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万華鏡

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第二十八話 浴衣その七

「ちょっと以上に」
「あの娘は気いつけや」
「最近商業科のあんた達と同学年の娘二人に目つけてるって聞いてるけえ」
「男は一人でも女の子は何人でもって言うてるさかい」
「ほんまセクハラかましてくるけえ」
「そうらしいですね、凄い人らしいですから」 
 だからだと、景子も言う。
「あそこは恋愛成就でもちょっと」
「景子ちゃんの神社って恋愛成就はないの」
「実はないの」
 景子は琴乃にこう答えた。
「学業とか家内安全とかはあるけれど」
「それでも恋愛成就はなの」
「神様が違うのよ」
 だからだった。
「そういう神様はいないのよ、うちの神社」
「あっ、そうなの」
「神様って多いけれど」
 それでもなのだ。
「うちの神社にはいないから
「恋愛の神様は」
「日本は神様凄く多いけれどね」
 八百万と言われている、実際jはそれどころでは効かないだろう。
「上杉謙信とかね」
「あの人お坊さんだったんじゃ」
 琴乃も彼が出家したことを知っている。つまり僧侶であるのだ。
「それでもなの」
「あの人の神社あるから」
 米沢にだ、その名も謙信神社という。
「それでなのよ」
「神様なの」
「そうよ」
 そこで祀られているから神様になるというのだ。
「そうなるのよ」
「ううん、そうなのね」
「それで私のお家の神社もね」
「色々な神様がいても」
「そう、恋愛の神様はいないから」
 だからだというのだ。
「そういうお願いは無理よ」
「そうなのね」
「八条神社か学園の神社に行ってね、恋愛関係は」
「ううん、そうなのね」
「そうしてね」
 こう琴乃に話す。
「恋愛以外は大丈夫だから。安産祈願とかは」
「いや、安産はちょっと」
 琴乃はそのことには苦笑いになって引いた、そのうえで景子にこう返した。
「遠慮するわ」
「あっ、やっぱり」
「だって。彼氏もいないのにね」
「というか結婚していないから」
「それはなしにして」
 景子に対してその顔で言う。
「というかまだお願いに行かないから」
「そうよね、とはいってもね」
「とはいってもって?」
「私達の年齢でもその祈願しに来る人いるから」
 十六歳でもだというのだ。
「流石にたまにだけれどね」
「高校生でも?」
「そう、高校生でもね」
 それでもだというのだ。
「安産祈願に、ご主人と一緒に来る人多いわよ」
「ああ、うちの学校結婚してもええけえな」
 宇野先輩は今衝撃の事実を言った。
「というか校則に結婚禁止とか書かれてないけえ」
「そうなんやな。そやから学生結婚ってほんまあるで」
 高見先輩もこう言う。 
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