銀河鉄道物語 リリカルな異世界[地球]
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微粒子
「あの子が発見されたのは丁度一年前だったらしいわよ。」
「その頃はまだここが完成してなかったはずよ。出来ていたのは実験施設だけだったから。」
今は沢山の施設が組み込まれているレビュース分岐点だが一年前は小さな研究施設があっただけだった。
そこに現れるなんてどんな物好きなのか疑問を抱いてしまうよ。
「彼は微粒子蘇生を行ったらしいわ。」
微粒子蘇生とは空間に飛び散っている微粒子を回収してそこに過去の悲劇似よって機械の体や部品とされた人を生身の体で生き返らせる方法だ。
一年前は惑星の中心を支えるネジになっていた少年を今まで見たことのない強い意思を持つ微粒子として発見された。
体については微粒子から採取したデータをもとにクローン技術を用いて形成し、そのあとに記憶を微粒子から脳に移植してしまう。
これで完成と言うわけだ。
そしてよく調べたところ、彼は銀河鉄道の整備士として働いていた記録が残っていた。
と言ってもアルバイトだったけど。
人での足りない今はどんな人材でも局に入れている私たちは彼も技術部に入ってもらった。
かなり使えるそうだ。
彼が起きて最初に言ったことは私たちではどうにも出来ないことだった。
「待っている人がいる。その人に会いたい。」
約4000年も前の人が生きているとは考えられないなかった。
生きていると考えられるのはアンドロメダ星雲の外れに位置する惑星ラーメタル。
地球標準時での1日が向こうでは約9ヶ月に該当する。
惑星ラーメタルは移動方法は一つしかない。
それは999(スリーナイン)に乗ると言うこと。
スリーナインは地球を出てからトレーダー、ヘビーメルダー、アンドロメダ、大テクノロジア、エタータルと言う順番で停車する。
惑星ラーメタルはヘビーメルダーの前に停車する。
しかしそこに彼が会いたい人がいると言う保証はない。
『42番ホームに地球行き、銀河超特急999(スリーナイン)号が参ります。危険ですので黄色い線の内側へお下がり下さい。』
こんなタイミングで999(スリーナイン)が来るなんて。
僕たちは999(スリーナイン)が来ることを知らなかった。
そもそもスリーナインのダイヤを把握するのは不可能だと思う。
多くの停車駅に停車時間。
普通に考えれば覚えるのは無理。
しかし僕の知っている人の中で新銀河鉄道のダイヤ全てを知っている人がいる。
夏村未来。
僕を助けてくれた恩人で私の兄。
頭はいいし何でも出来る。
僕が今一番尊敬している人でもある。
『ご利用ありがとうございます。レビュース、レビュースです。旧銀河鉄道線ご利用のお客様はお乗り換えです。新銀河鉄道線のお乗り換えは電光掲示板をご覧ください。』
ここからの始発列車は少ないけどたまにあるから注意が必要だよ。
と僕は言いたくなってしまった。
僕は42番ホームを見ると大きな鞄を持った女性が歩いていた。
髪は長くて毛の色は金色。
女性の僕でも見とれてしまう美しさだった。
「咲。今の人見た?」
「うん。凄くきれいだった。」
「私なんか見とれちゃったよ。」
良かった。
絵里も見とれていたらしい。
「そろそろ指令部に行くね。」
「うん。頑張ってね。」
僕は絵里と別れると一人でレビュース分岐点を歩き回った。
複雑な構造、故に迷う人も多いらしい。
僕はどんどん奥に進んでいった。
そして今現在は絶賛迷子中である。
僕は地図を探し動き回っていると、
「おまえ。迷子か?」
「はい。」
ついに人に話しかけられました。
これで目的地に行ける。
僕はそう思ったのですが、
「それじゃあ俺と一緒だな。」
この人も迷子見たいです。
よく見るとこの人の服装は技術部の作業着だった。
「俺の名前はナスカって言うんだ。お前は?」
「夏村咲です。」
ってあの人ナスカって言ったよね。
早速会っちゃったよ。
でも見た感じ普通なんだけど。
「なんだよ。じろじろ見られると恥ずかしいじゃねえか。」
「ごめん。それでナスカ君は何処に行く途中だったの?」
「待合室なんだが何処にあるのか分からなくて気づいたらここにいた。」
本当に職場で迷う人いたんだ。
聞いてはいたけどビックリだよ。
僕は絶対にこんなへまはしないぞ。
ってもう迷子だから意味ないか。
「メーテルが待っているのに。」
なんだか急を要するようだから先に待合室に行きますか。
「それじゃあ行こっか。」
僕は来た道を戻ることにした。
なぜかと言うと、来る途中で待合室の前を通ったからである。
「おーい。何処に行くんだよ。」
あの人は自分のいきたい場所をもう忘れたのよ。
「待合室でしょうが。誰だか知りませんがあなたの大切な人が待っているのでしょ。」
僕はナスカに向かって言うとまた歩き始めた。
ナスカがしぶしぶついてくるのがわかった。
ナスカの大切な人って誰かちょっと気になっちゃった。
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