自由の灯り
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第十七話
前書き
久々の投稿です
いろいろあって遅れました
すいません
ここは・・・どこ?
たしか僕は・・・
暗闇の中にいるディアはただただ空間をさ迷っていた。
しばらくボーッとしていると、ディアの目の前で黒い物体が集束していきだんだんと人の形になっていく。
・・・!!
黒い物体が完全な人の姿になると、徐々に体や髪などに色が付いていきディアは鳥肌が立ち恐怖を感じながら、震え上がる。
自分が貫かれた恐怖を・・・貫いた張本人が目の前で姿を現したからだ。
サレ!!
恐怖を言葉にすると、サレは不敵に笑いながら剣を抜き取り一歩一歩ディアに歩みよってくる。
ディアは後退しようとするが上手く体が動かず、どんどんサレとの距離が縮まっていく。
い・・嫌だ・・来ないで!
ディアの制止の声も聞かず、サレはディアの目の前まで来ると剣を振り上げる。
ディアはガクガク震えながら、眼を瞑り怯える。
そしてそのままサレの剣がディアに向かって降り下ろされる。
うあぁぁ!!!
「あぁぁ!!・・・はぁ・・はぁ、ここは?」
ディアが叫びながらガバッと起き上がるとそこは医務室で先程のは全て夢だとわかり、ホッと息を吐く。
しばらくすると何で自分が医務室にいるのだろうと思い、自分の記憶を辿る。
「そっか・・僕はサレに刺されて・・・皆は?」
そんなことを考えていると、突然医務室のドアが開き水で濡らしたタオルを持っていたカノンノが呆然としながら立ち尽くしていた。
ディアは首を傾げながらカノンノを見ていると、やがてカノンノの両目から涙が溢れてきた。
「ディ・・ア・・ディア!!」
「うわぁ!痛い!痛い痛いよカノンノ!」
カノンノは泣きながらディアに飛び付き抱き締めてくると、ディアはまだ傷が癒えていないようで腹部に強烈な痛みが走り、カノンノに制止の声をかける。
「カノンノ痛いよ!落ち着いて!」
「ふぁ?・・あ!ごめんね!傷が癒えてないんだよね、けど凄く嬉しくて、ディアは1週間以上意識を失ってたんだよ」
そんなに眠ってたのかとディアは驚いていると、未だに涙を流しながらさっきよりも軽めに抱きついているカノンノを見て、そんなに心配をかけたんだと思い、カノンノの頭を撫でる。
「カノンノ心配をかけてごめんね」
「うん、すっごく心配したんだよ、けど本当によかった」
しばらくその状態でいるとディアのお腹がぐぅ~と鳴り、恥ずかしそうにしながら顔が赤くなる。
カノンノはディアを見ると微笑みながら、ディアから離れる。
「ご飯作って来てあげるね、ディアは何が食べたい?」
「カノンノが作ってくれるなら何でもいいよ、ありがとうカノンノ」
「うん!じゃあ待っててね!」
カノンノは笑顔で医務室を出ていき、ディアはカノンノが見えなくなると、一度立ち上がろうと思い体に力を入れてみる。
「!!・・うぐぅ!!」
しかし、腹部にはカノンノに抱き締められた時よりも強烈な激痛が走り、ディアは痛みに耐えきれずそのまま横になる。
自分の体を見てみると、何重にも巻き付けられた包帯があり、カノンノがずっとここに居た痕跡がある。
「カノンノ・・・ずっと僕のこと見ててくれたのかな?後でもう一度お礼を言おう」
「ディアさん!目が覚めたんですね!」
「あ、アニー、目は覚めたけど、全く動けないや」
医務室に入って来たアニーを見てディアは右手で自分の頭を掻くと、アニーは「仕方ありませんよ」といい、側にあった椅子に座る。
アニーがディアの体を見てから、しばらく考え込むと、まだ完治するのには時間がかかると言われ、ディアは了解すると、アニーが治療したのか聞いてみる。
「はい、ほかにもエステルさん、ミントさんが手伝ってくれました」
「そっか・・後で二人にもお礼を言わないと、アニーもありがとう」
「お礼なんていいですよ、それにカノンノはずっとあなたの側に居てくれたからカノンノにお礼を言ってください」
アニーはそういうと仕事があると言い残すと、そのまま医務室を出ていく。
医務室に一人になったディアは改めてカノンノのことを考え始める。
