万華鏡
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第三十二話 呉の街その三
「あの学校がね」
「じゃあ行かないのね」
「呉の軍港よね」
「そう、そこに行ったらって仰ってたけれど」
「もういいんじゃない?呉はね」
こう里香に言うのだった。
「他の場所に行かない?」
「他の場所?」
「そう、他のね」
景子は里香だけでなく他の面々にも言う。
「何処か行かない?」
「何処かね」
「里香ちゃん宇野先輩に言われなかった?他に何処がいいか」
「商店街もいいって言われたわ」
里香は景子にすぐに答えてそこも話に出した。
「そこだと上に覆いがあって日差しもないから」
「じゃあそこ?」
「かなり大きな商店街らしいし」
それもあってだというのだ。
「いいって言われたわ」
「そう、それじゃあね」
景子がまず頷いた、そしてだった。
他の三人もそこでいいと頷く、それからだった。
五人でその呉の商店街に行く、するとそこは確かにかなり長い商店街だった。その商店街の中の本屋や色々な店を入った。
その商店街を巡ってだ、彩夏が四人に言うことは。
「ねえ、広島だから」
「広島だから?」
「っていうと?」
「やっぱりお好み焼き?」
言うのはこのことだった。
「お好み焼き食べる?」
「いいわね、それじゃあ」
「折角広島に来たし」
まずは琴乃と景子が応える。
「それならね」
「今から」
「そうだよな、広島な」
ここで美優も言う、見ればその顔はにこりとしている。
「広島だったらな」
「一回食べようって思ってたでしょ」
「ああ、広島焼きな」
「広島のお好み焼きじゃないの?」
「やっぱりお好み焼きはあれだろ」
美優は少し意地になって言うのだった。
「大阪のな」
「あれね」
「ああ、あっちだろ」
「ううん、私もそう言われると」
どうかとだ、彩夏もそのことはこう言う。
「お好み焼きは大阪よね」
「だろ?やっぱりな」
「じゃあここは」
「いや、食べるよ」
呼び方はともかくそれでもだというのだ。
「そっちもな」
「あっ、そうなの」
「やっぱり広島に来たからにはさ」
美優は明るい笑顔で彩夏に返す。
「食べないとな」
「その広島焼きもなのね」
「やっぱり美味いんだよな」
「それは間違いないみたいよ、江田島でもお好み焼きのお店多いし」
「そういえば多いな」
「食べ物のお店で一番多くない?」
「そうかもな」
美優は江田島の町を思い代sながら言った。
「中華料理の店とかコンビニとか居酒屋もあるけれどな」
「居酒屋も多いけれどね」
「まあ居酒屋が多いのは当然としてさ」
自衛隊の町で居酒屋が多いのは当然だ、自衛官は飲むものだからだ。
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