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ソードアート・オンライン〜Another story〜

作者:じーくw
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SAO編
  第8話 難易度変更してます



 広場の上空を吹き過ぎる風鳴り、NPCの楽団が演奏する市街地のBGMが遠くから近づいて来る。
 そう、このゲームが始まった時、当初の同じ状態に戻ったのだ。だが……あの時とはまるで違う。幾つかのルールを大幅に変えているから。……だからこそ、そのNPC達の陽気な演奏も、不吉なものとして聞こえてくる。

 “パキャァンッ”と言う、何かが砕け散る音が聞こえた。茅場からのプレゼント、手鏡を落とした音だ。それは、そもそもあの手鏡の耐久値が残ってなかったのだろうか? その場にある手鏡全てが連立しているように各プレイヤーに配布されていた手鏡が割れた。

 そして、それがスイッチ、切欠だったのだろうか……? 何か、掠れた声が所々から聞こえた。

「ぃ……いやぁぁ……!」

 その言葉で、ようやく、10,000のプレイヤーが然しかるべき反応を見せた。
 ただの一般人ならば……誰しもが感じるものだ。それは強大な圧力となり周囲に響き渡る。
 
 そう、即ち圧倒的音量で放たれた多重の音声が広大な広場を震わせたのだ。

「嘘だろ……なんだよこれ、嘘だろ! 嘘なんだろ!!」
「ふざけるなよ! 出せ! ここから出せよ!」
「こんなの困る! この後大事な約束があるのよ!」
「嫌ああ! 帰して! うちに帰してよおおお!!」

 それは、悲鳴、怒号、絶叫、罵声……そして何より家に帰りたいと言う懇願。その場にいた人間の慟哭が響き渡る。無理もない。たった数10分でゲームプレイヤーから。

《生きるか死ぬか、Dead-or-Alive》

 そんな状況に身を置かれてしまったのだ。日本は比較的平和な国だ。犯罪が無いわけではないが、事戦争に置いては平和の意思を貫いてきている。それなのに、これはまるで突然映画の世界へと、現実味の無い世界へ……強制的につれてこられたんだと錯覚してしまっていた。それは、無理もない事だった。

「……………」

 その人々の悲鳴に似た叫びが場を渦巻いていた時。リュウキは辺りを見渡していた。この血の様に赤く染まった夕日の空を見上げ、ゆっくりと視線を下へと移し、そして、外の方を視た。

 その視線の先にあるのは、はじまりの街 西の草原(フィールド)

 先ほどキリト達と狩りをしていた場所だ。

 先ほどまでとは明らかに違っていた。……彼の眼に映る世界の姿。世界の流れが明らかに異質なものを示していた。

 データ値の情報量が明らかに違ったのだ。

 それが、不穏な気配となり、身体中に犇々と伝わってきた。

(……まるで、……全く違う。明らかにさっきまでと別物)

 リュウキは、この世界の異変を感じていた。
 

 以前にも彼について少し説明をしたが、ここで改めて説明をする。

 この世界、仮想世界で、現実と限りなく近い世界へと構成されているが、数値の流れで構成されたデジタル世界。

『所詮はデジタル』

 それは常日頃、とは行かなくとも、彼は事あるごとに使っている言葉だった。そこまで言えるのは彼の力にある。

 彼には、視える(・・・)のだ

 事、デジタル・データであれば、彼は全てを視通すことが出来るのだ。それは、本来ゲーム上で決められたスキルの様な物ではなく、システム外の力。

 1つ、例をあげるとすれば、それが敵モンスターのアルゴリズムを解析、視通す事出来る。0と1の流れから、パターンを即時解析する。

 その内容は敵の弱点判明であったり、攻撃値であったり、数値にすれば更に解析する事が出来るのだ。

 特に……本当に本気で集中した時の彼の目には まるで世界の全てが数字で出来ているかのように。上から淀みなく流れていくように見えているのだ。それは空だったり、建物……果てはNPCとプレイヤーの区別もアイコンを確認するまでもない。集中すればする程、明確に相手の弱点を見つけることが出来る。そして、破壊対象の、敵を殲滅する効率も通常よりも遥かに上げられる。

