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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第5話:人が居れば情報が集まる

(ブランカ)
リューノSIDE

森に住む口の悪いオジサンに促されるままブランカという城下町に辿り着いた私達。
言うだけあって確かに人が大勢居る……
でもお父さんが統治するグランバニアに比べたら、この町も田舎にしか見えないわ!

兎に角お父さんと合流する事が先決なので、シンと一緒に人々へ情報を聞き回ろうと思います。
お父さんとさえ合流出来れば、シンの村を滅ぼした奴等なんてボコボコにしてもらうんだから!

そんな事を思いながら城下町を歩いていると、お城から完全武装した頭の悪そうな連中が数人、チームを組んで出てきました。
以前お父さんに『こう言う連中は武力馬鹿だから、相手にしない方が良いよ(笑)』って言われたので、シカトしようと思ったのですが……そんな事知らないシンが勝手に話しかけちゃいました。

「あの……戦闘準備万全ですけど、何処かで戦争でもあるんですか?」
「おや……君は旅の者かい? だとしたら知らないのだろうけど、少し前にこの町の北にある名も無き村が魔族に滅ぼされてね……」
私達が居た村の事だわ。

「今までその村の存在も知らなかったんだけど、人々が殺されたとあっては黙っておけないだろ? だからブランカ国王陛下が僕達を招集したのさ。正義の勇者一行をね!」
リーダー格的な剣士が苛つく爽やかさで状況を話してくる。

「俺様達にかかりゃ、魔族共なんてイチコロだぜ! がはははは、帰ってくりゃ俺達は英雄だ! 褒美をたんまり貰って、ハーレムを造ってやるぜ!」
一際頭の悪そうな筋肉男が、欲望丸出し馬鹿丸出しで大笑いする。
マリーだったらこう言うだろう……『アソコ丸出しじゃないだけマシね!』って……
アイツ下品だから。

「じゃぁ僕等は先を急ぐから……」
そう言って馬鹿ご一行様は笑い声と共に去っていった。
間違いなくアイツ等は死ぬわね。

気を取り直し人々に話を聞く事に……
すると城のお堀で佇む老人を発見。
ポピー姉様が『お年寄りの話は為になるものよ』って言ってたので、話を聞こうと思います。

「あの、お爺さん……北の村が魔族に滅ぼされた事について、何か知ってますか?」
「何と、とうとうあの村が魔族に見つかってしもうたか!?」
どうやら何かを知っている様子……
私はシンと頷き合い、黙って老人の話を聞く事に……

「もう10年以上前の事じゃが……木こりの親子があの森に住んでおってな。ある時、息子の方が森の中で傷付き帰れなくなった天空人の女を連れ帰ったのじゃ……天空人の女は最初こそ人間を毛嫌いしておったのじゃが、木こりの息子の優しさに、何時の間にか心を許しておったそうじゃ。そして二人の間には男の子が生まれたという……」

此方から話を聞き始めた手前、途中で遮る訳にも行かず……
随分と長い昔話をされ続ける。
そう言えばポピー姉様も言ってたっけ……『ただし老人の話は長いから要注意よ♥』って……

「男の子が生まれ、最初の内は幸せに暮らしておったのじゃが……天空城から使者が訪れて、天空人の女を連れ帰ってしもうたのじゃ! 木こりの息子は嘆き、妻を連れ帰る為に天空城を目指したそうなのじゃが……」

なるほど……木こりの息子はそのまま帰らぬ人になったのね。
……って、天空人ってヒゲメガネ達の事よね!?
ムカツク連中ねアイツ等……帰ったらお父さんに言いつけて、ギャフンと言わせてもらおう!

ご老人の有難いお話が一区切りしたところで、早々にその場を立ち去る私達。
ふとシンを見ると、さっきの老人の話を真剣に考えていた。
そっか……天空の勇者だし、もしかしたらシンの本当のご両親の事かもしれないのね。

「シン……さっきのお爺さんの話が真実なのかを確かめる為、一度天空城へ行った方が良いわね! 私のお父さんは天空人のお偉いさんを舎弟にしているから、早く合流して天空城への行き方を聞きましょう」

「え!? リューノちゃんのお父さんは、天空人を舎弟にしてるの? 一体何者なの?」
「私のお父さんは、世界一のイケメンよ! だから大魔王も大いなる神々も、皆舎弟なの! 解るでしょ!?」

「いや……イマイチ良く解らないけど、何か凄い人な事は解る」
「それで良いのよ。私のお父さんの事を口で説明するのは難しいから、何となく解ればOKなのよ」
ずっと暗い雰囲気が漂っていたので、私は殊更明るい口調で意味不明な説明をした。

うん。お陰でやっと笑い声が戻ってきた。
何時までも落ち込んでらんないし、少しでも明るい気持ちで旅をした方が良いわよね!
きっとポピー姉様も同じ事を言ってくれるはずよ!

リューノSIDE END



(ブランカ)
シンSIDE

リューノちゃんが気を使って雰囲気を明るくしてくれているのが分かる。
俺も彼女の悲しい顔は見たくないので、乗せられる様に明るく笑い声を上げた。
空元気でも笑っていれば本心になるはずだ!

さて……
更に情報収集をしていると、トルネコさんという凄い人の情報を得る。
何でも私財を投じ、世界一の都市エンドールと、ここブランカを繋ぐトンネルを掘ったとか……

そしてそのエンドールでは、少し前に武術大会が催されていたらしく、優勝したサントハイム王国のお姫様と一緒に、リューノちゃんのお父さんらしき人物が居たという。
それを聞いたリューノちゃんは、直ぐにでもエンドールへ行こうと言い出した。

気持ちは解るし、エンドール行きは決定事項だけど……
もう既に空は暗くなっており、今日は宿屋に泊まって明日朝一番で出発する事になった。
だが、ここで新たなる問題に直面する。

宿屋に泊まりたくても、お金を全然持ってないのだ!
俺の銅の剣を売ろうかと思ったが、世界を旅するのに武器は必要で、リューノちゃんの魔法(ヒャド)と拙い鞭攻撃だけでは、大変危険極まりないのだ!

しょうがないから野宿しようって話したら、凄く真剣な目つきになって近くの道具屋へダッシュするリューノちゃん。
俺も慌てて後を追う……
一体どうしたのだろうか?

「あのオジサン!」
「いらっしゃい可愛いお嬢さん! 何か入り用かな?」
入り用も何も、欲しい物があってもお金がないから買えないんだよ……

「このイヤリング……買って下さい!」
「ほう……これは随分と高価な代物だねぇ……」
確かに俺もそう思ってた……
宝石とかの価値は良く判らないけど、見た感じからして凄く高そうなイヤリングだ。

「う~ん……これなら4000ゴールドで買い取るよ。どうだい、売るかい?」
「よ、4000……そ、それは大好きなお父さんに誕生日プレゼントで貰った大切なイヤリングです! そのお父さんとはぐれ、捜す旅をする為にお金が必要になりました……本当は売りたくないのだけど、どうしてもお金が必要なんです。だからお願いします……もうちょっと高くして下さい……」

リューノちゃんは泣きながら道具屋の主人に懇願する……
本当に大切な物を手放さねばならない事態に、心底涙を流している。
俺はどうする事も出来ない……だからこそ何としても彼女のお父さんを見つけないと!

シンSIDE END



 
 

 
後書き
リュカ伝1と話数だけは並びました。
その2が193話と200話に少しだけ足りなかったので……
目指せ200話越え!

なお、次話は早くもエンドールです。
ワンちゃんが再登場します。 
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