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リリカルなのは~優しき狂王~

作者:レスト
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第三十七話~言葉~

 
前書き
更新遅れてしまいゴメンなさいm(_ _)m
最近少しスランプ気味で今回の話も4回程書き直していました。

そろそろ戦闘描写を書きたいと思う今日この頃です。

では本編どうぞ

 

 

機動六課・医務室


 沈んでいた意識がハッキリする。重みを感じる瞼を持ち上げると、夜の暗さに染まる部屋の天井が見える。どこかぼんやりする頭と目の周りに感じる若干の痒みを認識すると何故自分が眠っていたのかをライは思い出した。

「………泣き疲れて眠るなんて…何時以来だろう……」

 ぼんやりする思考の中そう呟く。
 あの時屋上で泣いたあと、ライはそのまま3人に抱きしめられたまま眠ってしまったのだ。しかしそれは無理もないことであった。
 この1日だけでライは自分が思っているよりも濃厚な時間を過ごしていたのだから。なのはとの模擬戦に始まり、紅蓮弐式との戦闘、そして極めつけはライに負担をかけるCの世界との簡易接続。
 ライが六課のメンバーに過去を見せる際、ライはある役割をこなしていた。それは自分を通じて六課メンバーの意識をCの世界と一時的に繋げるというものであった。これはCの世界と強い繋がりを持つライか、もしくはコードを持つC.C.にしかできないことであった。なのでライは六課のメンバーが実際にどれだけの過去を見ていたのかは正確には把握していなかったりする。

 閑話休題

 自分がこれからもこの機動六課にいられることと過去を受けれいてもらえたことへの安心感から緊張の糸が切れ、あっさりとライは眠気に身を委ねることになった。
 その後、眠ったライを3人は医務室に運び今に至る、というわけである。
 なんとなく自分の今の状況を察したライは時計を確認する。時刻を見るとライが食堂を出るときに見た時刻から、そんなに時間は進んでいなかった。

「………顔を洗ってこよう」

 自分の顔についている涙の跡を感じて、ライは顔を洗うために医務室を後にした。



機動六課・隊舎付近


 顔を洗ったライは眠気がなくなった為、いつもの中庭に向かっていた。
 その途中、ライはある人物達を見つける。それはスバルにエリオにキャロ、そしてフリードとシャリオの4人と1匹であった。彼らを見つけたライは反射的に声をかけようとするが思い留まった。何故ならその4人と1匹は観葉植物の茂みに隠れ、何かを伺っている様子であったのだ。

(………声をかけるべきか、そっとしておくべきか)

 そこでライはその4人と1匹が何を見ているのかが気になり、その視線を追っていく。そこにいたのは、地面に座り話し込んでいるなのはとティアナの2人であった。
 2人は話している途中にクロスミラージュを取り出しセットアップする。その後、なのはが口を動かし何か、言葉を発した。それと同時にクロスミラージュの銃身とグリップを覆うようにブレードが展開される。それを呆然と見るティアナに向けて、なのはは更に言葉を送っていた。なのはの言葉を聞いたティアナは泣き崩れ、なのはに謝り始める。
 その光景を見たライは、クロスミラージュに実装されていたその武装の意味をなんとなく察する。更になのはがティアナに何を言ったのかも予想がついた。

「………余計なお世話だったのかな……」

 ライがそう呟いた瞬間、何故か茂みにいる4人と1匹となのはの視線が集まる。

「えっ」

 そのいきなりの反応にライは困惑する。そしてそのまま数秒が過ぎ、いい加減その場にいるのが辛くなったライは踵を返そうとするがその前に声が上がる。

「待って!」

 その声を発したのはなのはであった。

「少しお話しよう」

 なのはのその言葉を聞きティアナもライの存在に気付く。泣き顔を見られたのが恥ずかしいのかティアナの頬は朱に染まっていた。このままいなくなるのも不味いと感じたライは2人に近づき腰を下ろした。