 ここまでを見れば、圧倒的な力だと言えるだろう。……だが、勿論力にはメリットだけではなく、デメリットも当然ある。

 強く集中するが故に、己の全神経を使うのだ。脳をフルに回転させている故にかなり疲労感が襲うのだ。

 だからこそ、これは乱用は出来そうには無い。

 脳でプレイしている世界だからこそ、一瞬の気の緩みが、ゲームオーバー……即ち、死に直結する。

 だからこそ、何をするにしても、この力を使うのは基本的に短時間おこなわなければならないだろう。そして、その力を駆使したからこそ、この世界に異常が来たしている事、それが直ぐに判ったのだ。 

 そして、()が異常なのかも判る。

(この感じは……恐らく……)

 リュウキの中で結論は直ぐに出ていた。頭の中で様々な事を考えていた時。

「おい! 来いっ! クライン! リュウキ!!」

 キリトが2人の手をとり走り出した。

 この場の混乱は、まだまだ極限状態だった。軽く見ただけだが、自分達以外に今動き出すものは誰もいなかった。殆どのプレイヤーはただただ、その場で叫ぶだけだった。それは咆哮、慟哭の様に、このはじまりの街の空に響き渡る。

 10,000人の慟哭は、世界をも揺らす。それ程のものだったのだ。




~はじまりの街・路地裏~

 
 人気の無い事を念入りに確認したキリトは、2人の目を見据えて言った。

「……クラインは特によく聞いてほしい。オレの提案だ。俺はすぐに次の村へ行く。お前達も来い」
「えっ?」

 突然の申し出に、クラインはキリトの言う事が理解できなかった。いや、言っている意味は判る。なぜ、今すぐに次の村に行かなければならないのかが判らなかったのだ。比較的、冷静なクラインだったが そこまでは理解出来なかった。

「………」

 クラインが必死にキリトの言葉を聞き、考えていた時。 リュウキはただ、目を瞑り腕を組んでいた。彼もクライン同様に考えていたのだ。その内容は違うが。

「茅場アイツの言う事が本当なら、この世界で生き残るのにはひたすら自分自身を強化しなくちゃならない。VRMMOが共通する理想。つまり……オレ達が得られる金や経験値は限られているんだ」
「……一般の家庭ゲームではなく、オンラインゲームならではのものだな。……簡単に強化出来ない様に、……簡単に攻略し、世界を終わらせないように。そして、尚且つ公平である為に……な。運営側からすれば、少しでも長く多くのプレイヤーにゲームをプレイしてもらいたいんだ。……それは当然の措置だ」

 キリトに続いて、リュウキも目を瞑ったままそう答えた。そして、更に続ける。

「……そして、この異常時。今は混乱しているから誰も動かないが、キリトと同じ考えに至り、すぐさま行動開始するだろう。少なくとも、βテスターであれば、これまでの有利性アドバンテージもある。……そして、遅れて他の大勢のプレイヤーもだ。……その勢いで、はじまりの街の周囲で狩りを行えば、PoP率も異常に下がる。……レベルを上げる効率、金を稼ぐ効率は悪くなるだろう」

 リュウキの言葉、それは理解出来た。当然だろう、一度に行なえるデータの処理量には当然限界がある。人数が多ければ多いほど、その処理が追いつかなくなるから。

「なら……つまりどういうこった?」

 クラインは聞き返した。これからの事、それが一番重要だからだ。次の村にいく理由、それが知りたいのだ。

「……つまりはこうだ。はじまりの街周辺のモンスターは……経験値・金は全て狩り尽くされるだろうと言う事。だからこそ、今のうちに拠点を次の村にした方がいいんだ。オレは、道も危険なポイントも全部知っているから、レベル1でも安全にいける」

