ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
一時の撤退
前書き
この話はに○ファンでも中途半端な状態で投稿されていたものを加筆したものです
一発の銃声と共に銃弾が風を斬る
自分以外の誰かが銃を突き付けられている場合、取るべき行動はいくつかある
まずは突き付けている側の人を戦闘不能にすること
これがゲームだし不可
または発射された銃弾を弾くこと
キリトみたいな主人公じゃあるまいしそんな精密射撃は俺にはできない
ならばどうするか?それはディレイの大きい銃で手を撃ち銃口事態を外させること
実際にそれは成功した
「ちっ……」
響き渡るザザの舌打ち
それは足止めを十分に果たせなかったレオンに対するものか、それともシノンを仕留められなかったことに対する苛立ちか
わずかなディレイ時間。接近するにはそれで十分だった
「はっ!!」
伸長させた光剣を横に一閃する。それをザザはしゃがむことで回避した。そして、銃から抜き出したのは一振りの刺剣
なるほど。それがザザ、おまえの切り札か
だが甘いよ
「吹っ飛べ!!」
光剣を横に一閃したときの踏み込みを利用して振った側とは反対の方の足でザザを蹴り飛ばす
「ぐ……っ!?」
さすがにしゃがみこんだばかりのザザにはかわす手立てがなかったようだ。苦悶の声をあげて吹き飛び、木と木の間に消える
後ろで風が鳴らしたのとはまた違う草の擦れる音がする。おそらく先に蹴飛ばしたレオンだろう
もう一刻の猶予もない
俺は地面に倒れているシノンをヘカートⅡごと肩に担ぐ
俺はアスナほどではないが筋力……この世界でいうところのSTRがない。ならなぜシノンとヘカートⅡを担いで重量オーバーにならないのかというと単純に元々の俺の装備が軽かったこととSAOのデータをそのまま残しているアバターだったためレベルが高かったからである
本当に収まって少しほっとしながら俺は走る
後ろからは振り返るまでもなくザザとレオンが追いかけてくるのがわかる
おそらく敏捷はこちらの方が上だろうが、差はだんだんと詰まって来ている
理由は持っているものの重量だろう
あちらは狙撃銃だけ持っているのに対してこちらは狙撃銃に加えシノンまで担いでいるのだから当然である
「リン……ごめん」
「謝るのは後だ!」
正直会話できるだけの余裕はない。道が悪い上にヘカートⅡやシノンが落ちないように気をつけなければならないのだ
しかも時折後ろから飛んでくる銃弾を反対の手で持ったピースメーカーで弾いたり、かわしたりしている
「……私を置いていけばリンは……」
「バカか?」
シノンがそう言い掛けたときには反射的にそう答えていた
「俺がシノンを見捨てるなんてあり得ない。だからそんなことを言うな」
それっきりお互いに沈黙する。田園に響くのは時折放たれるレオンとザザの銃声だけとなった
だんだんと近づいているからかそろそろかわすのが辛くなってきている
「そろそろ迎撃しないとマズいんじゃないかな?」
顔が俺から見て後ろを向いているシノンが焦ったようにそう言った
「だが、迎撃したとして勝てる気がしない。ザザ……ステルベンもレオンも俺と同じ元SAOトッププレイヤー。レオンが本来の得物じゃないのは幸いだけどあの槍さばきは決して侮っていいものじゃない。ザザに至っては本来の得物である刺剣を持っていた。対して俺は自分の武器である剣よりも軽い光剣。かなり不利」
「でも……」
私の援護があると言い掛けたようだが、途中で気付いたようで言葉が尻窄みになってしまう
そう、近接戦闘中の相手の狙撃は味方にも当たる可能性があるからできないのだ
どうする、このままじゃそのうち追い詰められる
俺にはピンチで覚醒したりするような力はないぞ?
「そろそろ諦めたらどうだぁ?鬼ごっこもそろそろ飽きてきたぜぇ?」
「クックック……」
レオンが後ろから話しかけてくるが無視。ザザは笑っているだけだが明らかに俺たちをおちょくっている
そろそろ戦うしかないのか
俺は別にいい。だがシノンが殺されるのは許容できない
「シノン、走れるか?」
「え?……うん」
「なら、俺が奴らを足止めするからおまえは逃げろ」
「それじゃあリンが!」
「いや……奴らに俺は殺せない。ザザはターゲットは三人と言っていた。シノン、ペイルライダー、そして俺たちが知らない一人。だがそれは俺じゃない」
「なんでそんなことを言えるの?」
「俺を殺すならいつでもできた。一番殺したいはずの俺を」
俺をプレイヤーが死ぬのを見せ付けることで苦しませたいっていう考えかもしれないが、ここは捕まったら確実に殺されるシノンを逃がしたい
「……わかった。この先にある一番奥の洞穴で待ってるから絶対来てね」
「ああ……約束する」
俗にいう死亡フラグを立ててしまったようだが……それを叩き折るのが主人公ってものだろ。例え偽物だとしても
「じゃあ、三つ数える。数えたら前に投げるから上手く着地して走れよ?」
「うん」
岩場が近いのか視界が開けてきている。これならば着地するのも簡単だろう
後ろからは相変わらずザザとレオンが追いかけてきてはいるが弾は撃ってきていない
確実な距離まで近づいて一撃で仕留めるつもりか?