「えーと、話って?」

「うん、ライ君はあの時どうして私たちの模擬戦に割って入ったのか、ハッキリとした理由を聞いてなかったから聞こうと思って」

「!」

 なのはの質問にティアナは気になっていたことなのか強く反応した。

「……あの時、2人の姿がルルーシュとスザクの姿に被って見えたんだ」

「ルルーシュ君とスザク君に?」

 なのはの確かめるような質問にライは首肯して答える。

「あのブラックリベリオンの時、僕はそれをある意味目の前で見ていたのに2人を止めることができなかった。だけどあの模擬戦の時は違った」

「「……」」

 ライの独白するような言葉を2人は真剣な表情で受け止める。

「僕はあの時と違って何かできるかもしれない。あの2人のようなすれ違いを防げるかもしれない。そう思えた時にはもう2人の間に飛び込んでいた」

 そこまで言うとライは2人に顔を向け、どこか自嘲的な笑みを浮かべ呟いた。

「でもそれは余計なお節介で、無駄なことかもしれなかった」

 今、ティアナの手に収まるクロスミラージュを見てライは心のそこからそう感じていた。自分があの時介入しなくとも、この2人はちゃんと分かり合うことができたのだと思えたのだ。

「そんな――」

「そんなことありません!!」

 ライのその表情を見たなのははライの言葉を否定しようとするが、ティアナの声がなのはの声を遮る。

「ライさんは私たちのために動いてくれました!私たちに理解してもらうために自分の過去も明かしてくれました!それは決してお節介でも、無駄なことでもありません!!」

 そう断言するティアナに驚くライとなのは。そして2人は気付いていなかったが茂みの方の4人と1匹も驚いていた。
 そしてその叫んだ本人は冷静になったのか、羞恥の表情を浮かべ慌て始めていた。その光景が可笑しくて、それでいてどこか愛おしく感じたライは右手をティアナの頭に乗せて軽く撫でながら感謝の言葉を送る。

「ありがとう、そう言ってもらえるのなら僕も安心できた」

「あ――」

 ティアナは自分を撫でるライの姿が亡くなった兄の姿と被って見えた。
 それから少し時間が経ち、ティアナは隊舎に戻っていった。それと同時に茂みの方にあった気配も遠ざかり、その場に残ったのはライとなのはの2人だけであった。
 事ここに至って、ライの心はとても落ち着いていた。機動六課のメンバーはある意味、ナナリーやルルーシュが求めていた他人に優しい世界を自然に目指している人が多いことにライは気付いていた。そんな人たちに会えたことだけでも、ライは自分がこの世界に来たことに感謝していた。
 そのことを考えるライの頬は緩み、優しげな微笑を浮かべていた。その笑顔に隣にいたなのはは見蕩れていた。少しの間静かな時間が流れる。唐突にその静けさを破ったのはなのはであった。

「ねぇ、ライ君にお願いがあるんだけど」

「?」

「ティアナに指揮官の指導をしてもらえないかな?」

「え、でもそれは……」

「あ、別にティアナの教導を放棄するわけじゃないよ」

 なのはの頼みごとにライの表情が困惑したものになる。その理由を予想したなのははすぐに誤解を解こうとする。だがライは元々そんな事を考えてはいなかった。なのはがティアナを見捨てるような人物でないことは十分理解していたのだから。
 ライが困惑したのは自分の指示する戦略と今のティアナが目指す指揮官としての戦略が噛み合っていないと感じたからである。ライがとる戦略は敵をどれだけ効率よく無力化するかに特化している節がある。その方法には敵となった人物を殺害することも手段の一つとして当然のように含まれている。この考え方は六課ではもちろん、管理局でも容認できないものであるとライは思っている。
 しかもティアナが今学ぶべき戦略や戦術は自分と仲間を守り、生き残らせるものであるとライは考えている。だからライはなのはの頼みに難色を示したのだ。

「なのは、僕の指揮は――」

 自分の考えを伝えようとライは口を開くが、その前になのはが自分の考えを説明し始める。

「ライ君には相手の意表を突く考え方をティアナに身につけさせて欲しいの」

「……それは六課の解散後の事を考えて?」

「うん。ティアナの夢は執務官になることだから、そういう考え方も必要になると思って」

 そう説明するなのはの目は真剣であった。だからライも真剣に考え答える。

「考え方を身につけさせる手伝いはするけど、戦い方は教えない。それでもいいかな?」

「うん!」

 なのははそのライの返事に笑顔で答える。その笑顔になのはがライに見蕩れていたようにライもなのはの笑顔に少し見蕩れていた。そしてお互いに気恥ずかしくなったのか、2人はしばらくその場で顔をほんのり赤く染め、目の前に広がるミッドチルダの海を眺めていた。
 2人が喋らなくなった頃、その2人に気付かれずにある会話が行われていた。それはライとなのはのお互いのパートナーである蒼月にパラディン、レイジングハートであった。