 キリトはそう説明した。まだ、未踏破の場所であれば、誰しもが慎重になる。情報があるか、否かでは天地の差と言ってもいいだろう。だから、情報のある自分と一緒に来いとキリトは言った様だ。

 この世界が、デス・ゲームとなった以上、安易な選択はしない方が良いと思えるが、小人数であれば切り抜けられる、とキリトは思っていたからだ。

 それに、半日をかけ、クラインのゲームの腕も上がってきているから。

 キリトの言葉は、クラインだけではなくリュウキも聞いていた……が、彼はまだ、何も言わず腕を組んで目を瞑っていた。

 クラインは暫く沈黙した後……ゆっくりと口を開いた。

「で……、でもよ。オレは、前のゲームでつるんでいた奴らと徹夜で並んでこのゲームを買ったんだ。あいつら……広場にいるはずなんだ。……奴らを置いてはいけねえ」

 キリトの誘いに乗るか、否か。
 クラインの選択、それは≪友達を見捨てれない≫と言うものだった。……誘いには乗れない方を選択した。

 ……非常時には、必ずと言っていい程に人間性がむき出しになるものなのだ。どんな聖人君子であったとしても、命を天秤にかければ、自己を優先させるのが殆どだと言ってもいい。

 ……リュウキは、彼の、……クラウンの言葉を聞いて、目を開いていた。そして、心底思った。

(こんな状況じゃなかったら……こいつ等とプレイして…………。楽しかったかもしれないな。本当に、楽しかったかもしれない)

 そう、強く思っていたのだ。クラインの言葉に嘘偽りがあるとは到底思えない。

 あの時(・・・)の、嘘で塗り固められた連中(・・)とは、彼は クラインはまるで違った。

 そして、これが演技で出来るとも到底思えないのだ。

「ッ……」

 キリトは、クラインの言葉を聴いて、クラインの選択を聴いて、悩んでいた。

――……3人でも本来は多すぎる。

 だが、片方の1人の腕は超一流であり それは自分を遥かに凌駕している。そして、この層の情報も自分と同等以上に持っているだろう。だから、多いと思うが、3人でもとりあえず問題ない。

 だが、更に人数が増えるとなると……全員をカバーしきれるかどうかがわからないのだ。

 もう、命を懸けた戦いになってしまったのだから、安易な結論は出せない。仲間を作り、入れたとして彼等が上手くついてこられるかは判らない。そんな一瞬の油断、気の迷いで全てが終わってもおかしくないのだ。

 仮想世界、自分自身の身体でプレイしている世界だからこそ……、それはよく知っている。これまでは、死んだとしても、罰則ペナルティを受けて、苦笑いをするだけで済んだが、今回は違うのだ。

「悪りぃ……。お前らにこれ以上世話になるわけにはいかねぇな。オレの事は気にせずに、次の村へいってくれ」

 クラインはキリトの表情から全て悟った。自分たちでその道を超えるのは厳しいにだと判断したのだ。

 そして、行け(・・)とも言った。

 置いていくな、と言ってもおかしくない状況で、彼は行け(・・)といったのだ。

「……忠告しておこう。クライン」

 リュウキは目を開いてクラインの方を見た。

「ん? 何だリュウキ」

 そんな彼だからこそ、リュウキは言いたかった。この世界で生きる為に、必要不可欠な心構え。β時代に培ってきたとも言える心構えを。

「RPGの有効な攻略は、何をおいても時間をかける事。レベリング・金稼ぎだ。この世界においての全てだと言っていい程重要な要素(ファクター)はスキルの熟練度だ。じっくりとあげるんだ。……そして、その場に、そのレベルに見合った装備だ。腕に自信がなくとも体力HPさえ減らなきゃいいんだ。HPさえ0にならなければ決して死なない。 致死性のトラップは、この層ではβ時代にはみなかった。……つまり、HPさえ減らなければ、死ぬ筈がないんだ。だからこそだ。……初めはじっくりといけ。しっかりと足元を見ろ。……そして、何よりもここアインクラッドのフィールド及び迷宮区の安全マージンは層の数字+5~10はレベルがいる筈だ。……何もわからない以上は慎重を志せよ」

