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万華鏡

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第二十九話 兵学校その十七

「誰かな」
「おるんじゃな」
「その子やと鹿児島も知ってるやろ」
「そうやったらええんじゃがのう」
 宇野先輩は完全に広島弁で応える。
「本当にな」
「そやな、鹿児島なあ」
「薩摩芋じゃな」
「あと豚やな」
「それとカルカン、キビナゴ」
「薩摩揚もあるわ」
 ここでも食べ物の話になる。
「ピンクのソフトクリームも美味しいっていうな」
「あれほんまに美味しいんやろか」
「ちょっと食べてみたいのう」
「あれもやな」
「鹿児島ですか」
 琴乃は先輩達の話を聞いて述べた。
「そこですと」
「おらへんやろ、ちょっと」
「うちの学園には」
「そうですよね、あまり聞かないですね」
「薩摩の娘ってどんなんやろな」
「やっぱり薩摩弁じゃろ?言葉が」
 先輩達はこう予想を述べる。
「昔の薩摩弁って凄いていうけど」
「どんなのじゃけえな」
「確か海軍は薩摩藩出身の人が多かったですから」
 里香がここでこのことを話す。
「それに自衛隊自体九州の人が多いですし」
「じゃあ江田島に行ったらいてくれてるかな」
「鹿児島の人が」
「おられるかも知れませんよ」
 こう先輩達に話すのだった。
「とにかく向こうに行ってからですね」
「そやな、どんな人がおるかも」
「楽しみじゃねえ」
 宇野先輩は高見先輩と話したところでここでだった。
 その姿勢を崩して五人にこんなことを言った。
「わし広島人で江田島とか呉にも何度も行ってたけえが」
「それでもですか?」
「何かあったんですか?」
「いや、海軍が薩摩の人多かったとは知らんかったけえ」
 こう話したのである。
「ちょっとな」
「東郷平八郎薩摩藩出身ですよ」
 里香はその宇野先輩にこう返した。
「山本権兵衛も」
「そうだったんじゃ」
「はい、そうですけれど」
「ほんまそういうの知らんかったけえ」
 広島にいたがそれでもだというのだ。
「いや、ええ勉強になったわ」
「ほんまやな」
「それはいいんですが」
 今度は里香が先輩達に言う、高見先輩にもだ。
「あの、宇野先輩に高見先輩」
「んっ?何じゃ?」
「どうしたんや?」
「また、脚と胸が」
 このことを困った顔で指摘するのだった。
「見えてますから」
「あっ、ほんまじゃ」
「ちょっとなおすわ」
 先輩達も言われて根元まで見えている太腿とブラが露わになってしまっている胸を収めた。
「油断してたらすぐに見えてしまうのう」
「浴衣はそこが困るわ」
「気を付けて下さいね」
 くれぐれという口調で二人に言う。
「本当に」
「というか先輩の脚ってあれですよね」 
 景子も酒ともう一つの理由で赤くなった顔で言う。
「いつもぎりぎりですよね」
「根元まで見えてけえな」
 今はちゃんとした女の子座りになっている、さっきまでは右足を立たせていたので本当に根元まで見えていたのだ。
「あと少しで見えてましたよ」
「というか根元までも刺激的過ぎますよ」
 美優も困った顔で言う。
「本当に」
「まあ今はちゃんとしてるけえそれでな」
「頼みますよ」
「けどこれが彼氏の心をゲットするんじゃ」
 宇野先輩はこのことは笑って話す。
「そうじゃから時と場合によってはええんじゃ」
「そうなんですか」
「さかりがついて押し倒される危険もあるけどな」
「それまずいですよ」
「そうなってもいい場合で仕掛けるもんじゃけえな」
 このことは笑って言う先輩だった、何だかんだでこうしたことには余裕を見せてそれで話したことである。
 七人でそうした話をしてだった、彼女達はこの日も幸せに合宿の時間を過ごしたのだった。


第二十九話   完


                  2013・4・3 
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