| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法少女リリカルなのはViVid~英雄の意思を継ぎし子達

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

六話~対決、そして

 
前書き
エクス[ついにマスターとアインハルトの戦闘が始まりましたね、クリス]

クリス[ピッ]

エクス[なに?あなたばかり目立ってズルイ?]

クリス[コクコク]

エクス[仕方ないじゃありませんか。武器である私が目立つのは]

クリス[シュン……]

エクス[まあまあ、原作ではいっぱい出番があるんですから我慢してください。それでは、本編にいきましょう]

クリス[ピッ]

 

 
side ヴィヴィオ


先手を取ったのは私。二刀を使うことで生み出せる多方向同時攻撃で攻める。
これでガードが難しくなるため、反撃の機会は生み出させない。


「はあああ!!」
「……ッ!」


私の猛攻に防戦一方のアインハルトさん。
しかも私は格闘もしっかりとやっているので拳が届かない間合いをキープし続けることなど造作もない。こちらが有利だ、私はそう確信していた。




side アインハルト


正直なところをいえば、驚いた。
格闘では圧倒できたというのに、獲物が変わった瞬間に別人と相対しているような感覚。
二本の剣を巧みに操る彼女の剣技には迷いが感じられなかった。


「はあああ!!」
「……ッ!」


怒涛の勢いで攻め続けてくる彼女。
私の腕の長さ、足の運びなどから予測したであろう私の間合いに一切入ることなく攻撃を繰り出している。
だが、覇王の拳がその程度の策でやられるわけなどない。
届かなければ届くところに行くまでのこと。
そのための歩法が覇王流にはある。


「……!?」


攻撃と攻撃の間の僅かな時間で一気に距離を詰める。
そしてがら空きの胴に一撃を叩き込んで終わりだ。
やはり、この子では覇王の拳は……そう、思った。


「覇王……」
「まだっ!」
「…なっ!?」


しかし彼女は終わらなかった。
懐に入られた状態から膝蹴りを叩き込んできたのだ。
咄嗟に防御し、痛打は避けられたが、隙ができてしまった。
その隙を狙って彼女が突きを繰り出してくる。
だが、剣の間合いはわかっている。よけることは簡単……ではなかった。
私が思っていた長さよりも30cmほど早く剣がこちらに届いたのだ。
そのため回避は本当に紙一重だった。


「~っ!!」


外したことが悔しかったのか苦虫を噛んだような表情をする彼女。
その手に握られていた剣は1()()だった。
あれほど早く二刀を一刀に切り替えたのか……!?
いったいどうやって……?
気にはなるが、今は戦闘中。彼女を倒すことだけを考えよう。




side ヴィヴィオ


初めてだったけれど上手く出来たクリスの全面サポートによる高速フォルムチェンジ。
完全に虚を突いたというのに避けられた。
やはりアインハルトさんは強い……!
だけど、私は負ける訳にはいかないんだ!
パパとの誓い。ママとの約束。そして、何よりも私を本当の姉として見てくれている大切な弟のため。私に帰る場所の暖かさを、家族の大切さを教えてくれたパパを。私に優しさと思いやりをくれたママを。そして私に大切なことをわからせてくれた優を。私を誰よりも幸せにしてくれた大事な家族を守ると決めたんだ!
だからこの剣と心は折れはしない!


「エクス!クリス!」
[フォルムツヴァイ]


再び双剣を手に駆ける。たとえパパみたいな武芸がなくても、ママみたいな突破力がなくても、勝つことはできるはずなんだ!!


「せやあああ!!」


剣と拳の応酬。数十回、数百回と繰り返す。
お互いに体力、魔力共に消耗している。
決着はすぐそこまで近づいて来ていた。




side アインハルト


彼女はどうしてここまで真っ直ぐに打ち込んでこれる?
師匠が用意した試合だから?
友達が見ているから?
何故?どうして?疑問は尽きない。
それでも私は拳を放つ。
それだけが、それこそがこの疑問の答えを導き出してくれるものと信じて。




…………………………………………………………………


どれくらい打ち合いを続けたのだろう。
今の私達はお互いに満身創痍だ。
向こうもわかっているのか剣を一刀にし、一撃にすべてを込めようとしている。
ならこちらも全てを込める……!




side ノーヴェ


長い打ち合いが終わり、二人が距離を取る。
どちらも次の一撃で決める気だろう。
戦う本人たちも、見ているあたしたちも、誰も音すら立てない。
緊張感に包まれた静寂。
それはヴィヴィオとアインハルトの踏み出したステップの音により終わりを告げた。


