久遠の神話
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第四十六話 また一人その八
「他にはシンナーやクスリもな」
「その二つは言うまでもないんじゃ」
「けれど手に入らないかっていうとな」
「入りますよね」
「特にクスリなんてな」
所謂麻薬については中田は嫌悪感を露わにさせて言う。
「あれは絶対にやったら駄目だよ」
「破滅しますよね」
「麻薬じゃなくて魔薬だよ」
それになるというのだ。
「やったら破滅するからな」
「身も心も」
「そうした奴は幸い見たことはないさ」
中田は食べながらも苦々しい顔で麻薬中毒についても話していく。
「けれどそれでもな」
「手を出したらですよね」
「何もかもが終わるからな」
「本当にですね」
「最近クロコダイルってやつもあるらしいな」
ロシアの麻薬である。ガソリンにシンナー、ベンゼン等を合成して作るらしい。尋常ではない常習性と尾毒素を持ち中毒になれば手足が壊死し腐っていく。ロシアから欧州に出回っているらしい。
「まあ。どっちにしてもな」
「麻薬はですね」
「絶対にしないからな」
「そうしないと駄目ですね。それで麻薬やシンナーでなくても」
「煙草もな」
それもだというのだ。
「それもしないんだよ」
「明らかに身体に悪いからですよね」
「煙草一本で脳細胞が一万死ぬとかな」
「元巨人の桑田でしたっけ」
その言葉を言っていたのはというのだ。
「だから煙草は吸うなって言ってましたよね」
「桑田はとりわけ身体に気を使っていたからな」
「それでなんですね」
「煙草は絶対に吸わなかったんだよ」
「中田さんもですね」
「吸ったことはないさ」
中田はこのことを確かな声で言った。
「ツレに何度か誘われたけれどな」
「中学、高校の時にですか?」
「大学でもな。けれどな」
吸わなかったというのだ。一本も。
「剣道をしてるからな」
「武道をしてるからですね」
「すぐに息があがるようになって他にも悪いからな」
「百害あって一利なしですね」
これもよく言われていることだ。とにかく煙草は身体に悪いのだ。
だからこそ絶対に吸わない、上城に強い声で話すのだった。
「そういうことだよ。君もだよな」
「高校生ですし」
そもそも法律的に駄目だというのだ。
「それに僕も」
「煙草は嫌いなんだな」
「お酒は飲みますけれど」
これはいいというのだ。
「それも結構」
「酒もな。ちょっとな」
「飲むお酒を注意しないと駄目ですよね」
「ビールは飲まない様にしてるさ」
中田はビールについても駄目だと言う。
「日本酒もな」
「痛風に糖尿病に」
「ワインとかにしてるからな」
「色々難しいですね、体調管理は」
「気をつけてな。じゃあな」
「はい、頂きます」
上城は羊を食いながら笑顔で返す。今は二人は親しく食事を摂っていた。そして食べ終わってからだった。
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