めだかボックス 〜From despair to hope 〜
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第17箱 「りゅうくんっ!僕も負けないからねっ!」
【人吉家】
昨日は動物園で色々あって………。
何とかめだかちゃんは、元気になってくれたんだけど……。
「ううぅ…… からだ…… イタイ……」
劉一が逆にしくしく……っと涙を流していた。
でも、ギャグっぽい涙だから、大丈夫?
「じゃないよぉ…………。」
劉一は、誰につっこんだのかは解らないから軽くスルーしておきましょう。
劉一は体中が…節々が……メチャクチャいたい……と言っている。
だけど、それは仕方ないことだろう。
「ほーら、我慢しなさい。あのめだかちゃんにMAXパワーで抱きしめられたのにこの程度で済んでよかったわよ。」
そう言って、介抱してくれているのは、瞳先生。
瞳先生の言うとおり、めだかちゃんの力で鯖折……ハグをされて、この程度で済んでよかったと思うべきなのだ。
……劉一だからだと思うけれど。
その後は、瞳先生が良く効く湿布を体中に貼ってくれて、
あとマッサージも軽くしてくれる。
それ自体は気持ちいいんだけど……。
やっぱり…………。
「痛いものは痛いですよぉ… なんで加減してくれないんですかぁ…… めだかちゃんは……」
劉一は、っとウジウジ言ってしまうのも無理ないと思いマス!はい…… 苦笑
常人(同い年)ならめだかちゃんの力なら、体中の骨が折れてても不思議じゃないからだ……。
「ほーら!これで大丈夫!ラストッ!はいッ!」
最後の一枚の湿布を……
“ペシンッ!”
っと貼ってくれて……。
その直後に、
「いたーーーーい!!!」
っと、劉一の悲鳴が木霊していた………
「りゅうくん!大丈夫?」
そこへやってきたのは善吉、
心配そうにしながら顔を覗き込んできた。
「あ………はははは… 善吉…くん! 大丈夫…… じゃないかも……」
っと言いながらもVサインをする。
結構心配性な感じの善吉君に更に心配をかけたくなかったのかも知れない・・・
「ううー……… よかったよっ!」
Vサインが功をなしたのか………
心配顔だった善吉の顔が明るくなった。
「明日の幼稚園は大丈夫??」
動物園に行っていたのが、土曜日!んで、今は日曜日!
休みでよかった……
「うん! 大丈夫だよ。休んじゃったらめだかちゃんに何言われるかわかんないし……」
苦笑いしながらそう言い、再びVサインを!
善吉は更に嬉しそうな顔をする。
「そっか!あははは!そうだよね! めだかちゃん がっかりしちゃうからね♪」
笑いながら……そう言った。
「がっかり…… だけじゃなくて 怒られそうだよ……」
はぁ……っとため息をしながら呟いた。
「………ほんとに大丈夫?りゅうくん……………」
ため息を出しているのはしょっちゅうなんだけど…
今日はちょっと心配モードになってるみたい……
「瞳先生が【良く効く瞳印のサロンパス】をはってくれてるし…。 明日にはきっとよくなってるんじゃないかな? だから心配しないでね!…ね?」
ぐっと腕に力を入れる、
すると、善吉は…
「………うん!」
先ほどよりも明るい笑顔で頷いた。
んで…なにやら取り出し……
「りゅうくん!」
そう言ってそれを差し出した。
「ん??何………? トランプ?」
差し出されたのはトランプ。
プレゼント?…… なわけないか。
遊ぶんだね。
って思ってたけど、それも間違いでした。
「僕トランプ強くなりたい! 教えて!!」
そう言った………
「え?」
ちょっと 戸惑ってしまった。
でも、翌々考えると当然なのかも知れない、
まだ小さいとは言っても、連敗に次ぐ連敗じゃあちょっと悔しいんだろう……
でも、トランプを強くする方法……
ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
僕の場合は、直感力とポーカーフェイス・後は定石やらなにやらだから……善吉君には厳しいかもね…
今はこの姿だけど、僕……100歳超えてるんだよね… まぁ 精神年齢は10代後半くらいだと思うけど、
でも。折角の善吉君の頼みだし!
