ハイスクールD×D ~ もう一人の副会長は生徒会の切り札(ジョーカー)! ~
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プロローグ
前書き
この作品はアットノベルスに投稿している作品ですが、ある人からアットノベルスでは携帯では見れないので他の小説投稿サイトでも投稿してくださいという要望があったので投稿させていただきます。
暇つぶしにでもお読みください。
私立駒王学園。
現在は共学であるこの学校だが、数年前までは女子校だったためか、男子生徒よりも女子生徒の比率のほうが圧倒的に高く、そのためか、女子の発言力も、他校と比べて圧倒的に高い。
生徒会も、男子生徒は二人しか所属しておらず、生徒会長も、共学になって数年たった現在でも、女生徒がその任に就いており、男子生徒が生徒会長になったことは、ただの一度もない。…ただ単に、やりたいやつがいなかっただけとも考えられるが。
まあ、つまりは女尊男卑とまではいかないが、男子が女子に強くでれないのが、この学校の校風なわけなのだが、そんな環境をものともせずに、我が道を行く男たちがいた。
彼、『兵藤一誠』も、その一人である。
一誠サイド
「どうよ、お前らこのお宝は」
「「おお~!!」」
俺、兵藤一誠。通称イッセーは、悪友の一人である元浜が鞄から取り出した物を見て、もう一人の悪友である松田と一緒に思わず歓声をあげてしまった。
何故なら、元浜が鞄から取り出したそのDVDは、それほどのお宝だったからだ。
「おいおい、これって幻のむっちりボインシリーズの中でも、絶版になった伝説の『むっちり警察二十四時』じゃねえか…ッ!?ど、どうやって手に入れたんだよこんなお宝!!」
あまりのレア物の登場に、松田は衝撃を隠せないようだ。
それもそうだろう。『むっちりボインシリーズ』とは、そのあまりのエロさに俺たち紳士(愛好家)に大人気の作品で、新作が発売されてもすぐに売り切れてしまい、一般の高校生には、入手困難とも言っていいほどの代物。
そしてそんなむっちりシリーズの中でも、幻と言われた作品が、『むっちり警察二十四時』なのだ。
その、あまりの過激なエロの数々に、すぐに絶版となってしまった、まさに幻の一品と言っても過言ではない作品。
たまにネットオークションで見かけることもあるが、そのどれもが、十万以上の値がついており、ただの高校生。少なくとも俺たちに手の出せる代物じゃない。
そんな物を目の前の男は出してきたのだ。驚かないほうがどうかしている。
そんな俺たちの視線をその身で受け止めている元浜は、得意気に胸を張る。
「くくく。いやー、流石の俺も苦労したぜ、こいつを手に入れんのはよぉ。でもまぁ、少し値は張ったが、俺のコネをフル活用すれば、ざっとこんなもんよ!」
そんな俺たちをクラスの女子たちは、ゴミを見るような目で見てくる。
「見て見て、またあいつらあんな物学校に持ってきて」
「サイテー」
「エロガキ」
「死ね!」
そんな女子たちに、しかし元浜はひるまずに逆に言い返す。
「うるせえ!脳内で犯すぞ、このビッチども!!」
うん。相変わらず最低な発言だぜ、元浜君!
「あ、おい。二人とも。見ろよあれ」
「あん?どしたよ松田」
「なんかあったのか?」
「あれだよ、あれ。運動場の方を見てみろ」
俺と元浜は、松田の言うとおりに俺たちが今いる中庭からグラウンドの方を見ると、そこには一人の男子生徒が、複数の女子に囲まれながら歩いていた。
「ねぇねぇ、木場君。今日の放課後暇?」
「よかったら私たちと一緒にカラオケでも行かない?」
「ね、いいでしょ?」
どうやら女生徒たちは、あの男子生徒を遊びに誘っているようだ。
そんな女生徒の誘いを、その男子生徒、『木場(きば)祐斗(ゆうと)』は、申し訳なさそうに断った。
「ごめん、今日は部活だから行けないや」
「え~、ざんね~ん」
「本当にごめんね、せっかく誘ってくれたのに。また誘ってよ」
「「「やぁ~ん、かっこいい~!!」」」
おいおい。あんな簡単な台詞でメロメロになってんじゃねえか、あの女たち。くそッ!これだからイケメンは!!