『お互いに初心なマスターを持ちましたね、レイジングハート』

『そうですね。マスターは仕事が恋人とも言っても過言ではない人でいしたので、そちらのマスターとの出会いは私としてもいい変化になったと思われます、蒼月』

『だが、マスターは女性の気持ちに対して疎いように感じるのだが。恐らく高町教導官の気持ちにも気づいていないのでは?』

 2機の会話にパラディンが自分の考えを差し挟む。その意見を聞いたレイジングハートは返事をする。

『そのことですが、恐らくマスター自身も自分の気持ちには気付いていないと思われます』

『『………』』

 レイジングハートの返事に蒼月とパラディンの回路が一瞬処理落ち、人間で言うところの思考停止の状態になった。

『何分、マスターは恋愛というものをしたことがありませんでしたので』

『これまでに好意を寄せられたこともなかったのですか?』

 事実を語るレイジングハートに蒼月は質問する。

『御一人だけいました。彼はマスターに魔法の存在を知る切っ掛けを作った人物なのですが、恐らくマスターに好意を寄せていました』

『なら、経験が無いということはないのでは?』

『それについて以前、似たような事をはやて様に言われたことがあったのですが「彼は大事な“お友達”だよ」と答えられまして』

『『…………………………』』

 2機は再び処理落ちする。今度のはさっきよりも長い時間復旧に時間がかかった。

『そう言えば、うちのマスターは他のマスターからも好意を向けられていないか?』

 なんとか復旧したパラディンが蒼月とレイジングハートに尋ねる。

『はい。恐らくですが、フェイト様とはやて様が怪しいかと』

『模擬戦の反応を見るに、シグナム副隊長も含まれるかと』

 レイジングハートはバルディッシュやリィンフォースから聞いた情報を頼りに、そして蒼月は模擬戦後の会話などから推測した発言をする。

『その人たちは自覚を?』

『『………判断しかねます』』

 パラディンの質問にロジックエラーを起こしかけた2機は演算を放棄した。自分達のマスターの今後が少し不安になる相棒たちであった。














―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




ラ「前回はお見苦しいところをお見せしてしまいスイマセン。司会進行役のライです。そして今回はこの2人です」

ナ「ギアス代表のナナリー・ランペルージです。よろしくお願いします」

フェ「こんにちは、リリなの代表のフェイト・テスタロッサ・ハラオウンです」

ラ「自己紹介が終わったところで、2人の方で今回の話で何か質問はあるかな?」

ナ「そうですね~……フェイトさんは何かございますか?」

フェ「えっと………その……(今回ティアナとライに対して好意寄せるような描写があったけどその辺りを詳しく聞きたいかな)」

ラ「?」

ナ(大丈夫ですよ、フェイトさん。ティアナさんがライさんに向ける好意は異性的なものというよりも親愛的なものに近いですから)

フェ(そうなの?)

ナ(はい。それに私としては異性的な好意を持っていただけるのなら、それに越したことはないと思いますし)

フェ(え?!でもナナリーもライのこと――)

ナ(確かにそうですが、自分が好意を寄せる殿方が多くの人に愛されているとういことは寧ろ誇りに思うべきでは?)

フェ(……そうなの、かな?)

ラ「2人とも、さっきから小声で何を話して――」

ナ「ライさん、疑問は解決されたので進行をお願いします」

ラ「?よくわからないけど、解決したのなら進めるよ」

ナ「あっ、そう言えば」

ラ・フェ「「?」」

ナ「レイジングハートさんが仰っていた“彼”というのは何方なのですか?」

フェ「えっと多分ユーノのことだと思うよ」

ナ「ユーノさん…………ですか?」

フェ「うん。実はホテルアグスタにもいたんだけど描写がなかったんだ。でも出番はあるって作者は言ってたよ。」

ナ「そうなんですか」

ラ(そう言えば、僕も名前しか知らないな)




フェ「それじゃあ、次回の話は?」

ラ「ここで前半は終了。次回からは後半に移るみたいだよ」

フェ「なら“あの子”も?」

ラ「うん。そろそろ出番みたい」

ナ「では皆さん、次回もこの作品をよろしくお願いします」





ナ(フェイトさん、ミッドチルダではブリタニアのように一夫多妻製ではないのですか?)

フェ(えっ?)










 
 

 
後書き
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