当然である。それがサヤのモットーだった。
サヤは堕天使の中でも飛び切り強力なものを呼び寄せることにした。それは………
《大天使》。
もともとは堕天使ではない天使だが、ある術式を組み込むことで堕天させることができる。
サヤが召喚することにしたのは魂の守護者、戦場を書けるヴァルキュリア達の長、ウリエルだった。
戦闘力、魔力、特殊能力。
どれをとってもウリエルは完璧だった。
天使の召喚の術式はいたって簡単。
祝福を求め、降臨を促すのみだ。
大天使となれば少し術式が複雑になるが、サヤは自分にできないはずがないと自負している。
厄介なのが《堕天属性》を付与する術式だ。これがかなり難しい。
与える魔力量が多いのだ。
しかしそんなことを気にしていては、自分の体面を保つことができない。
と、言うわけで、他人から見ればあまりにも無謀すぎる挑戦を、サヤは執り行おうとしていた。
基本的な悪魔と違って、天使の召喚には大した準備は要らない。
堕天時の暴走を防ぐために呪縛の術式を組み立てる必要はあるが。
「ヨツカ嬢ではないか」
「あら。ご機嫌麗しゅう、ベリエル卿」
仮面の男が、丁度角を曲がってきた。
彼の後ろに使える堕天使。
彼の者こそ、ベリエル卿の従える最強の堕天使にして初代魔王、ルシファー。
「つい先ほどアザレア卿が《召喚の儀》にはいられたところだ。……はて、ヨツカ嬢も本日が《召喚の儀》であったか?」
これには少々言葉を詰まらせざるを得ない。
本来、二十七位であるサヤの《召喚の儀》はもっと後日だ。
規約を破って召喚を行おうとすれば、マスターからひどい罰を受けるであろう。
「え、ええ。それじゃぁ、私急ぎますので」
「うむ。検討を祈るぞ」
***
ベリエルは少女が去って行った方向をしばらく見つめ、呟いた。
「フ、フ、フ。小娘めが、大胆にも規約を破るか。……まぁよい。余は奴の弱みを握ったと言えよう」
「גם differents וגיא ערמומי Berieru of'm.」
「ククク。ご冗談を、ルシファー閣下」
もう一度ベリエルは少女が去った方向を見つめ、ク、ク、ク、と笑った。
***
「さぁて……私の実力、見せてやるわよ」
誰にともなくつぶやき、サヤは描き終えた魔方陣に向かって術式を唱えた。
「...... Veggen Bandt første til den onde veggene מולי דן אנדרה קלסר mørket Forseglet tredje Veggen viljebandt AV Det דן Fjerde kjede veggene אני חופר 」
これで召喚された堕天使を抑え込む術式は完成だ。後は全天使共通の術式、堕天の術式、そして大天使召喚の術式を唱えれば完成だ。
「בואו, המלך של גן עדן.
בואו, הבא של הנשמה.
אנחנו למי להתקשר אליך.
אנחנו אלה שרוצים אתה.」
さらにここに、大天使を召喚するための術式を使用する。
「 הו, מה נהדר.
הו, שטיח אלים.
אני מכה את האור, להאיר את הכנפיים להוביל אתה היסוס שי נשמה.」
サヤは自分の中の魔力が底を尽きかけているのを感じた。しかしこの程度でねを上げていては、エリートの名が廃る。
「なめ……るな……ッ!」
残る魔力を総動員し、最後の術式を唱える。
「עם זאת, באגף האדם zu מיותר אליך.
אתה שנפל מהשמים לאבא.
אתה תהיה לי כנפיים שטנית.
Fallen Angel לבוא ומשנה. גזע: "מלאך שנפל": שם עצם: "אוריאל"!!」
最後の魔力が尽きると同時に、サヤも地面に倒れこんでしまう。
「やった……完璧……だわ……!」
魔方陣から漏れる輝きは本物だ。それを闇がつつんでいき、漆黒の光に塗り替える。
その時だった。
突然、魔方陣が異常な輝きを放ち始めた。文様が所々消えかけ始める。
「!?……なによこれ!そんな……術式は完璧だったはず!!」
サヤは全く認めようとはしないだろうが、実は彼女の詠唱は完璧などでは全然ない。
そもそも魔術を使用するに当たって重要な《術者階梯》が全く足りていないのだ。
《天使召喚:大天使》の《術式階梯》は5。《堕天属性付与》の階梯は7。それに対するサヤの《術者階梯》は3。レベルが到底足りない。
そんなものでは、召喚ができたことすらが奇跡。いや、術式を唱えることができた時点で奇跡だ。彼女もそれなりに優秀な人材だということなのだろう。
閃光。
爆発。
部屋の中が黒煙に包まれる。
「ゲホッ!ゲホッ!……な、なによ、もう!!」
次第に煙が晴れていく。
そして、先ほどまで魔方陣があったところは粉々に粉砕され、下地が見えていた。
「あちゃ~……ん?」
崩壊した床の中心。そこに、何者かが突っ立っている。
それは、年のころ八歳から十歳ほどの少年だった。髪の毛はくすんだ金色。瞳の色は狂喜を封じたようなクリムゾンレッド。顔の造形はまだ幼く、纏っている服は古代ギリシャか古代ローマ風のものだった。歴史に詳しくないサヤにはよくわからないが……。
「き、君は?どこから入ってきたのかしら?」
すると少年は、サヤをじっと見つめて、見た目どおりの高い声で、ちょっと年不相応な物言いで答えた。
「貴様が召喚したのであろう?この俺を。まったく。雑魚の分際でこの栄えある大天使ウリエル様を堕天させ、あまつさえ縛り付けるとは。しかも見よ。貴様の実力が足りないせいでこのような童子の姿になってしまったではないか」
「え……??」
「『え……??』ではないわ無礼者が!!よいか、この俺は栄えある大天使ウリエル!本来貴様のような雑魚が召喚していい存在ではないのだ!!跪け!!跪け!!そしてこの俺に詫びるのだ!!」
つまり、この少年が。
――――――大天使、ウリエル?
「えええええええええええええええええええええええ!?」
後書き
こんな展開ばっかり;
今回はストーリーパート『堕天使召喚』を掲載しました。
オートマトンまだ募集しています!
感想もらえるとうれしいです。
次回もお楽しみに!
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