妖精の十字架
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~帰宅~
「今戻った」
ギルドの門を潜り帰宅した俺を待ち受けていたのはエルザの前に正座していたグレイとナツだった
一瞬、またかと思ったのと同時にいつものこと、と考えてしまったのだがこれ、正常だろうか?
「おかえりー!クルス!」
カウンターの後ろから白髪で、このギルド看板娘のミラジェーンが声を掛けてくれた
「あぁ、ただいま」
ちょうどその時、このギルドS級魔士エルザの最後の言葉が発せられた
「ナツ、グレイ、お前らには後でアレがまっているからな・・・」
「「嫌だー!!」」
正座の二人は涙を流した。が、ほかのだれも助けられない
まぁエルザ相手に口出しはできまい
「あ!兄ちゃん!帰ったのか」
ナツは俺を兄ちゃんと呼ぶ。別に本当に兄弟って訳ではないが、俺が滅竜魔道士であるからこその呼び名だ
「俺と勝負しろ!」
そう言って殴りかかってくる。俺はその拳を左手で軽くはじき、「衝撃」を食す。そう、俺が食べるのは「衝撃」。打撃の攻撃に限らず地面の揺れ、音、その他もろもろの衝撃を無力化できる
「・・・うまい衝撃だ。でもまだまだだなッ!」
つかんだナツを地面にたたきつけた。その時、となりで見慣れない金髪が小さく悲鳴を上げた
「クルス!話がある!」
「ん?なにか用事か?」
エルザは俺をみてパッと表情を変えた。しかし、その背後からはミラが黒いオーラを出していた
「・・・ミラ、仕事の話だ。さて、クルス!鉄の森を知っているか?」
「ミラ?どうかしたか?・・・鉄の森か、あぁ知ってるぜ」
エルザの目つきが変わった。仕事の目だ。しかしミラ、黒いぞ
「仕事先でやっかいなことを耳にしてな、早期解決が望ましい」
「・・・了解した。で?」
「うむ、そこでクルス、グレイ、ナツ。お前たちの力を貸してほしい」
「俺は構わん」
「なにー!?」
グレイが半裸で叫んだ
ナツも
「嫌だー!」
とぎゃーぎゃー騒いでいるがエルザの拒否権の無い言い草に負け、しぶしぶ承諾した
「・・・これってまさか、フェアリーテイル最強チームかも」
ミラがつぶやいた
「確かにそうかもな・・・。ミラ、ウルハ酒くれ」
カウンターに座って甘い味のお気に入り酒を頼む。ミラはさっと差し出してくれる。いつものことだが手際が良い
「クルス、クエストはどうだった?」
「ん?楽勝だ」
ミラもお酒を飲み、カウンターをはさんで向かい合わせになって座る
「やっぱりクルスは強いねー。私も頑張んなきゃ!!」
一瞬なにを?と聞こうとしたがミラが楽しそうだったのでやめた
ウルハ酒を飲みつつギルド内でのどんちゃん騒ぎを眺める
グレイ、ナツが喧嘩を始めるとエルザが現れ喝を入れる。おとなしくなったと思ったらまた喧嘩。実に騒がしいもんだ
「ミラ、もう一杯くれ」
「うん!」
グラスを渡すとミラはみごとな手つきでついでくれる
「ありがとう」
手渡された酒を一気に飲み干した
「んじゃ、今日はもう帰るな。また明日、ミラ」
「うん、また明日ね」
家に向かって歩き出した俺をナツがひきとめた
「兄ちゃん!模擬戦やろうぜ!」
「はぁ、今日もか。まぁ良い、とりあえず模擬戦だ」
俺は両足を開き手を握る
ナツは両手に炎を纏わせる
「来い・・・」
「いくぞぉ!火竜の鉄拳!!」
突き出せれた拳を受け流し、顎にひじ打ちを決める。そして足を回してひっかける
ナツも負けじと炎を吹くがサイドステップで余裕によける。そして魔法なしで殴る。ナツは腕で受け止めるが重みに負け片膝をつく。俺はその隙を突き、踵落としを決めた
「くそっ!?火竜の鍵爪!」
「甘いな」
腕で衝撃を喰らう。そして溝落ちに一発殴りを入れてナツを沈めた。もちろん終始魔法は使っていない
。だが鍛え上げた腕力によってダメージは相当なものだ
「今日はこれくらいで終わろう。また明日な」
「くっそ~!」
俺はナツの声を背にしながらその場を後にした
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