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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第29話:意気消沈

(船上)
トルネコSIDE

浅はかだった……
第一印象では欲望に弱く、何も考えてなさそうな人物に見えたのに。
だって造船所で働く女性をナンパしてたし……リューラさんの姉妹のリューノさんをからかって遊んでたし……

しかし実態は違った。
今までのチャラさは擬態だったかの様に、鋭く私の事やリューラさん・アローの事を観察し、これまでの力関係を捉えてしまった。
しかも私の心の中の計画も見事に看破され暴露されてしまったではないか!

あれ以降、リューラさんの態度が少しだけ余所余所しく感じるのは気のせいではないだろう。
唯一の救いは、ホフマンさんが態度を変えないでくれていることです。
彼も将来は商売人(宿屋の店主)になろうと夢見ているらしく、私のこれまでの功績が尊敬心まで彼から奪わないでくれた様です。

しかし……皆さんも私の功績を称えても良いはずでしょう!
だってこの船は私が造らせた船なんですから。水夫達も私が雇ってるんですから。
皆さんはその船に乗って大海原を楽に航海してるんですから!

……と、小声で言ったんです。
ウルフさんが怖かったので、誰にも聞こえない様な小声で言ったんです。
でも一番聞かれたくない人に聞こえちゃいました……

「では今すぐコナンベリーに引き返してください。俺達は貴方の船から下り、別の方法を捜して南のミントスを目指します」
ウルフさんの言葉を聞いたホフマンさんを除く全員が(水夫等は除く)、一斉に彼の下へ集まり下船の準備を始めるんです……

コナンベリーを出港して2日……
既に数十回に及ぶ戦闘をこなしてきた彼等は、紛れもなく戦闘慣れしていて強く頼りになる存在です。
その彼等が挙って下船すると聞き、水夫頭が不安そうに話しかけてきました。

「トルネコさん……彼等が下りるんなら俺達も下りたいのだが……」
つまりこう言う事です……彼等程頼りになるボディーガードは居ない! 私は派手に存在をアピールしすぎて、モンスター等に狙われており、並のボディーガードでは心許ない……彼等の様に本当に腕の立つ方々でないと命が危ない。

彼等が下り、別の強者(もさ)を金で雇ったとしても、モンスター達の集中攻撃には不安で、金より命を優先させたいと言うのが水夫等の意見なのです。
そんな事は私も解ってるんです! 絶対に彼等と縁を切ってはいけないんです!

私は水夫等の給料を払い続ける為に、次の目的地宛の荷物を預かってるんです。
これらの荷物をミントスまで運ぶ事によって、料金を得る。そしてその金を水夫等の給料に充てる。更には船の維持管理費を捻出して行こうと考えてるのです。
(ミントスから次の目的地が決まったら、そこまでの荷物を募る予定です)

戦い慣れしている彼等……特に陸も海も関係なく強いウルフさんの存在は絶対に必要で、ここで決別をしたら船を造る為に大金をかけた意味が無くなるんです。
それが解っているから、冷たい目で言い捨ててくるウルフさんに謝るしか出来ない……
怖いんですこの人。

トルネコSIDE END



(ミントス)
ウルフSIDE

ちょっと言いすぎたかな……?
本音を言えば、船を入手(借用も含む)するアテがある訳じゃないし、ここで船を手放すのは面倒極まりないのだけど……
弱みを見せちゃ拙いと思い、強く出てみました。師匠がそうだしね!

でも、トルネコさん(水夫等も含め)が腰の低い態度で接してくるのは助かる。
ギブ・アンド・テイクなので俺も高圧的な態度には出ませんけど、職人堅気な水夫等は放っておくと偉そうになるので、このままで良いと思う。

さて……
ミントスという町に辿り着き、ひとまずはリュカさんの痕跡を捜そうと人々に話を聞く。
ホフマンさんとトルネコさんは商売人同士、商売の神様と呼ばれるヒルタンさんに会いに行ってしまった。
別に居ても居なくてもどうでも良いから良いんだけどね。

暫く町中を徘徊すると、トルネコさんと再会する……
なんでもヒルタンさんが持っていると言われた宝の地図は、既に他人の手に渡ってしまったらしい。
しかも極最近に。

本当に存在した事にも驚きだったが、もっと驚いたのは譲り受けた人物の事だ。
ヒルタンさんが町の中央の青空教室で商売学(経営学?)の抗議を行っていると、受講者の若い女性をナンパする紫のターバンを巻いた男が現れたそうだ。

授業の邪魔をされ少しムッとしたヒルタンさんは、今までに何人もの者が宝の地図を欲して、それらの者を試す為に出し続けてきた問題を、そのナンパ男にぶつけたそうだ。
するとナンパ男はアッサリクリアしたという……

気に入ったヒルタンさんは、惜しげもなくナンパ男に地図を渡し、青空教室から追い出したそうな……
コレって間違いなくヤツだよね!?
こんな男は他に居ないよね!?

「で、そのナンパ男は今何処に居るんです!?」
絶対的な確信を持った俺は、トルネコさんに迫り居場所を聞き出す。
これで冒険が楽になるぞ……もしくは大変に!

「さ、さぁ……宝の地図が手に入らないのなら興味はありませんし……」
「使えねーデブだな! それ100%リューラ達の父親だぞ!」
うん。酷い事を言った自覚はある……

「ど、どんな父親ですか……」
「どんなって……腹違いの娘を沢山生ませる男だよ」
彼と話してても埒が明かないと思い、巨漢を押し退けてヒルタンさんの下へ急ぐ俺。

町中央の青空教室では、ホフマンさんが教壇の爺さんと会話する姿が……あの爺さんがヒルタンさんか?
「ちょっと退いてホフマンさん! 貴方がヒルタンさんですか?」
「うむ、如何にもワシが商売の神様ヒルタンじゃ」

胡散臭(うさんくせ)ぇー……
自分の事を“神様”とか言うなよ。
リュカさんは他人に言われる事すら嫌うのに。

「貴方が宝の地図を渡した男性は、今何処に居るのか判りますか?」
『あんな奴の事など知らん!』って言うかな?
講義の邪魔をしたみたいだし、その後の事なんか気にしないか……

「あぁ、あのナンパ男なら………」

ウルフSIDE END



 
 

 
後書き
宝の地図入手の詳しい経緯は、また今度リュカの口から語ってもらいます。
……語る必要ないか? 
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