 リュウキは真剣な表情でそういっていた。

 クラインは、少し戸惑っていた。これまでプレイしていた時の印象、彼はどちらかと言えば無愛想だった。……そんなリュウキがここまで言ってくれている。これまでを考えたら、想像がつきにくい。
だが……ここまで言ってくれる以上、この男は自分たちを心配してくれている。
 クラインはそう感じ取っていたのだ。

「へっ……へへへっ!大丈夫だっ!オレはこう見えて前のゲームじゃギルドの頭張ってたんだ!その点はしっかりしてみせらぁ!それにお前らに教わったテクだって今日だけで大量にある。何とかしてみせらぁ!」
「そうか、ギルドの頭を……。成程、今のは愚問だったな」

 仲間の命を背負っている以上は、そのくらいは分けなくするのだろう。例えそれが真の命を懸ける戦いとなっても。

「いや、そうでもねぇさ。ありがとうよ。キリトもな。……オレぁもう行く。あいつ等が待っているからな」

 クラインは、名残惜しそうだが……路地裏から、あの広場へと続く通路へと向いた。

「ああ……何かあったら、メッセージをくれよ?」

 キリトはまだ、表情が暗かった。クライン達を、見捨てなければならないと……感じているからだろう。

「ああ、わかった。……キリトよ。おめーほんとは案外可愛い顔してんな?まっ、どっちかと言えば、オレはリュウキの顔の方が好みだけどな?」

 クラインは、そう言うと、キリトとリュウキ、2人の顔を見比べていた。クラインは、そのまま にやっ!……と笑う顔が、正直、それを見てリュウキは訝しむ。

「……お前はホモか。やはり」

 そして、リュウキは僅かずつだが後退る。自分にそんな趣味は無いからだ。

 それを見てクラインは思わず反論をした。

「ちげーーよ! 俺なりのあれだよ! 気遣いってヤツだ! 判れって!」

 クラインとリュウキのやり取りを見てて、少しだが……キリトにも笑みが見え始めた。

「はは……。お前もその野武士面の方が10倍似合ってるよ!」
「言ったな?このやろうがっ!」
「……まあ、キリトの言い方だったら、間違えられないだろうな。クラインのは……」
「……っておい!まだ言うかリュウキ!だからずっと、言ってるだろうっ!オレはノーマルだ!!アブノーマルな世界に興味はねぇっ!」

 その時……3人は笑っていた。あんな事があって、笑えると言うのは幸運な事なのだと。
後に知ることになる。


 そうして、その場からクラインが姿を消した。


「……それで、リュウキはどうする?」

 キリトがはそう聞いた。聞いたのだが、もう結論はわかっていた気がした。なぜなら、β出身者なら経験者ならば この状況で今の方法が最適だと判断するはずだ。だが、リュウキは違った。普通のプレイヤーには程遠いものをもっている。この状況でこれ以上無いほどの技量なのだ。
だけど。

