妖精の十字架
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~始まり~
「覇竜拳!」
山の中部に盛大な音が響き闇ギルドの魔道士が吹き飛ぶ
「や、やべぇ、こいつフェアリーテイルの…!?」
言葉をさえぎり、再び人が宙を舞う
「フェアリーテイル最強の魔道士!クルスだーー!!?」
「覇竜脚ゥ!」
足を振り上げ顎を砕く。俺は振り上げた足をおろし、拳に力を込め、強く突き出す。それだけの動作だが、「覇」の滅竜魔法を纏った拳は天を砕く力を持つ
杖をもった魔道士は派手に回転しながら吹き飛ぶ。これで38人目。残りはざっと見積もって20人だ
「めんどくせぇ…一掃するか」
両手の力を抜き、足に集中して目を閉じる
「すぅぅぅ――・・・はぁああッ―・・・」
傍から見れば無防備極まりないその姿に魔道士達は余裕の笑みを見せ一斉に襲い掛かる
「覇竜、打ち取ったリー!!」
「アァ!?」
目を見開き、その場から消える
否、正確には高速で移動して目で追えなくなったのだ
「・・・深紅・覇竜拳」
一瞬で背後をとり、魔力を帯びた拳をたたきこむ。拳が一人の魔道士に当たるかどうかの刹那、魔力が弾けその場にいた魔道士全員が吹き飛び、壁にたたきつけられる
俺はいまだ戦意のある魔道士目掛け襲い掛かる。回し蹴りを決め、エルボーを叩き込む。そして背後に迫っていた男にひじ打ちを決めた
俺の攻撃は地味とよく言われるが、実はよく見ると攻撃する部分に薄黒い魔力が纏わりついていて一撃一撃のダメージも大きい
「まだやんのか?」
「あ、あぁ、あ・・・」
戦意喪失だな。俺は戦意を失った者にまで拳を振るう男ではない。踵を返し、仕事の報告をしに村へと戻った
「おおぉぉ!魔道師様のお帰りじゃ!」
ここは村の峠。さっきの魔道士ギルド、狩人の巣にいわば植民地とされかなりの被害があったようだ
「依頼、終わったぞ。とりあえず全滅させたし、撤退するようにも言った」
「ありがとうございます!しかし、やつらがそう簡単に引き下がりますかな?」
いささか不安そうな村長
「あぁ、それなら大丈夫。二度目はないと釘をさしたからな」
「いやぁ!さすがはフェアリーテイルの魔道士様だ!ささ、うたげのご用意をしますので奥の大広間に」
「・・・お言葉にあまえよう」
村のみんなは歓声を上げ、俺を引き込むようにして大広間に連れて行った
そこで宴が始まった。村のみんなは飲んで騒いで大騒ぎ。俺は後ろで静かに酒を飲む
宴は夜通しで行われた
翌日、俺はまだ眠たそうな村長に報酬をもらい、別れを告げてフェアリーテイルに向けて歩き出した
今ここに、一人の滅竜魔道士が依頼を終わらせマグノリアに向かう・・・
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