「1、2、今!」
3のカウントでシノンをヘカートⅡごとおもいっきり前方に投げる
綺麗な弧を描いて宙を舞ったシノンを視界の隅に収めつつ滑るようにブレーキをかける
そして、振り返りつつ光剣を一閃。シノンを狙って発射された銃弾を叩き斬った
俺が止まると同時にザザとレオンも立ち止まる
「女だけ逃がしたか……」
明らかに嘲笑ととれるシュウシュウという笑い声を上げるザザ
「僕はリンと戦えればそれでいいけどねぇ」
シノンのことなど歯牙にもかけていない様子のレオン
「順番が逆になっただけだ……。まずはおまえを倒してそれからゆっくりとあの女を殺すことにしよう」
「俺を倒すことができたらな」
ここに双剣はない。使い慣れた金属剣もない
しかし、俺はこの場所を守り抜かなければならない
「ここは僕に任せて先に行くといいよ?ステルベン」
「残念ながらリンが退くとは思えない」
「正解だ、ザザ。ここから先に行くことができるのは俺だけだ」
「おまえに勝機があるとでも?」
「勝機があるとかないとか関係ない」
シノンをこの先に待たせているからな
「絶対に勝つ」
俺はそう言うとザザとレオンに向かってピースメーカーと光剣を構えて走りだす。対するザザは刺剣を、レオンは槍にみたてた銃を構えた
「ふっ!!」
初撃の光剣によるなぎ払い。レオンとザザは後ろに跳ぶことで回避する
「二度は同じ手を食わない!!」
刺剣による突きのラッシュ。この動きはソードアート・オンライン内で見たことがある
たしか、スター・スプラッシュだったか
俺は突き出された刺剣が体に突き刺さる直前でピースメーカーで横に少し押してやることで回避する
ザザの舌打ちが聞こえる
その直後、ザザが跳び退きその開いた隙間から銃剣が突き出されてきた
「くっ!?」
とっさに後ろに跳ぶが完全にはかわし切れず軽く胸に刺さる
もう一度地面を蹴り、完全に銃剣の効果範囲から出る
「ステルベンがいなければ仕留められたのに」
「俺がいなければあんな隙は生まれなかった」
ステルベンがいたから踏み込みをしっかり行えなかったのだろうレオンが軽口を言っているがザザはそれを真っ向から受けてたつ
どちらにせよ、コンビネーションはかなり良い
悪ければ個々に分断して片方ずつ撃破すればよかったのだが
「無駄な話はこれ位にしてそろそろ行くよ?」
「ああ……」
再び俺とザザ、レオンが腰を落として構えたその時だった
「ッ!?」
ちょうど真ん中辺りに缶のような物体が落ちてきたのは
とっさにそれに背を向けて後ろに跳んだ
そして、その場は光と爆音に包まれた
「スタングレネードか……」
多少離れていたのと反対を向いていたことが幸いして意識を持っていかれることはなかったが、耳がやられた
しばらくは何も聞こえないだろう
聴覚というのはかなり重要だ
敵の気合いの声。武器が風を斬る音。足元でなる草の擦れる音
様々な音から情報を入手し、戦うのだ
俺は耳が聞こえる状態で戦うのなんて絶対にしたくない
ザザとレオンもそうかは知らないが普通の人間なら同じだろう
よって戦闘続行は不可能だ
……どこの誰かはしらないがスタングレネードを投げてくれたやつに感謝だな
後書き
蕾姫「うっ……どうしよう……」
リン「なにがだよ」
蕾姫「いや、GGO編のサブタイトルって幻影の一弾じゃん……」
リン「まあ、そうだが……」
蕾姫「絶対に使いたいんだが、使える展開が……思いつかぬ。最悪、原作と同じようにザザと撃ちあってもらわないと……」
リン「そうか……」
蕾姫「しまったなぁ……なんで先に壊して置かなかったんだ!」
次回からに○ファンでも投稿していなかった話です
た、戦いの連続じゃないか……
ページ上へ戻る