「オレは、とりあえずは別行動だ。……少し確認したい事があるからな」

 リュウキはそう答えていた。キリトもそれに頷く

「そうか……。わかった。リュウキも何かあればメッセをくれよ……」
「ああ……」

 リュウキはキリトの表情を見て軽くキリトの胸を叩いた。

「そんな顔するな。それにオレに勝つんだろ?なら、オレと行動を共にしていて、オレに勝てると思うのか?」

 その後、にやりと笑ってみせた。今の状況での言葉じゃない、と思う。 だけど初めて、他人に気が利くような言葉を言えたと、リュウキは思えていた。

「そうだったな。……オレはお前に勝つさ! それはβん時にも思っていた事だ」
「望むところ、だ。……でも、本来SAOは競うジャンルじゃないんだがな」

 そう言って苦笑いをしていた。

「オレ、お前が笑うのはじめて見た気がするよ」
「………ッ」

 リュウキは顔を背けた。どうやら、リュウキは相当なシャイなのだあろう、とキリトはこの時そう思った。



「……キリト。最後に1つ言っておく事がある」

 リュウキは顔をそむけたまま続けた。

「この世界を、βの時と同じものだと思うな」
「……どう言う事だ。」

 キリトは、リュウキが言っていることが判らなかった様だ。

「内容自体は殆ど同じだろう。β期間から正式サービスまで、その間の時間を考えても大幅に改良するのは仕事量も勿論、時間も足りない。 だが……数字を少し変えるだけで容易に変えられるものはあるんだ」

 キリトはそこまで言えばわかったようだ。

「ゲーム難易度の……上方修正……か? 敵の能力値の上方修正」

 Lvやその他のステータスの数値。その全ては製作者側であれば安易に変更する事が出来るだろう。だから……、キリトは判った。リュウキもその言葉を訊いて頷く。

「……そう言うことだ。お前がオレを信じれるなら……次の街へ行ってそこを拠点にする時も気をつけろ。一瞬のミスが命取りになる……。死ぬなよ」
「……お前が言うと、心底震えるよ。わかった。……互いにな」

 そして、互いに見合って。

「また会おう。キリト」
「ああ……死ぬなよ。リュウキも」
「誰に言っているつもりだ? 問題ない」

 そう言っていた。

 それは時間にして数分。

 クラインと一緒にいた時を含めても。本当は名残惜しかった。キリトもは勿論、リュウキ自身も。リュウキは心では本当にそう思っていたようだ。

 そして、2人は別れた。





~第1層 東草原~



 リュウキは、キリトやクラインと別れた後、自身の推測が正しいかどうかを確認する為に草原、フィールドに来ていた。

「………やはり違う、な」

 リュウキは東草原で出会ったモンスターに強く感じた。自分は、もう何100何1000と、この敵と戦ってきた。だからこそ、余計に判るのだ。相手の行動のパターンが違うし、何よりも……HPや攻撃力・敏捷性、堅さ。全てにおいて違った。

 それは、考えられる中で最悪な修正だと思える。

 パニックになっている今は特にそうだ。

「まずい………な」

 大多数は感じないだろうこの感じ。元βテスター達や他のMMO出身者なら。デスゲームとわかっても、暫くでもすれば第1層、即ち初めのエリアは甘く見ることは、間違いないだろう。

「………下手をしたら今日だけでも何人死ぬかわからないかもしれない」

 このゲームを攻略しようと動き出す者達。暫くは、頭を冷やし動かないでいてくれた方が……この際良いのかもしれない。

「………オレができる事なんてたかが知れてるが」

 誰とも関わりあわずに、過ごしてきた。ネット上では勿論、現実世界でだってそうだ。
 ただ……1人を除いて。

「ははっ……ちょっとでも、現実世界に戻りたいよって、思ったの初めてかもしれないよ。爺や」

 リュウキは空を見上げた。あの世界に残してきた《親》の事を思い出していた。

「でも……多分厳しそうだよ。爺や。今回は……。βテストの時以上の期間は会えない……」

 空を見上げているリュウキは、寂しそうな顔をしてた。そして、一筋の涙が流れる。

 この世界で、感情は、……涙は我慢できないのだ。

「本当に心配かけちゃう、よね……。爺や、ごめんなさい……」

 リュウキはそう言っていた。今周辺に誰もいなかった事は、彼にとって幸運だった。

 その表情のまま……ボアを攻撃し、撃退していった。

 また、爺やにまた会う為に、ちゃんと謝る為に、リュウキは走り出していったのだった。





 
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