三つのオレンジの恋
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第三幕その一
第三幕その一
第三幕 大団円
王子達はようやく自分達の城に辿り着いた。その頃はもう夜だった。
「ここがなのですね」
「うん、そうだよ」
こうニネッタに答える王子だった。
「ここがね。僕のお城なんだ」
「そうなの。城壁も高かったしお城の中も」
「気に入ってもらえたかな」
「ええ」
にこりと微笑んで王子に答える。彼等は今城の庭にいる。
「とても」
「それでは殿下」
道化師が二人の前に出て来て恭しく告げてきた。
「私はまず先に」
「父上に伝えてくれるんだね」
「はい、殿下と姫様のことを」
伝えるというのである。
「行って参りますので」
「頼むよ。それじゃあね」
「はい、それでは」
こうして彼は先に行った。そして後には王子とニネッタが残ったが二人もすぐに大広間に向かうのだった。
「じゃあ行こう」
「お城の中になのね」
「そうさ」
彼もまたにこりと笑って言うのだった。
「中にね。そうしてね」
「それで私達は永遠に」
「結ばれるんだ」
こう二人で言葉を交わす。
「それでいいよね」
「ええ、勿論よ」
もうその心はつながっている二人だった。
「だからここまで来たから」
「そうだね。だからこそだね」
恋はそのまま健在だった。そうして大広間に行こうとする。しかしそこにこっそりとスメラルディーナが出て来て王女の頭に懐から出したピンを刺す。すると。
王女の姿は消えてそこには一匹の大鼠がいた。鼠はすぐに何処かに消えた。
王子が大広間に辿り着き道化師と共に王に挨拶をする。そこには家臣達もいれば貴族達も居並んでいる。当然クラリーチェやレアンドルもいる。
「上手くいったわね」
「はい」
その中でクラリーチェとレアンドルは二人の後ろに控えるスメラルディーナを見て笑っている。服は王女のものだったがしるのは彼女なのである。
「あの、父上」
「何ともうしましょうか」
王子と道化師もまた彼女を見て唖然としながら玉座にいる王に対して言うのだった。
「この人ですが」
「違うのですが」
王に対して話す。
「ニネッタ王女ではありません」
「この人は黒人ですが」
「黒人の国もあるぞ」
だが王はその二人に対してこう言うのだった。
「ならば黒人の王女がいても当然だ」
「いえ、そうではなくてです」
「この王女は別人です」
こう王に話すのである。
「私が連れて来たのは黒人ではありません」
「何故この人が?誰なのでしょうか」
「そうだ。一体誰なんだ?」
王子も戸惑いながら道化師に対して問う。
「君は知っているか?」
「いえ、こうした人は知りません」
道化師も知らないことだった。
「一体誰なのか」
「わからない。本当に誰なんだ」
「私がその三つのオレンジの中に封じられていた姫です」
しかしスメラルディーナはこう王に対して申し上げるのだった。
「そして王子は」
「僕は?」
「私と結婚すると約束されたのです」
さらに王に対して申し上げた。
「間違いなく」
「それは事実だ」
このことは王子も認めた。
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