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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第1章
旧校舎のディアボロス
   第10話 契約取り

 
前書き
前回は明日夏の実力を少し書きました。
あれで少しです。
 

 
 放課後、俺と千秋はオカ研に来ていた。
 イッセーは遅れてくる。松田と元浜に問い詰められているからだ。部長や副部長が所属しているオカ研に入部してるのが気に入らないらしい。まあ、部長と副部長は学園のほとんどの生徒から二大お姉さまなんて呼ばれるくらい人気者だからな。

「昨日はすみませんでした」
「いえ、気にしなくていいわ」
「ありがとうございます」

 俺が昨日仕留めた『はぐれ悪魔祓い(エクソシスト)』の後処理の事を話す。

「それにしても、『はぐれ悪魔祓い(エクソシスト)』五人を一人で倒してしまうなんてね」
「いえ」
「それにしても、二人ほど心臓が潰されていたけど、何をしたの?」
「ただ八極拳を打ち込んだだけです」
「八極拳?たしか中国武術よね。でも、それだけじゃ…」

 先輩の疑問ももっともだろう。いくら中国武術の中でトップクラスの威力があるからって、人を殺せるほどじゃない。

「明日夏兄は術で身体能力を強化してるんです」

 千秋が俺の八極拳のからくりの説明をする。

「なるほどね」

 部長もそれで納得していた。

「……たぶん、一日掛ければ、学園を破壊し尽くす事ができると思います」

 千秋が物騒な事を言う。
 ……たぶん、冗談だろうが……できそうだから、否定できない。

「「「「……それ、洒落にならないわよ(ですわよ)(よ)(です)……」」」」

 みんなに若干引かれてしまう。

「……やりませんよ」

 とりあえず、そう言うと…。

「「「「……できる事は否定しないのね(のですね)(んだ)(のですか)……」」」」

 さらに引かれてしまった。

「遅れましたぁ」

 そんな空気の中、イッセーがようやく来た。


ー○●○ー


 深夜、俺と明日夏と千秋はオカ研に向かっていた。

「なあ、明日夏」
「なんだ?」
「それ、なんだ?」

 俺は明日夏が持っている紙袋を指差しながら訊く。

「ああ、残り物で作った夜食だ」
「おお!お前の料理か!」

 明日夏は家事が趣味である。特に料理がだ。おまけに結構うまい。

「ま、いっぱい作ったから、みんなで食べてくれ」

 これは楽しみだ。
 そんな感じで俺達はオカ研に向かった。


ー○●○ー


「イッセー、今日から貴方も契約取りよ」
「マジっすか!?」

 来た!ついに来た!
 悪魔の仕事は例のチラシから悪魔を呼び出した人間と契約を結び、代価をもらうことで、爵位を得るための下積みの一つだ。
これで俺の野望にまた一歩近づいたぜ!

「小猫に予約契約が二件入ってしまったの。両方行くのは難しいから、片方は貴方に任せるわ」
「……よろしくお願いします」

 ペコリと頭を下げる小猫ちゃん。
 よし、がんばるぜ!


ー○●○ー


 イッセーが部室にある魔方陣の上で魔方陣ジャンプの準備をしていた。
 ……なんでだ?何故か嫌な予感がする?
 そして、俺の予感は当たることになる。


ー○●○ー


「じゃあ、行ってきなさい」
「はい!」

 さぁ、行くぜ!
 魔方陣が光りだし、俺は目を瞑った。
 しばらくそうしていたが、特に変化を感じられなかった。
 あれ、移動したのか?
 恐る恐る目を開けてみると、そこは部室だった。


ー○●○ー


 イッセーがジャンプできなかった事に困惑している。

「……やっぱ、こうなったか」
「どう言う事だよ!?」
「魔方陣によるジャンプは子供の悪魔でもできる事だ。つまり、お前は魔力が子供の悪魔以下、低レベルすぎて、魔方陣が反応しなかったんだよ」
「な、なんじゃそりゃぁぁぁぁぁっ!?!?」

 絶句するイッセー。

「……無様」

 塔城が無表情でぼそりと言う。イッセーはそれにかなり堪えていた。

「イッセー」
「……はい……」
「依頼者がいる以上、待たせる訳にはいかないわ。前代未聞だけれど、足で直接現場へ行ってちょうだい」

 ……本当に前代未聞だな。
 イッセーは泣きながらその場を後にした。


ー○●○ー


「くっそぉぉぉ!?どこにチャリで召喚に応じる悪魔がいるんだよぉぉぉっ!!!!」

 イッセー兄がそう愚痴りながら自転車を猛スピードで走らせていた。そんなイッセー兄の事を私はイッセー兄が心配だからと遠くで見守っていた。
 明日夏兄からは「余計なことをするなよ」と釘を刺されてしまった。
 ちなみに、術で聴覚と視覚を強化して、絶対にイッセー兄を見失わないようにしている。心配性と言われようが構わない。私にとってイッセー兄はかけがえのない存在なのだから。


ー○●○ー


「日暮荘。ここだな」
 俺はとあるアパートへ訪れていた。ここの一室に依頼者がいる。

 コンコンコン。

「こんばんわ、森沢さん。悪魔グレモリーの使いの者ですが」

 ガチャ。

「んん?」

 眼鏡をかけた痩せ型の男性が出てきた。

「ああ、どうも」
「チェンジ」

 バタン。

「ちょっと待ってください!?悪魔を召喚したの貴方でしょう!?」
「玄関を叩く悪魔なんかいるもんか」
「ここにいるでしょう!?」
「ふざけるな。小猫ちゃんはいつだってこのチラシの魔方陣から現れてきたぞ。だいたい、俺が呼んだのは小猫ちゃんだ。とっとと帰れ」
「俺だって……出られるならそうしたかったさ!?何が悲しくて深夜にチャリなんかとばして!ううぅぅぅぅぅ……」

 おれはその場で崩れて泣き出してしまう。

 ガチャ。

「……しょうがないなぁ」

 同情してくれた森沢さんが中にいれてくれた。

「で?君も悪魔なんだから、特技くらいあるだろう。とりあえず見せてくれよ」
「ド~ラ~ゴ~ン~波ァッ!!……すいません。まだ、なにもできないんです……」

 ドラゴン波の真似をしてから正直に言う。

「ドラグ・ソボールか。ふん、どうせ君の年じゃ再放送組だな。僕なんか直撃世代だぜ!見ろ!全部初版本だよ!」

 本棚のカーテンが開けられると、そこにはドラグ・ソボールのコミックが全巻あった。

「直撃世代がなんだってんですか!」
「なに!?」
「俺だって全巻特装版持ってるんすよ!」
「プッ。貴様には分かるまい。毎週水曜放送の翌日、アルティメット豪気玉を作る為、友人達と地球上の豪気を集めた熱い日々を!」
「俺だって悪友達と公園で気で探るかくれんぼくらいやったっつーの!今でも主人公の空孫悟が世界最強だって信じてるんスよ!」
「僕はゼルが最強だと思うがな!」
「ッ!それもある意味ありですね!」
「だろう!」
「でも!やっぱ空孫悟ドラゴン波っスよ!」

 すると、森沢さんがドラグ・ソボールのコミックを何冊かをテーブルの上に置く。

「フッ、語るかい?」

 フッ。

「語りますか」

 そのまま、俺達はドラグ・ソボールについて熱く語り合った。  
 

 
後書き
イッセーと森沢さんのドラグ・ソボールの語り合いのシーンは結構好きです。
 
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