妖精の十字架
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
~It works together①~
前書き
今回から数話にわたってオリジナル(恋愛寄り・・・?)です
クルスの戦闘もありますので純恋愛ではないです(笑
てか恋愛なんか書けないし・・・
「ただいまー!」
ナツが勢いよくドアを蹴り破る。もう一度言おう。ナツがドアを蹴り破る
なぜ普通に開けられないのか理解に苦しむところだ
「ナツ!ドアを壊すんじゃない!」
エルザに首根っこをつかまれておとなしくさせられる。その光景は子猫をにらむ大型犬のようだった
「クルス!お帰りなさい!」
「ん、あぁただいま」
ミラがカウンターで手を振っている。そしてそのまま手まねきしだした
俺は荷物を換装先のストックに送りカウンターに歩み寄る
「大丈夫だったの?なんか大変みたいだったけれど・・・?」
心配そうな表情で訪ねてくる
席に着きながら俺はこたえた
「当たり前だ。s級の名は伊達じゃないからな」
「そうね。でもさすがクルス!って感じよ」
?何がだ・・・
俺はミラにいつものウルハ酒を注文する
ミラは嫌な顔一つせず、むしろ喜んでウルハ酒を出してくれる。その笑顔を見るだけで癒される気がした
「ね、クルス」
両手で頬づえをつきながらカウンター越しに話す
「明日って予定ある?」
「いや、特に無い」
それじゃ・・・といってミラはカウンターからでて二階、つまりs級クエストボードに向かった
そしてパタパタと長いスカートときれいな白髪を揺らしながら駆けてくる
「このクエスト付き合ってくれない?」
突き出されたてに握られていたのはs級クエストで男女の組み合わせで片方でもs級魔導士であることが条件のクエストだった。クエストの内容は
クルーザーで出店されるオークション会場の護衛。その後、オークションの品を運ぶために陸に上がってからは鉱山に住み着いた黒バルカンの討伐と護衛
成程。俺の力借りたいのか
「ん?クエスト報酬・・・ってこいつは・・・」
そのクエストの報酬はとんでもなくレアものだった
--フリュージュエリー
超がつくほどのレアもの宝石で、まず市場には出ない。全世界の女性が求める宝石といっても過言ではない
「駄目、かな?」
上目使いでねだられては断るに断れん。まぁ断る気はないのだが
「良いぞ。付き合おうじゃないか」
するとミラは大きく両手を伸ばして全身で喜びを表していた
そこまで大げさにしなくても、と思ったが本人がうれしそうだからそっとしておいた
「じゃ、明日の朝ギルドの入り口で!」
「OK。バイクで良いよな?」
俺の趣味の一つでもあるバイク
ちなみに俺は換装の魔法が少しだけ使える。と言ってもエルザのように武器ではなくて、魔道四輪車や魔道二輪車(バイク)といった物が専門だ
ストックはその二つとクエスト用荷物だけだが・・・
「うん!明日の朝、楽しみね!」
「久しぶりだな、ミラとクエスト行くのも」
「そうね、普段はお互いお仕事別だもんね」
ウルハ酒を飲み終えてグラスを下げてもらう
「なぁミラ」
「ん?」
「・・・エルフマンはまだ」
一瞬俺とミラの間の空気が重くなったのを感じた
そして一泊開けてからミラは口を開いた
「・・・まだ、駄目みたい、全身は」
やっぱり、駄目か。あの日自分の所為で妹を殺めてしまったトラウマはそうそう消えるものじゃないのはわかっているが・・・
「でも、少しずつよくはなってるよ?」
「そうか・・・ならよかった」
俺は席から立ちあがる
「悪い。今日はもう帰るな、ちょっと酔ったし」
列車の衝撃を食うといっても全て食える訳じゃない。長時間乗ればさすがに酔う
俺は吐き気を抑えながらミラに別れを言って帰ることにした・・・はずなんだが
「クルス、ご飯作ってあげるから今から私も行くね」
「いや、だいじょう・・ぶ・・・なんだが」
言いきる前に自分の荷物を取りに行ってしまった
仕方ない。今日はミラの手料理を堪能するとしよう
「ただいま。。。」
「おじゃましまーす」
木で造られた質素な家だが狭くはないし、中も別に汚くはない
壁にはこれまでクリアしてきたクエストが張り出され、逆の壁には親父をイメージして織ったタペストリーが飾られている
「クルスって自炊してるんだよね?」
「あぁ、親父が自分の食事は自分で創れって。親父の教えは大切にしなきゃだしな」
クスッとミラが笑う
「クルスってお父さん大好きなのね」
当たり前だ。俺に生きる術を与えてくれた大切な父親だ。まぁ、ドラゴンなんだが
「台所借りるわね」
そう言ってミラは台所に消えた。その間に俺は明日の用意と筋トレを済ませる
しかし、ミラが来ているのでいつものように魔法を連発するわけにもいかないので腕立て等で我慢した
「今日は何つくってくれんだ?」
良いにおいが鼻を刺激する
「今日はーミートローフ!」
成程。俺が作れん本格的な料理だな
「もうしばらくかかるからお風呂でも入っててー」
「わかった」
俺はミラに促され風呂へと向かった
「ふぅ――・・・」
冷水を一身に浴びる。俺は基本冷水派だ
特に理由はないが、幼少のころは川で体を洗うことが日課だったことが原因だろう
一通り全身を洗い、脱衣所で頭を乾かす。この時ほどナツの魔法を羨む時はない。だって楽じゃん
「よっと」
服に袖を通して食卓に戻るとすでにおいしそうな料理が並んでいた
「おぉー!いっぱい作ったな」
そう。かなりの量だった
「ちょと作りすぎたかな?」
「いや、大丈夫だ」
俺は席に着き手を合わせてから一つを口に放り込む
「!旨い」
「そう?よかった」
本当に旨い。これを食ってしまったら明日からの食事が嫌になりそうな素晴らしい味だった
そのごも俺は次々に料理を口に運びながらミラとたわいもないかいわをしながら時間が過ぎて行った
「・・・じゃ、また明日ね」
「おう、また明日」
さすがに泊るわけにはいかないので今日はこれでお開きとなる
また朝には会えるがミラは少し悲しそうな顔をしてた。でも俺にはどうしてそこまで悲しそうなのかはわからなかった
ページ上へ戻る