「いよっし! 僕と練習をしよう! 僕が考えてる事を教えるよ!」
そう言ってトランプ・ゲームを開始した。
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「うう…………」
悔しそうにしている善吉君がいます……
「ほら!元気出して! きっとできるようになるよ!」
とりあえず、フォローは入れているけど………
って言うか…… 僕たちの年代の子に、確立やら記憶力やらを言っても そう易々とできるわけないんだよね…
とりあえず 練習していたのは真剣衰弱とババ抜き!!
……記憶力と直感がモノを言うゲームです。
めだかちゃんの記憶力はハンパないので、あまり参考になりません。
そして劉一の記憶力も参考になりません。
同い歳であって、ちがうのだから。
「あれ……? ここにあったと思ったのにぃ……」
一枚めくるごとに…… 何やら悔しそうな表情をしてるよ……。
それに…… 疲れてるかも…… だって1時間以上してるから。
「……善吉君 ちょっと休憩しよっか?」
劉一は、そう言うと……。
「ダメだよ!僕だって!強く…強くなりたいもん!」
善吉に頑なに拒否されてしまった!
この事が、真っ直ぐで頑固者の箱庭学園の人吉善吉に繋がってるのかもしれない……
ちょっとやそっとじゃ、やめそうにないね……
「善吉君。 このゲームは、記憶…… 脳を思いっきり使うんだ。 だから無理して連続でやっても旨くならないよ。」
そう、勉強もそうだけど……… 適度の休憩は絶対に必要。
後は積み重ね……… 努力だけだ。
「ええ!でも!めだかちゃんとりゅうくんはずーっと……ずーーーっとやってるよ?」
………………。
そういわれたら……返す言葉が無いだろう。
めだかちゃんと劉一を比べたらまずいと思われる。
劉一は言葉を返せなくて困っていた時。
「善吉ちゃん?」
瞳先生がヒョコっと顔を出してきた。
「ん?なーに?お母さん。」
善吉は顔をそちらに向ける。
「善吉ちゃんが、りゅうくんとめだかちゃんに追いつこうと思ったら…… ちょーーーーーーーっと大変だよ?」
長い……ちょっとが……。
だが、その通りだろう。
「う……うん。」
善吉は俯いた。
母親が言った事にこれまで間違いは無かったからだ、その母親が言っているのだから・・・
「だからさ!1日頑張るっ!毎日ずっと!! ってやってたら、体が持たないよ? 毎日でも、ちょっとずつでも頑張る!!っが、追いつく秘訣! それが一番の近道かな?」
瞳先生は笑いながらそう言う。
「お母さんが言った事に間違いはないでしょ?それにお医者様が言ったんだから、ちゃんと聞いてね。」
そう言い、最後は善吉の頭に手をおく。
「そんなに無理しなくて大丈夫!善吉君には善吉君のいいところがいーっぱいあるんだよ。頑張ったら頑張っただけ力になるよ。」
頭を優しく撫でた。
善吉は初めこそは俯いていたが、徐々に顔を上げ表情もよくなっていった。
そして、劉一の方を向き。
「う……うん!僕も頑張る!! りゅうくん!負けないよ!!きっと!おいついて見せるからね!」
そう言った。
(さすがっ。瞳先生だね……?)
善吉の事は一番よく知っている。
それは当然だ。
だって……母親なんだから。
「うん!僕もめだかちゃんも!まってる! めだかちゃんだったら、いつでも挑戦は受ける!凛ッ って言いそうだね♪」
劉一もそう返した。
その後、瞳先生と目が合い、 先生はウインクをした。
この家族、やっぱり暖かいなぁ……と劉一は改めて感じた一日だった。
そして、お陰で体の痛み、取れたのだっ♪♪
「だから言ったでしょ!【良く効く瞳印のサロンパス】だって!」
劉一の言葉を聞き、
胸を張って瞳先生はそう言ってました!
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