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万華鏡

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第二十九話 兵学校その九

「私達は案内してもらうだけだから」
「それだけなの?」
「私達は自衛官じゃないから」
 それ故にだというのだ。
「そうした厳しいことはされないから」
「そうなのね」
「それはあくまで自衛官だけだから」
「私達は関係ないのね」
「全然ね」
 それも全く、というのだ。
「だから安心してね」
「わかったわ、よかったわ」
 琴乃は泳ぎながらほっとした顔になった。そのうえで。
 景子は泳ぎつつ今度は美優に尋ねた。
「ちょっといい?」
「どうしたんだよ」
「午前中は遠泳よね」
「ああ、これだよ」
「それで午後だけれど」
「それぞれのグループに別れてな」
 具体的に言うとプラネッツ五人になってということだ。いつもの五人になってそのうえでだというのだ。
「部活だよ」
「じゃあ演奏の練習ね」
「曲も作らないか?」
 美優は泳ぎながらこう提案した。
「この合宿の間にさ」
「この合宿の間に」
「何か一曲出来たらいいって思ってるんだけれどな」
 自分のこの考えを延べる。
「これどうだろうな」
「ううん、一曲ね」
「合宿の間に一曲。作れたらな」
 あくまで望みだがそれでもというのだ。
「そう思ってるんだけれどどうだろうな」
「実は今一曲作曲してるけれど」
 景子はこのことを今言った。
「そうしてるけれど」
「あたしも一曲さ」
「作曲したの?」
「いや、作詞してみたんだよ」
 曲ではないがそちらをだというのだ。曲は音楽だけでなく歌詞も必要だ、美優はそちらをしたというのである。
「一曲な」
「そうなの、じゃあ」
「午後お互いに見てみるか」
「そうね。じゃあね」
 二人で話す、その話を聞いてだった。
 琴乃もここでこう言った。
「具体的にどんな曲で歌詞かよね」
「そうよね、とりあえず午後楽譜出すから」
「あたしは歌詞な」
 二人はそれぞれ琴乃に答えた。
「それが美優ちゃんの歌詞に合ってればいいけれど」
「景子ちゃんの曲にな」
 二人がお互いにこう思っていた。
「じゃあ後でね」
「お昼御飯の後でさ」
 こんな話をしながら遠泳をした、遠泳の後で水着を脱いでシャワーを浴びた。そのうえで昼食の場に向かうと。
 そこにあったのはカレーだった、そのカレーはというと。
「よし、シーフードね」
「シー^フードカレーね」
 彩夏も琴乃も笑顔で話す。
「牡蠣は当然の様に入ってて」
「貝柱に海老に白身魚に烏賊ね」
「蛸もあるわね」
「それに帆立に」 
 貝が多かった、牡蠣だけではなく。
「ううん、ここって牡蠣だけじゃないのね」
「他のもあるのね」
「それでも豪華過ぎないか?これはよ」
 美優も驚きを隠せない感じだ、その豪華な海の幸の種類に。 
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