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八条学園怪異譚

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第三十話 神社の巫女その十一

「楽しいことばかりです」
「ただ夜遅いことばかりで朝起きるのが大変ですけれど」
 特に聖花はパン屋だから余計にだ。パン屋と豆腐屋の朝は早い。
「寝る時間は何とか取ってますけれど」
「授業中は寝ないようにはしています」
「ならば続けることだ」
 楽しいならばだというのだ。
「是非な」
「わかりました、じゃあこれからも」
「続けさせてもらいます」
 二人はここでこうも言った。
「物凄く勉強になりますし」
「色々な人達とも出会えますから」
「私とかね」
 ここで茉莉也が出て来る。
「いい人と出会えてるわね」
「先輩はちょっと特別ですけれど」
「微妙なところも多いですから」
 二人は茉莉也をクールな目で見ながら突っ込みを入れた。
「酒癖悪いしセクハラしますし」
「しかも本気入っていますから」
「言うわね、私の何処が微妙ななのよ」
「じゃあお酒飲むの止められます?」
「それとセクハラも」
「私の血はお酒で出来てるのよ」
 女優の様な言葉だがその内容が違う。
「お酒を飲まないとね」
「死ぬんですか」
「そう仰るんですね」
「そう、この黒と黄色の血がね」
 阪神の色だ、何気に阪神ファンであることも全面に出す。
「お酒で出来てるのよ」
「もうそれだけでどうかってお言葉ですけれど」
「ですから」
「とにかくよ、私はあんた達の敵じゃないから」
 このことは確かだというのだ。
「妖怪さん達と一緒にね」
「お嬢は少なくとも悪人ではない」
 このことは天狗も言う。
「むしろ善人だ、問題は多いがな」
「それはわかるんですけれど」
「困った人ですから」
 二人はまだ言う。
「やっぱりそれが」
「何といいますか」
「何か私本当に言われるわね」
「いえ、今日のことを考えますと」
「それも当然ですよ」
 二人は先輩が相手でも言う。
「先輩本当にお願いしますから」
「お酒には気をつけて下さい」
「じゃあ一日四升を以上を三升にセーブしようかしら」
「それはセーブしているのか?」
 うわばみは真顔で茉莉也に突っ込みを入れた。
「三升でも相当だぞ」
「普通でしょ、四升は」
「わしから見ても普通ではないな」
 大酒飲みの代名詞ともなっているうわばみの言葉だ。
「到底な」
「そうかしら」
「そうだ、とにかくだ」
 うわばみはさらに言う。
「酒を飲むのはいいが飲み過ぎでしかも癖が悪い」
「じゃあ三升で抑えるわ」
「せめて 二升にしてくれ」
 その程度でだというのだ。
「それ位にな」
「二升って」
「普通はそれでも相当だぞ」
 一升飲めばもうそれで、となるだろうがその倍である。
「二升でな」
「半分よ、いつもの」
「そのいつもがおかしい。それにこう言っては何だが日本酒の糖分は高い」
 うわばみはこの話もした。
「一歩間違えれば糖尿病になるぞ」
「むしろそれだけ飲んで今までならないのが不思議だ」
 天狗も言う。
「糖尿病は若くともなるぞ」
「ああ、私糖分はすぐに発散される体質だし」 
 それにだと、茉莉也は彼等に平然として返した。本当に何でもない感じだ。
「それにトライアスロン部よ」
「いつもそう言うがな」
「油断は出来ないぞ」
 妖怪達はその顔を真剣に顰めさせて注意する。
「だから二升にしておけ」
「それか酒を変えろ」
「日本酒じゃなければねえ」
 茉莉也も彼等があまりにも言うので考えだした、そしてこう言ったのである。
「そうね、じゃあ白ワインかしら」
「それがいいだろう」
「あの酒の方が遥かに身体にいい」
 妖怪達も白ワインならと応える。
「それでも一日に何リットルの飲むべきではないがな」
「せめてボトル三本か」
「ボトル三本でもかなりよね」
「それも毎日ってね」
 愛実と聖花は彼等のやり取りを聞きながらこう話した。
「やっぱり先輩ってちょっとね」
「問題ある人よね」
「問題のない人なんていないしいいのよ」
 茉莉也は二人に相変わらずの調子で返す。
「そうでしょ、じゃあ明日ね」
「はい、明日グラウンドで」
「宜しくお願いします」
 二人はグラウンドの話もしてだった、そのうえで。
 この日はこれで終わった、二人は家に帰り茉莉也は妖怪達に強引に部屋に行かせられた。それでこの日は終わったのだった。


第三十話   完


                    2013・3・24 
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