「覇王……!」
「はああ……!」


そして二人は同時に叫ぶ。


「断空拳!!」
「てええい!!」


ぶつかり合う衝撃で粉塵が巻き上がる。


「凄い……」
「ど、どうなったの………」


リオの言葉にみんなも心の中で同意しているだろう。
それほどまでに二人の戦いは鮮烈だった。
やがて、粉塵が薄れてくる。
その中で立っていたのは……


「はっ、はっ……」
「…………」


アインハルトだった。


「「ヴィヴィオ!」」
「「陛下!!」」


双子とリオ、コロナはヴィヴィオの方に行ってしまった。
しかし、スバルとティアナ、あたしはアインハルトの方へ。


「うっ……」
「よっと」


大人モードが解除されて膝を着きそうになったアインハルトをスバルが受け止める。


「あ、……ありがとう、ございます……」
「いえいえ」
「それよりさ、ヴィヴィオはどうだった?」


スバルに受け止められた状態のアインハルトに問いかける。


「………強かったです。正直に言えば勝てたのは運が良かったと……」
「そうかい。それ、本人にも聞かせてやれよ」
「それは……」
「ま、気が向いたらでいいからよ」
「……はい」


さて、ヴィヴィオの方はどうかな……?
丁度いいタイミングみたいだし。
アインハルトはスバルとティアナに任せて様子を見に行くことにした。




…………………………………………………………………


「よっ」
「あ……ノーヴェ……」


大人モードを解除し、明らかに落ち込んでいる様子のヴィヴィオ。


「……負けちゃった。まだまだだね、私」
「そうだな」
「全くだ。まだまだ修行が足りないな、ヴィヴィオ」
「え?」


不意に会話に割り込んできた人物の声に驚き、顔を上げるヴィヴィオ。
その視線の先には……


「パパ!?」


士郎さんが私服姿で立っていた。


「なんで……?」
「あたしが呼んだんだ。丁度近くに用があったそうだから帰りにどうか、ってな」
「そういうことだ」


士郎さんを見て数人が驚いている。


「士郎様、お久しぶりでございます」
「お変わりありませんようで何よりです、士郎様」
「ああ。久しいな、ディード、オットー。……しかし、様付けで呼ぶのはやめてくれと言ったのだが。チンク、君からも何か言ってくれ」
「……あきらめてください」


あちらは平常運転。チビ二人はと言うと……


「士郎さんお久しぶりですー!」
「久しぶりだな、コロナ」
「えーっと……ヴィヴィオの、お父さん……ですか?」


会ったことのあるコロナと初めて会うリオで反応が違う。
それはそうだろう。ヴィヴィオとは色々と違うからな、この人は。


「君がリオか。常々話は聞いている。これからもヴィヴィオと仲良くしてあげてほしい」
「あ、はい!こちらこそよろしくお願いします!!」


優しく笑いかけてそう言うこの人があの『弓兵』だと知ったらリオも驚くだろうな。
そんなことを考えていると、ティアナが士郎さんに気付いたようだ。
スバルとアインハルトを連れてこちらにやってくる。


「士郎さん、ご無沙汰してます」
「ティアナ、君も来ていたのか」
「はい。丁度休暇だったもので、スバルも一緒に」
「お久しぶりでーす!イクスの件以来ですね」
「そう言えばそうだったな。イクスヴェリアは変わりないか?」


やはり師と弟子として積もる話もあるのだろう。ティアナも嬉しそうだし。
と、そこでアインハルトが士郎さんを見つめているのが見えた。
そんなアインハルトにあたしは念話で話しかける。


(どうした?士郎さんの方ばっか見て)
(ノーヴェさんですか。……あの方が本当に噂の?)
(ああ。あの人が『弓兵(アーチャー)』だ)


やはりそう思うようだ。
魔力は魔術回路を開かなければほぼ抑えられている上に纏う雰囲気が柔らかいからな。
とても噂になるような強さを持っているようには見えないだろう。
………戦闘中になれば別だが。


(それほどの人ならば是非ともお手合わせを……)
(まず勝てねえぞ。あたしですら本気のあの人には一撃すら入れられる気がしねえからな)
(………そんなにですか?)
(ああ。だからやめとけ。三輪車でスポーツカーと競争しようとしてるようなもんだ)
(……わかりました)


アインハルトを納得させたところでティアナが言い出す。


「それじゃあアインハルトは私の車で。ヴィヴィオ達は士郎さんが乗っけて行ってくれるそうだから」
「……はい」


それぞれが移動をしようとした時だった。
突然ヴィヴィオが立ち止まり、アインハルトの方を向く。


「アインハルトさん!今日は負けちゃいましたけど、次は絶対勝ちますからね!!」


大声で宣言するヴィヴィオに目を丸くするアインハルト。
しかし直ぐに返答した。


「私も、負けませんよ。ヴィヴィオさん!」
「……!はい!」


そのやり取りをしている二人の顔は期待に胸を膨らませているような笑顔だった。
……これが英雄たちの遺志を継いだ二人の少女の本当の出会いだった。 
 

 
後書き
戦闘描写は難しい。最近またそう思う様になりました。

文字数はいかないし、わかりづらくなるし……

それでも試行錯誤してやっていきますので今後とも応援よろしくお願いします。

それでは 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