「カノンノ・・そんなに僕の面倒見てくれたんだね」
いろいろ考えていると、カノンノが両手にお盆を運んで医務室に入って来た。
お盆にはオムライスとディアの大好きなココアが乗っていた。
「ディア、お待たせ~」
「お帰りカノンノ、それとありがとう、ずっと僕の側に居てくれたってアニーが」
「大丈夫だよ、それに私がディアの看病したかったらだけだし」
カノンノは微笑みながら料理を持ってくると、ディアは動こうにも動けないことに気付きどうするか考え込む。
カノンノはディアが考え込んでいるのに気付き、質問してみる。
「どうしたの?」
「えっと、体が動かなくて、ベッドに寄りかかることならできるんだけど」
ディアはなんとか体を動かし壁に寄りかかるが、そこからは動けないという態度を見せる。
カノンノもしばらく考え込むと、一つ考えが浮かんだような顔をするが、すぐに顔が真っ赤に染まっていき、俯いてしまう。
「カノンノ?どうしたの?」
「・・・」
しばらくカノンノは黙りこんでいると、意を決したように赤くなってる顔を上げスプーンを持ってオムライスをすくうと、そのままディアの口元に運ぶ。
ディアは一瞬何がどうしたのかわからない様子でカノンノを見ていると、カノンノは小さな声で答える。
「その・・・私が食べさせてあげる、だから、あ、あ~ん」
カノンノはもう今にも倒れるんじゃないかというくらい、顔が真っ赤になっていると、ディアも少し顔を赤くしながら、口を開けてオムライスを食べる。
「う・・うん、凄く美味しいよ」
「本当?・・よかったぁ」
カノンノは安心した表情を浮かべると、少し慣れたのかまたオムライスをすくうとディアの口元に運び、またディアもそれを食べて、時間をかけてオムライスを食べ終わらせる。
ココアも飲む終わると、二人はすることが無くなり、しばらくボーッとしているとディアが話しかけてきた。
「ねえカノンノ、ディセンダーって何?前にウィルさんから名前だけ聞いたんだけど・・」
「ディセンダーのお話?えっとディセンダーは世界樹から生まれた無垢な存在なの、生まれた時から記憶がなくて、不可能も恐れも知らなくて、いずれか世界を救ってまた世界樹に戻っていくんだって」
「へえ~、記憶がないのは僕と同じだね」
ディアが天井を見上げながら呟くと、突然ディアの頭に激痛が走る。
あまりの痛みにディアは両手で頭を押さえると、カノンノが慌てながらディアに近付く。
「うっぐぅ!」
「ディア!しっかりして!大丈夫!!」
カノンノの叫び声は耳に届かず頭の中で知らない誰かの声が聴こえてくる。
・・・たは・・る・・・・き・・
「うぅ・・・!(誰の声?)」
腹部の痛みも関係なくうずくまると、今度は違う別の人の声が聴こえてくる。
ル・・・・ぬ・・!
今度の声は聞き覚えがあった、アドリビトムの一員で一度戦ったヴェント・デュランの声だった。
しばらくすると、そのまま頭痛は治まり、声も聴こえなくなった。
「はぁ・・・はぁ・・」
「ディア!」
「だ・・大丈夫・・もう治まったから」
涙を流しているカノンノにディアは大丈夫だといいながら、また腹部に痛みが走って来たのでベッドに横になる。
涙をポロポロ流しているカノンノの頬を撫でながらディアは何度も「大丈夫だよ」といいカノンノを落ち着かせる。
「よかったぁ、ディア・・」
「心配してくれてありがとうカノンノ、僕は大丈夫だから」
そう言うと、ディアは先程の声を思い出す。
(一人はわからなかったけどもう一人はヴェント?何でヴェントの声が・・けど今はいいか今はカノンノを安心させたほうがいいだろうし)
そう考えたディアはまたカノンノの頬を撫で始める。
ディアは心の中でだんだんとわからない感情が出てきたのに気付き、これがなんなのか疑問に思い始めた。
(どうしてだろ?皆大切な友達なのに、カノンノだけは違う気がする、カノンノが泣く姿を見たくないし、この命にかえてもカノンノを守りたい、とにかくカノンノだけが何か違う感じがする、今度マルタ辺りに聞いてみようかな?)
続く
後書き
久々は疲れます
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