「あれは2-C。木場優斗っ。…全女生徒憧れの一人にして、全男子生徒の宿敵ッ!!」
そう、今女生徒に誘いを受けていた男子生徒、木場優斗は俺たちとは違い、いい意味の有名人で、三年の『リアス。グレモリー』先輩と、『姫島(ひめじま)朱乃(あけの)』先輩の『学園二大お姉さま』の二人が学園のマドンナならば、あいつは学園の貴公子とも言うべき存在だろう。
学園の女生徒達の視線をくぎ付けにする、俺たち非モテ男子たちの宿敵。
「くそー。あの女たちも、あんな男のどこがいいんだ!!」
「そうだ、そうだ!ただ顔がよくて、頭もよくて、運動もできて、性格もいいっていうだけじゃねえか!!」
俺と元浜があまりの木場のモテっぷりに憤る中、松田がぼそりと一言呟く。
「…まあそれって、完璧ってことなんだけどな」
「…………」
「…………」
お前、それを言うなよ…。空しくなるから。
「「「はぁ…」」」
俺たちの口からは思わずため息が漏れる。まったく、世の中不公平だよなー。
俺が現実に打ちのめされて思わずうなだれていると、
「おっと、そろそろ時間か♪」
松田が腕時計で何かの時間を確認すると、荷物を持って中庭の芝生から出て行こうとする。
「どこ行くんだ松田ー?」
「なんか用事でもあんのか?」
俺と元浜が、松田のやつにどこに行こうとしているのか問いかけると、松田は振り返り、
「…………むふぅ」
この世のものとは思えないほどいやらしい笑みを浮かべていた。
「「???」」
なんだこいつ…。
その後、松田に話を聞いた俺と元浜は、共にある場所へとむかうこととなる。
…その様子をとある人物に見られているとは知らずに。
???サイド
それは、俺がいつものように生徒会室へとむかおうと、クラスメイトであり、生徒会長でもある『支取(しとり)蒼那(そうな)」と共に渡り廊下を歩いていた時のこと。
「ん?あれは…」
「どうしたのですか?」
「いや、ほらあれ」
そういって俺が指差した先には、三人の男子生徒が体育館裏へと走っていく姿が。
俺はあの三人に見覚えがある。それは蒼那も同じようで、眉にしわを寄せる。
「あれは確か…兵藤君たちですか?」
「ああ、あのエロガキ三銃士だよ」
兵藤に元浜。そして松田。あの三人はこの駒王学園。いや、この駒王学園だけではなく、他の学校でも有名だ。…悪い意味でだが。
この駒王学園は、女生徒の数が男子生徒を圧倒している。それは三年に比べれば男子生徒の数の多い二年生や一年生も同じであるはずだが、それにもかかわらず、この三人は他の生徒を顧みずに、その手のDVDや本を教室で広げたり、セクハラ的な発言を繰り返したり、そして覗き騒動を引き起こしたりと、エロガキ三人組として知られているのだ。
自然とこの三人組を何とかしてくれという嘆願や苦情が、女生徒から寄せられることが多く、そのためかあの三人組について、生徒会の面々は詳しい情報を持っており、特に生徒会のなかでもああいうのを仕置きする役目を担っている俺は、あいつらと直接的な面識もあった。
…まぁ、俺としては男はあれくらい元気でも問題ない気もするがな。さすがにオープンすぎるし、他の女生徒達の嫌がることをしているのはいただけないが。
というか、あいつらは彼女が欲しいと毎日のように言ってるが、本当にモテたいと思ってるんだろうか?普通あんな言動ばっかりしてたら、女子に嫌がられるなんてことは普通に理解できると思うんだが。
というか、人の顔を見て呪詛を唱えんのはいい加減やめてほしい。イケメンイケメンいうが、好きでこの顔に産まれたわけじゃないんだし。というか、最近では匙のやつにも時々睨まれるんだが。なんだ?この顔が悪いのか?あのクソ親父似の顔なんていますぐにでも「羅来(らき)!!」ハッ!
