妖精の十字架
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~デリオラの終焉~
「氷雪砲!!」
俺が遺跡に着いた時、グレイの魔法がリオンにとどめをさしていた
「グレイ・・・終わったのか?」
「クルス!?遅かったじゃねぇか!!」
「いろいろあってな。終わったみたいだな・・・」
と、その時
「グルォォォォオオオオオオ!!」
耳をふさぎたくなるほどの爆音が響き渡った
「この声!?」
「・・・忘れられねェ・・・デリオラァァァァアア!!!」
グレイは自分の止血をして、いちもくさんに下へと降りて行った
俺も、後を追う
「グレイ!兄ちゃん!来たか!」
「すまん。待たせたな」
「ウル・・・」
溶けてしまった氷をすくって悲しげに視線を落とすグレイ
「・・・グレイ、今は感傷に浸れないぞ」
「わかってる・・・やるしかねぇな。絶対氷結!」
絶対氷結を使おうと構えたグレイの前に、ナツと俺が立つ
「おい・・・誰が死ねといった?」
「あの時、死んでほしくねェから止めたんだ」
「どけ!!いくら二人でもデリオラには勝てねぇ!?」
段々とデリオラの意識が覚醒しだす
「・・・双無・覇王拳」
「火竜の鉄拳!!」
叫ぶグレイをよそ眼に
俺の拳は頭に、ナツの拳はデリオラの振り下ろした腕に直撃した
刹那――・・・
デリオラの腕が音を立てて崩れた
「な!?デリオラが!?」
地面に倒れたリオンが驚く
「・・・成程。通りで魔力が清らかなはずだ」
「どういう意味だよ兄ちゃん!?」
「ま、まさかクルス!」
察しのいいグレイは気づいたようだ
「あぁ。お前の師、ウルの絶対氷結は徐々にデリオラの命を削り、俺たちは今、その終焉を見届けている」
グレイとリオンの頬を一筋の涙が流れた
――――――――お前の闇は、私が封じよう
「ありがとう、ございます・・・師匠!」
ウルは溶け、海へと流れた
しかし、それは同時に、グレイとリオンの心まで一緒に洗い流してくれただろう
「いやーーーー!終わったーーー!」
「あいさーー!」
洞窟から出ると、ナツとハッピーが空に叫んだ
「ほんと、一時はどうなるかと・・・」
ほっと胸をなでおろすルーシィ
しかし、このクエストはまだ終わりではない
「お前たち、クエスト内容を忘れているぞ」
「そうだ、今回のクエストは、悪魔にされた島人の呪い解除、だ」
「で、でもデリオラはもう・・・」
甘いぞルーシィ
デリオラが元凶ならとっくに死んでる事と矛盾してる
「そうだ!リオン、オメェ何か・・・」
グレイが訪ねたがリオンは首を横に振った
「俺たちは何も知らない。それに、村の奴らも一度も来なかったしな」
「どーしよナツ!おいら、なぞなぞ苦手だよ!」
「・・・おかしいな、毎晩ムーンドリップが見えていたというのに」
「とりあえず、村に戻るか。いったん状況を知りたいし」
そう言って俺たちは村に向けて歩き出した
後ろで、グレイがリオンにギルド勧誘していたことは効かなかったことにしておこう
「直ってる・・・」
何が?
やっぱ、途中参加は現状がわからなくて困る
「魔道士殿!月を、壊して下され!でなければこの村はすくわれませぬ!」
月?
俺は空を見上げると、紫色の不気味な月が笑っていた
・・・・・・成程、な
「月を壊すのは簡単だぜ?でも、その前に聞きたいことがある」
「何ですかな?」
「エルザ、後は頼む」
大方、エルザも気づいているだろうからここでバトンタッチ
「ん、了解した。まず、遺跡に三年間も光が落ちていたというのに何故・・・」
あれ?そこだけ地面が草だ・・・
「きゃぁっ!?」
お、落とし穴!?しかも今きゃあって言ったぞ・・・
「何故誰も訪れないのだ?」
「な、何事もなかったかのようだ・・・」
さすがエルザとだけ言っておこう
「それが、近づけないのですよ、何故かはわかりませんが・・・」
「なるほど。なぞは全て解けた」
エルザは鎧を換装して、槍を構えた
「クルス、ナツ、ついてこい。これから月を破壊する」
「了解」
「おっしゃーーー!」
俺は展望台のした、ナツとエルザは台の上
払魔の槍の柄をナツが殴り、跳び上がったところを俺が加速させる寸法らしい
「行くぞ!!」
「はぁぁぁぁ!火竜の鉄拳!!」
「届けぇぇぇ!」
俺はしっかりと槍を見据えた
「双無・覇王脚!!」
思いっきり蹴りあげ、音速の槍が誕生した
その槍は空に浮かぶ月にささりヒビが
「うそだろーーー!?」
否、空が割れた
「へ?」
「・・・これで全部終わったな」
「ムーンドリップによる記憶障害。夜になれば悪魔になるっていう間違った記憶」
「へ?へ?」
グレイたちはいまだに現状が呑み込めていない
「つまり、こいつらはみんなもとから悪魔って事」
「うそーーーん!?」
「そうなのか!?」
「うい・・・まだちょいと混乱しておりますが」
記憶が治った彼らはまだ少し混乱している様だ
「さすがだ、ありがとう魔道士さん」
と、一人の悪魔が現れた
そうやら昔に死んだはずの悪魔らしい
「実は俺だけ記憶が戻ってなぁ。気味悪くなってにげちまったんだ」
申し訳なさそうに頭をかく
「ぼ、ボボーーー!」
みなが、ボボの生還を喜びあった
「悪魔の島、ねぇ」
「でもさ。おいら、みんなの笑顔は天使に見えるよ!」
「俺もだハッピー!」
それにしても、これで正真正銘クエスト終了、だな
後書き
謎解き、けっこう省きました(汗
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