ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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足りない物
前書き
にじファンにあったものを再投稿
更新を再開いたします
現在田園地帯。開始から五十二分経過
「あそこにいるのがレオンね」
田園地帯の中頃の開けた場所にレオンは立っていた
「……狙ってる?」
シノンがそう思うのも無理はない。あまりにも無防備なその立ち姿は誘っていると言わんばかりである
「さすがに狙撃をかわせるとは思えないが……」
俺はできないと思う。ハイパーセンスでも覚醒しない限り
……キリトなら素で回避しそうだがな
「じゃあ、私はここからレオンを狙う」
「じゃあ、俺は狙撃の後の遊撃で。念のために、な」
シノンの腕を疑うわけじゃないが万が一ということがある
もし、かわされたときのことを考えると狙撃手であるシノンが一番危ない
ならもしものときに備えておくというのがベストだろう
藪に伏せ隙を窺う……とは言っても隙だらけだから走って行ってすぐに斬れそうだけどな
その時、レオンの口が動いた。声は聞こえなかったが、確かにレオンはこう言った"そこにいるのはわかっているぞ、リン"
「罠か!?」
ヘカートⅡが火を噴く轟音が聞こえるが視界の中のレオンはきれいにかわしてみせた
弾道予測線が見えていたかのように
俺がいるのがわかっていてシノンがばれていないのはあり得ないか
「チッ……」
あわてて藪から飛び出しピースメーカーを構える
「久しぶりだなぁ、リン。いや……黒の剣士の片割れと言った方がいいかな?」
「誰だ……おまえ……」
レオンという名には聞き覚えがあるが……まさか
「そう、そのまさかさ!AMOでは世話になったねぇ。あの時の借りを返して貰いに来たよ」
大袈裟に手を広げて満面の笑みを浮かべる
手には先に銃剣のついた狙撃銃
「今は忙しい。返すのはあとにして欲しいが」
「もう待てないよ。本当は大会開始直後に行こうと思っていたんだけどねぇ……。君のまわりにいる人たちが邪魔だったのさ」
ニヤニヤと笑うレオン。欲しいものが手に入ったようなそんな笑顔だ
「だから死銃と組んだのさ」
「!?」
後ろからドサッという音が聞こえたので振り返るとそこには倒れているシノン。その脚に刺さっている金属片。そこから這い出るスパークエフェクト
あんなもの……電磁スタン弾をPVPに使うプレイヤーなんて限られている
つまりは死銃
「くそっ!」
後ろへ走りだそうとする俺の足元を一発の銃弾が撃ち抜いた
「えー……そりゃないよ。君と戦うのはこの僕だ。悪いけどこれも約束でねぇ……。君と一対一で戦わせてくれる代わりに君の足止めをするっていうね」
こいつの強さはAMOで痛いほど知っている。短時間での撃破は難しいだろう。くそっ!シノンの命が危ないっていうのに!!
「人の命がかかってるっていうのにか……」
ピースメーカーを持つ手が汗で湿ってくる。額からは一筋の汗
ここまで悪い状況はSAOでもそうはなかった。しかもかかっているのは自分の命ではない
「なにを言ってるんだい?命をかけた戦いなんて当たり前じゃないか。まあ、それが君の命じゃないのが少々残念だけど……」
いい具合に歪んでるな、おまえは!
「まあ、ステルベン……死銃は少々遠いところから狙撃しているからタイムリミットは一分ってところかな?」
それは大体であって確実じゃない。どれだけ正確にレオンが死銃の現在位置を把握しているかは知らないが、あながち間違ってないと思う
「さて……無駄話もこの辺にしておかないと君が可哀想だ。じゃあ、始めようか。命をかけた狂宴を……」
そう言うと軽く狙撃銃を振り、ニヤリと笑った
レオンの武器は狙撃銃。俺の武器はピースメーカー二丁
ピースメーカーは正直威力が低すぎて短期決戦には向かない……が、この戦い。何もレオンを倒すだけが勝利条件じゃない。シノンを回収し、撤収することでも俺の勝ちである。ピースメーカーは足止めとしては速射ができる分上等だ
加えてあいつがSAO生還者というのもこの場合はプラスとなる
「じゃあ、行くよぉぉ!!」
凄まじい勢いで踏み込み、突きを放ってくる
「槍!?」
その動きはまさしく槍。しかも熟練者のような無駄のない高速の突き
横に避けつつ弾をレオンの銃剣にあて動きを鈍らせる
「無駄無駄ァ!!」
踏み込んだ足を軸に一回転し、そのまま狙撃銃を凪いでくる
槍より太い鉄の塊は十分脅威だ
俺はそれをピースメーカーをクロスさせ、衝撃を吸収するように受けとめるが、遠心力がかかっている狙撃銃を完全には受けとめきれず足が浮いた
「ガッ……」
跳びながらも銃弾を放ち、追撃を押さえ込む。そして受け身をとりつつ着地すると、すぐに地面を蹴って前へ。レオンの武器は槍の前に狙撃銃なのだ。それこそ距離を取られれば致命的だ
「はぁぁぁ!!」
ピースメーカーの持ち方を変える。中指を引き金に引っかけ、おもいっきり握る
そして、そのままレオンに向けて突き出した
同じタイミングでレオンも銃剣を突き出している
そして、俺のピースメーカーをナックルの代わりに装備した拳とレオンの狙撃銃に銃剣をつけた槍がぶつかり合う
もちろん本来そのような使い方をするわけがないピースメーカーの外枠が耐え切れるわけがなく、深々と銃剣が刺さってしまう。が、俺の生身の拳には届かなかった
そして爆発
すまない……
この世界で短い間だったが共に戦った相棒の片割れ。その最後に心の中で詫びを入れる
そんな心の中とは関係なく体の動きは止めない
爆発による衝撃で弾かれた左手を逆らわず、後ろに踏み込んだ左脚を起点に一回転。そして、レオンに蹴りを打ち込んだ
「ぐっ……!!」
爆発により体勢を崩していたレオンにかわす術はないが、それでも後ろに跳ぶことでダメージを軽減していた
「マズい!!」
シノンの側にはボロマントに髑髏を模したマスク……死銃がいた。死銃は懐から黒い拳銃を取り出すと十字を切った
この距離なら銃を撃てば確実に当たる……が、ピースメーカー程度の威力で射撃を止めさせることは不可能だ
先ほど、言った相手がSAO生還者だから使える手というのは、その身に染み付いた反射的行動を利用したものだ
威力のわからない攻撃は必ずかわす。レオンは最近までAMOをやっていたため、ピースメーカーの威力は知らなかったのだろう
だからこそ利用できたのだが、GGOベテランプレイヤーである死銃には効かない
ピースメーカーの威力を知っているためだ
ならどうするか。ピースメーカーはダメ、走って斬るのも間に合わない
悔しいが俺の力ではシノンを助けることはできない……
こういうとこ大事なところでいつも俺は脇役なんだということを思い知らされる
それでも俺は主役にならなければならない。シノンを救うと決めたのだから
自分の力で解決できなければどうするか?簡単だ。他人の力を借りればいい
俺にもう打つ手段が無いと思っているのだろう。俺を見てニヤニヤしている死銃に……
「間に合えっ!!」
懐から取り出したFNの銃口を向けた
キリトが貸してくれた主役の力。思う存分味わえ、ザザ
おまえの知らない絆の力というものを見せてやる
後書き
蕾姫「暁に来てのSAO一発目!」
リン「ようやくか……」
蕾姫「まあ、なにも言うことはありませんが、感想が返せなくてすみません……」
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