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久遠の神話

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第四十五話 二度目の激突その十

「ちょっと痛いけれどそれでも」
「それでも?」
「何か段々痛みが和らいできたよ」
「ひょっとして力で」
「そうみたいだね。回復してきてるよ」
「力ってダメージも回復させてくれるのね」
「そうみたいだね。これは有り難いよ」
 上城は微笑んで述べる。
「このままダメージが残っていてすぐに怪物、いや他の剣士の人達との闘いになったら」
「大変よね」
「うん、そうなっていただろうからね」
 それでだというのだ。
「正直有り難いよ」
「そうね。じゃあ今は」
「怪物、まあ種類によるけれど」 
 今の彼なら怪物位だとだというのだ。
「勝てるけれどね」
「怪物ならなの」
「何か戦ってきて」
 剣士との戦い、それを経てきてだというのだ。
「怪物にはかなり楽に戦える様になったよ」
「そうなってきたの」
「経験を積んだせいだと思うよ」 
 怪物を倒す、そのことによってだった。
「だからね」
「そうなのね。怪物は」
「そう、楽になったよ」
「いいことね。けれど」
「けれど?」
「強い怪物もいるじゃない」
 樹里もこのことはよくわかっていた。ギリシア神話の怪物はかなりの種類がある。その中には途方もないものもいるのだ。
「ほら、百の頭を持つ竜とか」
「ラドンだね」
 楽園ヘスペリアで黄金の林檎の樹を護っている怪物だ。一説には不死身であり乙女達と共に林檎を守護しているのだ。
「あの物凄く大きいっていう」
「うん、その竜とかが出て来たら」
「危ないんじゃないの?」
 樹里は心配する顔で上城を見て話した。
「やっぱり」
「そうだね。その時はね」
「ラドンとかその他にも」
 樹里は他にも思い浮かべる怪物がいた。それはというと。
「ケルベロスとかね」
「あの冥府の門を護ってる」
「そういうのとかは」
「多分今の僕じゃね」
 並の怪物ではない、それならだった。
「勝てないね」
「流石にラドンとかケルベロスになると」
「強過ぎるからね」
 神話を見てもだった。こうした怪物達は規格外の存在だった。
「無理だと思うよ」
「そうよね、やっぱり」
「そうだよ。ラドンって物凄く大きいよね」
「首が百個もあるっていうから」
 首が百個あるというのはただ百個あるだけではない。それと比例して首を支える身体も必然的になのだ。
「身体もね」
「大きいよね」
「身体を起こしたら天に届くまでっていうから」
「じゃあやっぱり無理だよ」
 今の上城ではとでもラドンは倒せないというのだ。
「絶対にね」
「神話だと不死身だっていうし」
 一応倒されたという話もあるにはある。ヘラクレスの十二の試練の中でラドンが護っている黄金の林檎を手に入れるというものがありそこでラドンはヘラクレスに倒されたというのだ。 
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