俺の名前を呼ぶ声に振り向くと、そこには険しい顔をしてこちらを見る蒼那の姿が。
「まったく、さっきから話しかけてるのに無視するとは何事です!」
「あ、ああすまん。少し考え事をな?それでどうかしたのか?」
そんな俺に蒼那は呆れたように溜息をついた。
「…あの三人が体育館裏にむかっていきましたが、どうしようかという話です」
「ああ、それなら俺が行くから、蒼那は先に生徒会室にむかってくれ」
「いいのですか?」
「なあに、会長が生徒会に遅れたら示しがつかんだろ。とりあえずあいつらを追って何もなかったらそのままで、何かやらかそうとしてたら先生にでも言って、反省文でも書かせるから」
って言っても、あいつらいくら説教したり、反省文を書かせたりしても、まったく反省しないんだよなぁ。悪い奴らでないことはわかっているんだけど、そろそろいい加減にして欲しいんだが。
そう俺が言うと、蒼那はすまなそうにしながらも、「お願いしますね」と言いながら、先に生徒会室へとむかっていった。
蒼那の姿が見えなくなったのを見てから、俺はさっそく、エロガキどもがむかっていった場所へとむかっていった。
「さあって、何事も無ければ面倒がなくていいんだが…」
無理だろうな。あいつらは絶対に何かしらやらかすだろうし。
俺は何も存在しない場所から(・・)ひと振りの竹刀を取り出すと、問題児どもに天罰を下すために足を速めた。
一誠サイド
松田の後についてきた俺たちは、現在体育館裏に来ていた。なぜそんなところにいるのかというと、
「おいおい、本当にあったぜ」
元浜の視線の先には、体育館裏の壁にぽつんと空いている一つの穴。
「こ、これって、本当に…?」
「ああ。――――――女子更衣室へとつながる穴さ」
この穴はなんでも松田が体育の時間に偶然見つけた穴で、その先は女子更衣室へとつながっていた。
そして松田が調べたところ、この時間は女子剣道部がこの更衣室を使う時間。
つまりは、
「女子の着替えが覗き放題というわけだよ」
「「お、おおー!!」」
すげえ、すげえぜ松田。こんな素敵スポットを見つけて、あまつさえ俺たちに教えてくれるなんて。あなたは神ですか!?
俺が、松田の友情に感動していると、
「へぇ…。それは俺にも紹介して欲しかったなぁ…」
俺たちがこの学校に入学してからよく聞くようになった声が聞こえてきた。今は絶対に聞きたくなかったその声が…。
ギギギギギギギ
俺たち三人は、その声の聞こえたほうに、油の切れたおもちゃのような音をだしながら振り向く。
そして、そこにいたのは、
「よお、また会ったなお前ら」
俺たちが絶対に会いたくない人がそこにいた。
松田が思わず叫ぶ。
「げぇ!呂布!?」
その瞬間、
ズドオォォオォン!!
「ぐぺっ!?」
「松田ー!?」
その人物が手に持っていた竹刀が、松田へと凄い音を立てて撃ちこまれ、そのまま松田はカエルが潰れたような声をあげて、その場に倒れる。
あまりの威力に、松田の頭が地面に埋もれた。
な、なんだいまの!?全然見えなかったぞ!?
「誰が三国志最強の武将だ、誰が」
いや、いまの見たら皆納得すると思いますけど!?
そう思ったが俺は口にはださなかった。下手なことをいったら松田の二の舞になるのが確実だったからだ。
元浜がおそるおそる、現在対峙している竹刀を持っている男に話しかける。
「あ、あの~、なんで先輩がここにいるんすか?」
元浜は怯えながらもなんとか声を絞り出す。その怯えようはまるでRPGで村人Aが魔王が倒されて安心して外に出かけたら、偶然魔王より強い裏ボスに遭遇してしまったような、そんな怯えようだった。
目の前の男は、元浜の声に、にやりと笑う。俺にはそれが死神のほほ笑みに見えた。
「なあに、渡り廊下から偶然お前たちが体育館裏にむかっているのが見えてな?それで念のために来てみたら、案の定、お前らが覗きをしようとした現場にいあわせたというわけだ」
その口元は皮肉気に歪んでいるが、目は決して笑っていなかった。…ああ、怒っていらっしゃる。
まさかよりにもよって、この人に見られてたとは…。やばいぞ、これはシャレにならん!
俺たちは、この目の前の人物についてよく知っている。
彼の名前は、『進藤(しんどう)羅来(らき)』。
この駒王学園の副会長の内の一人で、一誠たちの悪事をことごとくその竹刀で叩き潰す、彼らの天敵的な存在でもあった。
進藤先輩はその口元の笑みを消して真顔になると、俺たちに告げる。
「さあ――――――覚悟はいいか?」
死刑宣告を。
そして、先輩の竹刀が、俺たちの頭へむかって閃いた。
ズバババババーーーン!!
「「ぎゃああぁぁあぁああ!!」」
その日、駒王学園でとある男子生徒たちの悲鳴が聞こえたが、…いつものことなので誰も気にしなかったという。
後書き
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