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万華鏡

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第二十八話 浴衣その八

「たまやけどな」
「流石にわし等はせえへんけどな」
「高校の間はな」
「大学に入ってからやろ、せめて」
「ああ、そう思うけえ」
 宇野先輩も流石にそれはというのだ。
「高校生の間は交際だけじゃけえ」
「結婚はまだやで」
「まあ高校生で結婚っていうのは」
 景子はこのことをさらに言う。浴衣姿で首を捻りながら。
「凄いですよね」
「結婚は十六歳からだからな」
 美優が法律的なことから話した。
「あたし等も十六になったら、その誕生日からな」
「結婚は出来るわ」
 高校生でもだ。
「男の子は十八歳からね」
「そうだよな、ただな」
「ええ、やっぱり高校生だと」
 まだとてもだった。
「早いわよね」
「というか教室で子供育てるの無理だよ」
「あっ、そういう人はお母さんに育ててもらったりするから」
 その母親の母親か父親の母親である。
「その人にとってはお孫さんにあたるから」
「それは大丈夫なんだな」
「幾ら何でも教室で子供は育てられないから」
 学校にいる間は、というのだ。
「親御さんにそうしてもらうか保育所かね」
「うちの学園保育所もあるのよね」
 彩夏がこのことを言う。
「保育園もね」
「それで育てられるからね」
 だから高校生で子供が出来ても大丈夫だというのだ。
「安心出来るわね」
「そうなるから。本当にちょっとだけだけれど」
「というかそういうお話ってドラマだけじゃないのね」
 里香は景子のその話に目を丸くさせていた、その大きく整った目を。
「昔高校聖夫婦ってドラマがあったけれど」
「あの主役の男の人が仮面ライダーの理事長さんだったのよね」
 琴乃はそのドラマのタイトルを聞いてこう言った。
「あの頃と全然雰囲気が違うわね」
「ええ、全然ね」
「三十年近く経って」
「ヒロインだった人も感じ変わったし」
「歳相応の綺麗さっていうか」
「そういう感じになったわよね」 
 こう二人で話す、そしてだった。
 先輩達は五人にまたこんなことを言った。
「とにかく乙女よ恋せや」
「そこからけえ」
「女の子は恋愛で己を磨くんやで」
「そやからええ恋愛しんしゃい」
「何やったらうち等が相手紹介すんで」
「普通科は商業科より競争率少ないけえ頑張りんしゃい」
 こう言うのだ。
「お酒と恋愛あっての人生やで」
「乙女はこの二つで成長するけえ」
「そっからええ女になるんや」
「そやからやるけえ」
 発破もかけるのだった。
「度胸をちょっと出してな」
「そうしんしゃい」
「ううん、そうしないと駄目ですか」
「どうしても」
「どうしてもやないで」
「それは違うけえ」
 二人は絶対とは言わなかった、それはだ。
「これまで言うこと否定するけど恋愛が全部やないで」
「他にも色々あるけえ」
「そやけど恋愛は重要な要素やから」
「今まで言ってるけえ」
 こういうことだった、そして。 
 高見先輩からだ、また五人に言った。 
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