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八条学園怪異譚

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第三十二話 図書館その七

「それでも身体は大人だからね」
「じゃあ先輩もお会いしたことないんですね」
「そうなんですね」
「あるわよ。子供の頃はね」
 その頃はというのだ。
「私お家は神社だからね」
「この学園の中にあるですか」
「そこだからですか」
「そう、幼稚園あそこだったし」 
 その八条幼稚園だったというのだ。
「一緒に遊んでたわよ」
「ううん、そうだったんですか」
「一緒に遊んだこともあったんですか」
「あるわよ。大体小学校五年まで見えていたわ」
 その頃まではというのだ。
「けれどね」
「大人になったからですね」
「だから」
「見えなくなったわ、お赤飯と一緒にね」
 三人はそれが何かはあえて言わないがわかる様に話していく。
「声も聞こえないわよ」
「じゃあ本当に完全に、ですね」
「もう姿は」
「わからないわ」
 茉莉也にしてもそうだというのだ。
「もうね」
「けれど格好は覚えてますよね」
「子供の頃のことは」
「一応は」
 こう返す茉莉也だった。
「まあおかっぱで着物着たね」
「ああ、よく漫画とかで出て来る」
「あの姿なんですね」
「小柄な女の子よ。足は下駄よ」 
 靴ではなくそれだというのだ。
「まあ基本色々な格好が出来るみたいだけれどね」
「それでも基本着物ですか」
「座敷わらしらしく」
「そうよ、まあ昔は皆おかっぱだからね」
 小さな女の子はそうだったというのだ。
「それで座敷わらしもなのよ」
「ううん、そうなんですか」
「花子さんと同じなんですね」
「そう、普通にそうだから」
 こう二人に話す。
「まあとにかく座敷わらしはもう私達には見えないから」
「じゃあ幼稚園に行ってもですか」
「私達はどうしようもないんですね」
「そうよ、子供にもでならない限りjはね」 
 肉体的にそうなればというのだ。
「私達には見られないわ」
「わかりました、じゃあ幼稚園はですね」
「泉がありそうな場所だけ行けばいいんですね」
「そういうことね。座敷わらしに会えないことは残念だけれど」
 それはというのだ。
「また行くかも知れないわね」
「先輩の出身校でもあるそこもですか」
「行くことになるんですね」
「ええ、私はここの幼稚園から高校まで行ってるのよ」
「生粋の八条学園の人なんですね」
「お家もここにありますし」
「そうよ、生まれた頃からここでね」
 そしてだというのだ。
「遊んだりもしてるのよ」
「じゃあ学園全体が遊び場ですか」
「先輩にとっては」
「広過ぎて隅から隅までって訳にはいかないけれどね」
 そこまではいかないというのだ。
「ここはね」
「ですよね、この学園滅茶苦茶広いですから」
「それも洒落にならない位に」
「何度も迷子になったわ」
 子供の頃にそうなったというのだ。 
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